新型コロナウイルスワクチンの12~15歳の子どもを対象にした学校での集団接種に関し、政府がまとめた指針が21日明らかになった。接種への同調圧力を生む恐れがあり、副反応に対応する医療従事者の確保が困難なことなどを理由に「現時点で推奨するものではない」とした。実施する場合でも、接種に伴う差別やいじめを避けるため、接種が強制とならないよう配慮を求めた。
文部科学省と厚生労働省が連名で、近く都道府県などに通知する。
指針は、学校での集団接種に慎重な見解を示したものの、医療機関での個別接種の体制確保が難しいなど、地域の事情によっては、市町村の判断で行うことはあり得るとした。
実施する場合、丁寧な情報提供の上で保護者の同意を得ることを求めた。放課後や休日、長期休暇などの授業時間以外に行うことや、接種を生徒の学校行事への参加条件にしない配慮も求めた。いずれも、接種が事実上の強制にならないようにするための措置だ。
指針は、思春期の子どもは接種への不安などで、息切れなどストレス反応が生じることがあると指摘。学校集団接種で他の人が具合を悪くする様子を見て、連鎖的に体調を崩すリスクも指摘し、慎重な対応を求めた。
厚労省は5月末、米ファイザー製ワクチンについて、接種対象年齢を「16歳以上」から「12歳以上」に引き下げることを決めた。日本小児科学会は12~15歳の子どもについて、感染でまれに重症化する可能性があるとして「接種する意義がある」との見解を発表している。
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