https://indeep.jp/which-ones-next/
あらゆることを並行的に行ってきていますので
多方面に気を配らなくてはいけませんが
一つ一つに固持せず柔軟に対処していきましょう。
<転載開始>
預金の保護と返還は事実上なし
リーマンショック以来、最大の銀行破綻が起きました。シリコンバレー銀行という米国16位の規模の銀行が破綻しまして、この銀行の総資産は、日本円で 28兆円でした。
これまでで最大のアメリカの銀行の破綻は、2008年9月の、貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルという銀行の破綻だそうで、その際のこの銀行の資産が、33兆円だったそうですので、シリコンバレー銀行の破綻は史上2番目の破綻ということになります。
これがものすごいスピードであっという間に破綻したのですが、一昨日、シリコンバレー銀行の親会社であるシリコンバレー銀行ファイナンシャル・グループの株価が、
「 1日で 60%下げた」
と報じられました。
・米国の新興企業向けに商業銀行サービスを行うシリコンバレー銀行Gの株価が上場以来最大の下げ (60%の下落)
2023年3月10日
その翌日の破綻です。逃げられなかった預金者が多いと思われます。
アメリカで銀行が破綻した場合、連邦預金保険公社 (FDIC)という組織が管財人となり、預金者保護を行いますが、しかし、今回の預金は、事実上ほとんど預金者には戻らないようです。
たとえば、この破綻を報じていた読売新聞の記事では、
> 銀行が破綻した場合、1人当たり原則25万ドル(約3400万円)までの預金額が保護される。
とあり、これですと、ある程度の預金保護がなされると思われるでしょうが、アメリカの場合は、「保険に入っていないと預金の返還は行われない」そうです。
以下は、連邦預金保険公社 (FDIC)の公式な声明ページからです。
太字はこちらで施しています。
FDIC、カリフォルニア州サンタクララのシリコンバレー銀行の被保険者預金者を保護するために、サンタクララ国立銀行の預金保険を設立
FDIC 2023/03/10
カリフォルニア州サンタクララにあるシリコンバレー銀行は、本日、連邦預金保険公社 (FDIC) を管財人に指定したカリフォルニア州金融保護イノベーション局によって閉鎖されました。
被保険者を保護するために、FDIC は預金保険国立サンタクララ銀行 (DINB) を設立しました。クロージングの時点で、受領者としての FDIC は、シリコンバレー銀行のすべての保険付き預金を直ちにサンタクララ銀行に転送しました。
被保険者のすべての預金者は、2023年3月13日、月曜日の朝までに、被保険者の預金に完全にアクセスできます。
FDIC は、保険のない預金者に来週中に前払い配当を支払います。無保険の預金者は、無保険の資金の残りの金額について管財人証明書を受け取ります。FDIC がシリコンバレー銀行の資産を売却するにつれて、無保険の預金者に将来の配当金が支払われる可能性があります。
このように、
> 無保険の預金者に将来の配当金が支払われる可能性があります。
と、配当金が支払われる「可能性もある」と。
では、どのくらいの預金が「保険に入っていないのか」というと、米ゼロヘッジの資料によれば、以下のようになっています。日本円で示します。
「 23兆6000億円の預金のうち、20兆円は保険に入っていない」
のです。
それ以前の話として、こちらの資料では、「シリコンバレー銀行の預金のうち、25万ドル未満の預金はわずか 2.7%」であり、つまり、
「 97.3% は FDIC の保険に加入していない」
ことが示されています。
しかもですね。上に 23兆6000億円 (1750億ドル)としましたが、これは、昨年 12月31日の時点でのシリコンバレー銀行の総資産です。
今はいくら残っているのか。
銀行に預金や資産がない場合、「預金者に何も配当されない」可能性のほうが高くなります。
ゼロヘッジの別の記事の前半をご紹介します。
記録的な銀行の取り付け騒ぎにより、SVBの預金の4分の1 または 420億ドルが数時間で流出し、10億ドルの現金だけが残った
Record Bank Run Drained A Quarter, Or $42BN, Of SVB's Deposits In Hours, Leaving It With Negative $1BN In Cash
ZeroHedge 2023/03/11
現在清算されているシリコンバレー銀行についての分析は、昨年 12月31日時点の古い財務データからのものにとどまっていた。
実際には、現在、米国の銀行システムが、2020年以来最悪の危機に苦しんでいる理由を以下に示す。
シリコンバレー銀行の有価証券は、そのほとんど、または、577億ドルは、満期保有モーゲージ担保証券であり、別の 105億ドルは CMO (不動産抵当証券担保債券) であり、 260億ドルが売却可能だ。 1,730億ドル (約 23兆円)以上の預金 (うち1,515 億ドルは保険に加入していない)によって資金提供されている。多くの点で、これは仮想通貨企業にほぼ独占的に銀行を提供していたシルバーゲート銀行で見られた問題を反映している。
(※) シルバーゲート銀行は 3月8日に破綻したアメリカの銀行で、仮想通貨関連企業の預金を積極的に受け入れていたそうです。日本経済新聞などに記事があります。
もちろん、大きな問題は、過去 24時間に何が起きて、どんなことが銀行を破産に追い込んだかということだ。
その答えはすぐに得られた。
カリフォルニア州金融保護イノベーション局は、シリコンバレー銀行が投資の売却による約 18億ドル (約 2400億円)の損失を発表した直後に資本調達を行っていたと報告した。
銀行は 2023年3月9日以前は健全な財務状態にあったにもかかわらず、投資家と預金者たちが 2023年3月9日の 1日だけで、銀行から 420億ドル (約 5兆6000億円)の預金を引き出し始め、銀行の取り付け騒ぎを引き起こしたのだ。
この猛烈な資金流出の結果、3月9日木曜日の営業終了時点で、銀行の現金残高は約 9億 5,800万ドル (約 1300億円)となった。
急激な預金の引き出しにより、銀行は支払いを行うことができなくなった。シリコンバレー銀行は現在支払不能の状態だ。
参考までに、12月31日の時点で、シリコンバレー銀行には 1,730億ドル (約 23兆円)の預金があった。歴史的な銀行の取り付け騒ぎにより、わずか数時間で銀行の資金の 4分の1を使い果たしてしまったことを意味する。
ここまでです。
記事には、シリコンバレー銀行の大口の預金を持つ企業名が並んでいます。ものすごい数です。
目立つところでは以下のような企業があるようです。私はよく知らない企業ですが。日本円表示です。
シリコンバレー銀行に大口の預金を持つ企業の一部
・ロク社 約 657億円
・ブロックファイ社 約 300億円
・ロブロックス社 約 4,000億円
・ギンコー・バイオワークス社 約 100億円
・ロケット・ラボ社 約 51億円 …
こんなような企業名が数十並んでいるのですが、企業名をよく知らないのは、破綻したシリコンバレー銀行というのは、テクノロジー系の新興・中規模企業向けに商業銀行サービスを提供していた銀行で、
「若い企業が多い」
ようです。
先日のメルマガのタイトルは、「準備はなさっていますか? リーマンがかすむような完全な崩壊まで、数ヶ月以内の可能性が」というタイトルだったのですけれど、これは、銀行や金融から先に始まるというものではなく、
「欧米のスタートアップ企業の 80%が 2023年に破綻する可能性がある」
ことが、最近のベンチャー企業への調査でわかり、多くのベンチャーキャピタリスト (ベンチャー企業に資産を提供する人たち)が「非常に強い警告」を発していたことをご紹介したものです。
そのうちの一人は、
「リーマンショックなどとは比較にならない混乱が来る」
として、特にベンチャー企業の創業者や経営者たちに警告しています。
それでも、政府のほうは、たとえば、NHK の報道では、
> 米財務省イエレン長官「銀行のシステムは現在も健全」
というように報じたり、
> 金融業界への影響には注意が必要だが、現時点では限定的ではないかと見ている。
など「この問題は大したことではない」という方向に持っていっています。
しかし、アメリカでは銀行を含む金融への影響の波及は避けられない様相となっています。
特に、中小の銀行は、昨日 3月10日のアメリカの株式市場で、激しい下げに見舞われていました。以下は、その一部ですが、-30%だとか -40%だとかになっています。
2023年3月10日の米国の銀行株の値動きの一部
zerohedge.com
こんな極端な株価の下落を見れば、預金者や預金している企業が黙って見ているとも思えないです。
シリコンバレー銀行で起きたことと同じことが起きても不思議ではありません。
取り付け騒ぎですね。
今はオンラインで土日も送金はできますので(限度額などがあるのかどうかはわからないですが)、現在すでに預金が流出している銀行も少しはありそうです。
イエレン財務省長官は「アメリカの銀行のシステムは現在も健全」と述べていましたけれど、銀行の中には、「もたない」銀行が出てくるように見えるのですが…。
そして、このような銀行などの状態から、「スタートアップ企業の大量破綻の時期がさらに近づいた」ということもいえるのかもしれません。
しかし、銀行側も対抗策をとり始めているようです。
顧客の預金を「操作」、あるいは「銀行サービス停止」などをし始めています。
アメリカ第4位の銀行ウェルズ・ファーゴで起きていること
以下は、ウェルズ・ファーゴの「オンラインの銀行サービスの停止」の状況です。3月10日午前から、サービスの停止が急激に増加している。
ウェルズ・ファーゴのサービス停止状況
downdetector.com
それどころか、「顧客の預金が消滅した」とか「預金額が勝手に変わった」という状況が増加していることが、SNS で広く投稿されていることが伝えられています。
そんな投稿のうちのひとつ
Matthew Coombs
こういう報告が相次いでいまして、ウェルズ・ファーゴ側からのコメントは以下の通りです。
預金額の異常を訴える人たちへのウェルズ・ファーゴのコメント
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。残高が正しくない場合や取引が見つからない場合は、技術的な問題が原因である可能性があります。お詫び申し上げます。お客様のアカウントは引き続き安全に保護されており、解決に向けて迅速に取り組んでいます。 -リチャード
このような「預金を引き下ろさせない」という根本的な方法を、今後、多くのアメリカの銀行がとった場合、いろいろと混沌としそうですが、どうなりますでしょうかね。
いずれにしましても、「金融危機は、今週から確実に始まった」ようです。
(以下省略)
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