罰則付きプラスチック製レジ袋禁止条例制定を目指す京都府亀岡市は29日、店舗向けの説明会を初開催する。規制を受ける店舗側から「なぜ今、条例が必要か分からない」という声が上がっており、市は保津川の環境、景観保全について、理解を求めていく考えだ。
市は昨年末に全国初となる条例化の方針を公表した。小売店でプラスチック製レジ袋の配布を禁止し、違反店舗名の公表という罰則を設けるとし、2020年夏の施行を目指し、将来的には過料徴収も視野に入れる。
説明会は、市商店街連盟の要望を受けての開催。小規模店は「紙袋に変えればコスト増になる」「買い物客が減るのではないか」との声が出始めているため、亀岡市は支援策の検討状況を踏まえ、理解を広げていくという。
また、亀岡市は条例施行を前に、約760の全小売店で19年度中のレジ袋有料化を徹底する方針。店舗に早期の有料化実施に協力を求める。説明会は29日午後7時から市役所市民ホールで。
亀岡市が規制に踏み切る背景は二つある。
一つは観光にプラごみが大きな影を落としている問題だ。保津川では豪雨のたびに大量のごみが漂着し、保津川下りやトロッコ列車の利用客から苦情が寄せられてきた。
保津川遊船企業組合の船頭たちは2005年から清掃活動を本格的に始め、市は12年8月に国内外の研究者が議論する「海ごみサミット」を内陸部としては初めて開催した。川から海にごみを流さない運動が市民レベルで地道に進み、農業の68歳女性のように「レジ袋がなければ工夫するし、環境への意識を変えなければ」という市民も徐々に増えている。
近年、微小なプラスチックが生態系に影響を及ぼす恐れが指摘され、世界中でレジ袋禁止の動きが広がる。保津川に生息する天然記念物アユモドキを含めた自然保護への対策も急務になってきた。
もう一つは、市内でレジ袋有料化が進まない現状だ。亀岡市は13年度に有料化推進を掲げたが、事業者は売り上げ減を恐れ、約760店のうち有料化に踏み切った店舗は1%以下にすぎない。
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