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徽宗皇帝のブログ

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政治の根幹は「正言」にあり
「ギャラリー酔いどれ」所載の「長周新聞」記者座談会記事の一部である。
中国を中心とする、現在とこれからの世界経済状況を概観するのにいいのでメモしておく。

私は「一帯一路」という言葉がピンと来ないのであまり興味も無かったが、中国の一帯一路構想は空中分解することなく、今後の世界経済動向の鍵のひとつになりそうな感じなので、改めて見直したわけだ。
なぜ陸路が「一帯」で、海路が「一路」という言葉になるのか、私には分からないので「一帯一路」という言葉が嫌いだったのだが、陸路は、貿易路自体よりも、その周辺地帯の発展が主眼なので「一帯」と表現し、海路では輸送路整備が中心課題なので「一路」と表現したとすれば、理解できる。理解できる以上に、さすが漢字の国だな、と思う。

まあ、言葉に拘るのが私の癖だが、今の人(特に政治関係者やマスコミ人)はあまりに言葉がいい加減すぎ、それが社会の混迷を招いていると私自身は思っている。
荀子は、政治の根幹は「正言」、つまり「言葉を正す」(「正しい言葉」とは少し違う。名詞ではなく、社会的アクションを意味するわけだ。)ことだと言っている。まさにそうだと私も思っている。(そうであれば、政治家の公約無視や政府の公文書改竄など、驚天動地の政治的大犯罪であるのは明白だ。公人の嘘を許容する社会がまともな社会になるはずはない。)

(以下引用)



https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2018/06/
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 中国の「一帯一路」構想

A 一帯一路は2013年に習近平が提唱した長期国家ビジョンだ。
  「一帯」は中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパへと続く
  「シルクロード経済ベルト」。
  「一路」は中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、
  アフリカ東海岸を結ぶ 「21世紀海上シルクロード」からなるという。
  今後数十年をかけて、これらの地域に道路や港湾、発電所、パイプライン、
  通信設備などインフラ投資を皮切りとして、
  金融、製造、電子商取引、貿易、テクノクラートなど
  各種アウトバウンド投資を積極的に進めて、
  産業活性化、高度化を図っていくプログラムなのだという。

  これはアメリカが第2次世界大戦後に推進したマーシャルプラン以降で
  最大級となる海外開発計画で、国連機関(ESCAP)は
  6つの経済回廊の経済効果を12兆㌦におよぶと試算している。
  インフラ整備、工業団地造成、ユーラシア鉄道の増備は実施段階に入っている。
  中国は86の国と国際機関と協力提携して進めている。
  その後も対象は拡大し、2017年に中国とロシアは
  中国から北極の東北航路を経由して北欧に到達する
  「氷上シルクロード」建設を共同提案した。
  時間短縮とともに北極地域の豊富なエネルギー活用を狙うというものだ。
  今年1月には第2回中国・ラテンアメリカ共同体(構成国は33カ国)
  閣僚会議で、「太平洋海上シルクロード」建設を推進する
  合意特別文書を結んだ。
  南米地域のインフラ需要やエネルギーその他の資源開発も視野に入れている。


B 連動して動いているのがAIIB(アジアインフラ投資銀行)だ。
  2016年に57カ国を創設メンバーとして発足し、その後、
  参加国は85カ国から90カ国に拡大する勢いを見せている。
  G7のなかでは日本、アメリカは参加を見送っているが、
  日米主導のアジア開発銀行(ADB)の
  67カ国・地域を大きく上回っている。
  アジアで参加していないのは日本と北朝鮮とブータンだけだが、
  北朝鮮も今後は一帯一路やAIIBの当事者になっていくことは疑いない。

  一帯一路が実現すると、旧ブレトン・ウッズ体制のもとで
  アメリカが築いてきた国際ルールと必然的に衝突する。
  しかし最近の状況を見てもわかるが、アメリカ自身が
  自由貿易体制の矛盾に苛まれて関税措置でもめているように、
  自国の利害を守るのに精一杯で他国のことなど構っておれない。
  米中貿易戦争もそうだが、世界の経済ルールが崩壊しつつある
  ことを意味している。そのもとで 中国が大国として台頭し、
  覇権を手放しつつあるアメリカになりかわって
  自由貿易を唱えるという現象が起きている。


C 「アジアの世紀がやってくる」といわれているが、
  米国の世界覇権が終焉を迎えているのだ。
  その過渡期にあることを世界各国が認識して外交を展開している。
  いつまでも米国こそがナンバー1で、従属してさえいれば地位が安泰
  というような意識では、蚊帳の外に放り出されるほかない。
  これは当たり前の話だ。アメリカは 第2次大戦を一人勝ちして
  戦後世界に君臨してきたが、その地位から退場する時期を迎えている。
  国内は貧困が蔓延して自国民を養うことすらできない。
  社会主義者を標榜するサンダースみたいなのが大統領選で躍進する時代だ。
  それで「アメリカ・ファースト」といって大きい声を出しつつ、
  実は世界覇権の座から緩やかに降板しようとしている。
  ソフトランディングだ。
  この覇権を裏付けてきたのは圧倒的な軍事力だったが、
  世界を股にかけて展開する カネがないのだ。

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