安倍晋三は、7年前、2016年、「憲法改定」を強く口にした。
それが、ただちに実現しない場合、前段として憲法の付加条項として「緊急事態条項」を設置し、官邸が緊急事態を宣言すれば、あらゆる権力を官邸に集中させることができるとする異様な強権行使の仕組みを作ると主張した。
幸い、このときは、実現しなかったが、以来、安倍が射殺されてからも、安倍派議員によって緊急事態条項=改憲の実現が叫ばれ続けてきた。
その中心人物は、細田博之や萩生田光一である。参院では、佐藤正久や山田宏という極右議員だった。
岸田文雄は、今月、自民党などに、緊急事態条項を含む、憲法改定について準備するよう指示を出した。
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<憲法改正>安倍首相が創設を目指す「緊急事態条項」とは? 2016/2/13(土)
緊急事態条項とは、「大災害や武力攻撃などによって国家の秩序などが脅かされる状況に陥った場合、政府などの一部機関に大幅な権限を与えたり、人権保障を停止したりする、非常措置をとる」ことを定めた規定です。
自民党は2012年に11章から成る「日本国憲法改正草案」を提言。その中の項目として、「緊急事態条項」の創設を提案しました。これは前年の東日本大震災における災害対応の不手際を教訓として盛り込んだとされています。現在議論されているのは、この2012年に発表された緊急事態条項の内容です。
首相はまず2013年に、憲法96条「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」の要件である“各議院の総議員の三分の二以上の賛成”を“各議院の総議員の過半数”に改正し、改憲のハードルを下げようと試みました。
しかし、世論や自民党内部からの反対もあり、取りやめています。そこで首相は、手始めに野党との合意も得られやすい「緊急事態条項」を創設し、憲法改正の動きを活発化させたいとの思惑があるようです。
具体的にはどのような内容なのでしょうか? まずはどのような状態を“緊急事態”と想定しているかをみてみます。草案では大きく分けて3つのケースを想定しています。(1)外部からの武力攻撃、(2)内乱等の社会秩序の混乱、(3)大規模な自然災害です。
これに対し、憲法学が専門の聖学院大学政治経済学部の石川裕一郎教授は、規定のあいまいさを指摘します。
「条文では『内乱“等”による社会秩序の混乱』と、内乱以外も想定しているのです。例えば、“ストライキ”や“金融不安”なども想定しているのかという疑念があります。
さらに問題とするのは、条項の最後に『その他の法律で定める緊急事態』と記載されている点です。
法律でこの3つ以外のケースも作り得るのです」。もちろん、緊急事態条項が創設されれば、国会で議論されるので乱暴なやり方はできないにしても、ある程度は政権の思い通りにできる可能性があるのです。
自民党は日本国憲法改正草案の提言と併せて、「Q&A集」も発表しています。その解説には、緊急事態条項創設の目的を「東日本大震災のような大災害のときに、政府が迅速に動けるようにする」とあります。
しかしこれらはもう、「現在の災害対策基本法や災害救助法の下、都道府県知事や市町村長の判断でほとんど対応できる」などと、憲法学者や弁護士が主張しています。さらに、日本国内が戦争になったと場合も既存の法律で対応できるのです。敵が攻めてきたり内乱が起きたりした場合は、自衛隊法や警察法があるのです。
自然災害以外での緊急事態条項創設の論拠となるのは「国政選挙」関連です。「衆議院が任期満了で総選挙になったときに、たまたま災害や外部からの武力攻撃で、選挙ができないまま4年経ったとします。衆議院の任期は4年と憲法で決まっていますが、任期延長の規定はありません。法律で任期を延ばすことはできないということで、緊急事態条項の創設という形で憲法に加えようとしているのです」(石川教授)。
内閣だけで法律と同等なルールを作れる?
改憲案では、「緊急事態が宣言、発せられた場合は内閣が法律と同じ効力を持つ政令を発することができる」となっています。石川教授は「国会での法律の審議すらある意味飛ばして、内閣レベルで法律と同等なルールを作れてしまいます。
さらにその政令に関し、『憲法14、18、19、21条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない』と書いてある。逆に言えば、尊重さえすれば、憲法で保障されているさまざまな基本的人権をも制約できるとも解釈できます」と、憲法の条文そのものを相対化する危険性を指摘しました。
内閣が発する政令次第では、例えば“裁判所の令状なしでの身柄拘束”などが可能となるのです。
一番の問題は、憲法レベルで保障されている基本的人権が簡単に制約されてしまうことです。
憲法に創設されるとなると、もちろん違憲でもありません。さらに、石川教授は緊急事態の宣言の手続きについて指摘しました。
「緊急事態は内閣総理大臣が発します。これへの歯止めとして考えられるのが国会です。しかし、国会の承認は事前または事後でも認められます。そして、その承認の期限がないのです。 極端な話、緊急事態宣言を発して数か月後の承認でもいいのでしょうか?」と、疑問を投げかけました。
実際に同様な形で1955年から運用されているフランスの事例を見てみます。フランスでは現在、昨年11月のパリ同時多発テロ事件の発生に伴い、大統領が非常事態宣言を発令しています。
発令されると、夜間外出禁止や集会の規制、ライブハウスやホールなどの人が集まる施設の営業規制、裁判所の令状なしで昼夜問わずの家宅捜索、令状なしでの不審者の身柄拘束が可能となります。
もちろん問題点もあります。今回のテロ事件に関連し、フランス当局は数千件に上る家宅捜索を行ったのにも関わらず、結果的にテロとの関係が疑われる犯罪の立件は1桁くらいしかないのです。
このような状況もあり、フランスでも法律家や市民グループが行政裁判を起こしています。さらに、フランスでも非常事態法で自然災害の想定を記載していますが、これまで6回の非常事態宣言の発令では、自然災害での適用が1回もないのです。
それでは、日本において緊急事態条項は必要なのでしょうか? 石川教授は全て現行法で賄えるとして不要と主張します。
「自然災害と武力攻撃は先ほど指摘した法律でほぼ対応可能です。さらに衆議院解散中の空白ついても、実は現憲法で対応できるのです。衆議院には解散がありますが、参議院にはありません。解散がない上に半数ごとの改選なので国会には空白期間が生まれません」。緊急事態を想定し、憲法54条で“参議院の緊急集会(衆議院が存在せずに国会が開催できない場合で、国に緊急の必要性が生じたために参議院で開かれる国会の機能を臨時に果たす集会)”が定められているのです。
憲法改正は安倍首相の宿願であり、緊急事態条項の必要性を認める見方もありますが、議論は注意深く見ていく必要があるかもしれません。
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引用以上
7年を経て、安倍晋三が生涯の課題としてきた憲法改悪は実現していないが、昨年の安倍射殺後、自民党安倍派は、安倍晋三の提唱してきた憲法改正を誘導する「緊急事態条項」の実現を、統一教会員といわれる萩生田光一をリーダーとして、強力に推進してきた。
また麻生太郎も、「ワイマール憲法を歪曲して独裁政権を作ったナチスの手口に学べ」として、緊急事態条項の実現が必要と大宣伝を続けている。
自民・麻生副総理 憲法に“緊急事態条項”
自民党の憲法改正議論、漂流含み 緊急事態条項に照準 「安倍派支配」の後④自民政治資金問題 2023年12月28日(有料記事)
現在、安倍派が検察の総力を挙げて裏金問題などで叩かれているが、本命は、統一教会との癒着にあるとも噂されている。
しかし、安倍派は緊急事態条項が憲法に付加されていれば、現在の検察による強制捜査なども、緊急事態条項をタテに官邸が捜査指揮権を奪って、汚職疑惑議員を救済できると踏んでいるようだ。
また官邸の意思で、自由自在に議員任期を延長させることもできる。
この「緊急事態条項」というのは、現在のイスラエル・ネタニヤフ政権が行っていることと同じで、政権が緊急事態=非常事態と認めれば、即座に、裁判所の権限や基本的人権を停止して、行政に権利が独占され、政権に反対する人々を超法規的に拘束し、投獄できるだけでなく、私権を制限し、市民の土地や事業、営業権利を自由に奪うことができる。
中国共産党やイスラエル・リクード政権とまるで同じ、強権独裁を憲法レベルで合法化するものだ。(憲法なので、あらゆる法律に超越する権限を持つ)
安倍晋三は、これとともに、官邸が行政司法の人事権を握って、最高裁判事を安倍の息のかかった者(原理研出身者)に変えてしまい、検察庁長官まで原理研出身といわれる黒川弘務を送り込もうとした。
まさに究極の独裁体制を狙ったのだ。
さらに緊急事態宣言によって、すべての権力を官邸に集中させ、反対者を勝手に拘束する超法規施政を得ようとしていたのである。
この最終目的は、安倍を日本の支配者として送り込んでいた統一教会が日本の権力すべてを手中にすることだった。そして日本を宗教国家に変えて、韓国に奉仕させようという思惑だった。
これは、韓鶴子が、「岸田文雄を呼んでこい」と叫んだ言葉にも端的に表れている。
自民党議員は、「大災害になって選挙が行えないとき、議員の任期を自動延長する仕組み」として緊急事態条項が必要と口にしているが、それならば必要のない、個人の土地所有権など私権を強制的に停止し、基本的人権を奪い、政権に都合の悪い批判をする者を法的根拠なしに拘束できるという内容が含まれているのはなぜか?
しかも法レベルではなく、憲法レベルなので、裁判所の法解釈、個人保護が不可能になってしまう。
これは独裁強権権力を作りたいという安倍晋三と背後にいる統一教会の求めなのだ。
一番問題なのは、自民党や維新支持の保守的な若者たちが激増して、基本的人権を蹂躙することへの危機感が薄れていることだ。
なぜこうなったかといえば、私は、「階級としての連帯意識の喪失」を挙げている。
若者たちが、要領よく世渡りをすることを「良き人生」と思い込むようになり、大きな目で人生を俯瞰できる能力を失い、「目先のトク」ばかりを追いかけるようになったからと私には見えている。
資本主義=新自由主義体制の求める「期待される人間像」になることが、従順に馴致される家畜としての「要領のよい世渡り」を成功させる前提であると、若者たちが認識を共有するようになっていると私は思う。
私の時代のように、国家権力のあり方に疑問を抱き、自分の豊かな人生を犠牲にしてでも、社会全体を良い方向に向かわせようと考える若者が非常に少なくなっている。
そもそも、私の若い時代のように、厳冬の山を歩くような命知らずの冒険的若者をほどんど見かけない。また、昔の「猿岩石」のように世界を無謀に歩くことに憧れを抱く若者も見ない。四国の遍路でも、日本の若者がいなくて、外国人ばかりだ。
私も40年前に遍路を一部行ったが、当時は若者がまだたくさんいた。
今の若者は、自分の力によるアドベンチャーを回避しているかのようにさえ見える。
自分への革命を避ける、だから保守的なのだ。世の中の革命やイノベーションにも、ほとんど関心を持たない。ただ既存の権力者、安倍晋三や麻生太郎らに親しみを感じて「アベちゃん」なんて呼んで喜んでいる。
私は、これを見て、「もう日本社会は終わっている」と思った。
だから、麻生太郎が、「ナチスに学べ」といいながら緊急事態条項を推進しても、その本当の意味さえ理解できず、なされるがまま、馴致飼育されてゆくのだ。
そこにいるのは、新自由主義の家畜にすぎない若者たちなのだ。
権力に対して真正面から喧嘩を売ることもできない。やんちゃ者が、粋がってはいても、社会の矛盾に対して怒りをぶつけることはなく、ホストの高収入に憧れる程度だ。
なぜ、世の中の矛盾に対して、真正面から怒りをぶつけない!
なぜガザの民衆に連帯しようとしない? なぜ戦わない?
だから、権力者のやりたい放題、日本人はレミングの群れのように、一斉に集団自殺に向かって駆けてゆく。
メディア記者を見ても、ガザに向かったのはフリーの田中龍作一人じゃないか?
おいおい、戦場カメラマンは、なぜガザに入らない? もちろん生きて還ってこられる確率は低いが、それが戦場カメラマンというものだ。
馴致された若者しかいない日本人。怒らない日本人。要領のいい日本人。
そんな日本人の未来に、緊急事態条項がある。
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