(以下引用)
「最近の政治家は“質”が落ちている」というのは大ウソだ
ITmedia ビジネスオンライン / 2017年8月1日 8時15分
ご存じのように、「号泣議員」をはじめ、政務活動費の使い込みをする地方議員が後を絶たない。まともな民主国家なら、「地方議員」のあり方そのものをあらためようという話になるところだが、ジャーナリストや評論家を名乗る人々まで、「生活の不安があって地方議員のなり手が不足している」なんて援護射撃をして、政党交付金のような詐欺の片棒を担いでいる。
国際NGOのトランスペアレンシーが発表する、国の公的部門がどれだけ腐敗しているか示す腐敗認識指数(CPI)のランキングで、日本は20位である。上位を多く占めるデンマーク(1位)、フィンランド(2位)、スウェーデン(4位)という北欧の国では、基本的に地方議員は「ボランティア」で昼間は別に仕事をもつ人たちが夜間議会に集う。国会議員の報酬も日本と比べものにならないほど低い。
「カネに困った政治家は不正に走る」という日本ロジックに基づけば、北欧は悪徳政治家のパラダイスになっていなければおかしいが、現実は逆である。
なぜかというと、これらの国では、「政治家」という職業の対価で、クルマを買って、マンションのローンにあてて、子どもを大学まで通わせようという発想がそもそもない。決められた任期のなかで、パブリックサーバント(社会全体の奉仕者)として一時期活動することこそが、「名誉」だという考えなのだ。
もちろん、北欧のやり方をそのまま猿真似しても、いきなりうまく機能するわけがない。ただ、少なくとも「税金で身分保障をすれば、政治家はクリーン」になるというのが「妄想」に過ぎない、という世界の常識は、この国でもいい加減そろそろ受け入れるべきではないか。
「最近の若い奴は根性が足りん」と嘆くおじさんたちが、実はパワハラ社会を助長させているように、「最近の政治は質が落ちた」と嘆くおじさんたちは、税金で「お手盛りの身分保障」を企てる政治家の片棒を担いでいることを自覚すべきだ。
自浄能力を示す、ここを改革する、と与党も野党も威勢のいいことを言うが、ほとんど効果がないことは歴史が証明している。
政治家という「特権階級」に就職する、といった考え方をあらためない限り、日本の政治家の「質」が上がることはないのではないか。
(窪田順生)
コメント