パックン「暗黙の了解を破ったらほぼ間違いなく芸能界から干されてしまう」
日本のお笑いの、権力への迎合については、日本の脳科学者の茂木健一郎氏が「社会風刺を芸に昇華させることが出来ない日本のお笑い芸人は、国際的な基準と照らし合わせるとあまりにレベルが低く、オワコンである」と提言して大炎上。松本人志や太田光らがいっせいに反発した騒動は記憶に新しい。
これに対して、パックンは〈欧米のコメディーをグローバルスタンダードとし、それに当てはまらないだけで日本のお笑いを否定することは行き過ぎだと思う〉としながら、日本の芸人たちが欧米的な風刺芸をできないのには権力側からの圧力という構造的な問題があると語るのだ。
〈それは目に見えない一線を越えたときの制裁が、目に見えるからだ。企業が怒ると広告が消える。政治家が怒ると、同じ政党の政治家も取材に応えないことがある。この仕返しは当の番組だけでなく、その放送局の全番組まで対象になり得る。そんな環境では、芸人は当然自粛する。もちろん、この暗黙の了解を破る選択はある。しかし、それを選択したら、ほぼ間違いなく芸能界から干されてしまう〉
パックンのこの指摘は、日本の芸能界、テレビの本質を鋭く抉るものだ。けっして、表立った圧力があるわけではないし、パックンの言うように、「暗黙の了解を破る権利」はあるが、テレビで政権批判やタブーに踏み込んだ発言をした芸能人は十中八九、メディアから呼ばれなくなる。一方で、安倍政権をヨイショし、弱者叩きやヘイトすれすれの中国韓国批判を口にするようなタレントは、ひっぱりだこになっていく。その現実を、お笑い芸人たちは「目に見えて」わかっているのだ。だから、恐怖に怯え、過剰に空気を読み、体制に迎合する発言をしていく。
そういう意味では、この期に及んで「日本だって政治ネタだってできる、面白くないだけ」などとゴマカシを口にしていた太田光なんかよりも、パックンのほうがはるかに、日本の社会やメディア、芸能界の構造をきちんと分析できているというべきだろう。
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