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徽宗皇帝のブログ

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水道管破裂リスクの高い街
「smart flash」というネットマガジンの記事だが、素晴らしい記事である。直近の重大事件を、その原因究明に関わる社会的装置(適切な言葉を知らないのでこう言っておく。大学や企業の調査機関などだ)と結び付けて記事にしている。つまり、社会改善への貢献度が高い記事だ。こういう「地道な作業」を敬遠し、どこかのネット記事を引用したり編集したりするだけで記事(「こたつ記事」と言うのか)にするネットマガジンやニュースサイトが多すぎる。まあ、この記事自体が孫引き記事ではないと信じておこう。

(以下引用)

断水招く「水道管破裂リスク」高い街を最新AIが計算…千葉・流山市はじめ “全国最弱都市” が明らかに

ライフ・マネー 投稿日:2021.10.12 06:00FLASH編集部

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断水招く「水道管破裂リスク」高い街を最新AIが計算…千葉・流山市はじめ “全国最弱都市” が明らかに

すべての画像を見る水道管の破損リスクが高い自治体の全国ワースト10(データ提供・フラクタ)


 


 今月3日、和歌山市内の「六十谷水管橋」が崩落、約6万戸で断水となる事故が起きた。また、7日には千葉を震源とした強い地震により首都圏で次々と水道管から漏水、各地で道路が水浸しになった。これらの被害は、水道がはらむ深刻な課題を、あらためて我々に突きつけた。


 



 


 こう解説するのは、「水ジャーナリスト」で武蔵野大学客員教授の橋本淳司氏だ。



 


「この数字は、水管橋崩落のような巨大な事故から、道路陥没による水の噴き出し、小規模な漏水までを合わせたものです。水道管破損のおもな原因は老朽化。日本の水道管路のうち、法定耐用年数40年を経過したものは、2018年度のデータで約17.6%に及びます。


 


 六十谷水管橋は、1975年に完成し耐用年数は2023年までの48年とされており、老朽化が原因とは言い切れません。耐用年数を超えたらすぐに壊れるわけではないからです。とはいえ、水道管は定期的に更新していく必要があります。その工事が、日本全体としてあまり進んでいないのが現状です」(橋本氏)


 


 近年は高度成長期に整備された水道管の老朽化が目立つ。にもかかわらず、厚生労働省の発表によると更新率は年々低下し、全国平均で0.68%(2018年度)にとどまる。すべての水道管を更新するのに130年以上もかかる計算だ。


 


 都道府県別の水道管路老朽化率(水道管の総延長のうち耐用年数を超えている部分の割合)を見ると、ダントツで高いのが大阪府で31.7%。次いで神奈川県、京都府の順となっている。


 


 20の政令指定都市の中で老朽化率がもっとも高いのも、やはり大阪市。今年3月の時点で51%で、水道管事故が毎年100件以上発生している。大阪市では水道事業の運営を民間に移し、更新工事を促進しようとしたものの、公募に応じた事業者が「採算が取れない」として辞退するに至った。


 


「水道事業が抱える問題は大きく分けて、『水道管の老朽化』『料金収入の低下』『人材不足』の3つです。厚労省は資金補助、技術マニュアルの整備などをおこなっていますが、十分ではありません。一方の市民は水は出て当たり前、安くて当たり前と思っています。私たちも、もっと目の前の現実を直視すべきでしょう」(橋本氏)


 


 では、わが街の水道管は大丈夫なのか――それを知る手がかりとなる興味深いデータがある。AI人工知能)を使ってインフラ劣化予測のソフトウェア開発をおこなうFracta(フラクタ)が今年4月に公表した「全国自治体における破損確率の推計」という調査レポートだ。


 


「全国の可住地域を2km四方の単位で分割し、1単位あたりの水道管の破損漏水事故の起こりやすさ=リスクを試算しています」(フラクタ日本法人代表・樋口宣人氏)


 


 どのように計算するのか。


 


「米英日3カ国で30万件を超える破損漏水のデータから、事故のパターンをAIに学習させています。水道管は埋まっている環境によって劣化の速度が大きく変わり、その要因は非常に多く複雑です。同じ材質の水道管を同時期に埋めても、環境によって劣化の程度はぜんぜん違います。


 


 弊社ではその場所の地盤や傾斜、気象条件、産業利用地か住宅地かといった社会経済的情報など、1000以上の変数をデータベース化してAIに読み込ませ、全国の『破損リスク』を算出しています」(同前)


 


 同社のレポートから、破損リスクが高い自治体の全国ワースト10、都道府県別の自治体ワーストをまとめた。破損リスクとは、今後1年以内に1カ所以上で破損漏水事故が起きる確率。1位の流山市でいえば、2km四方あたりの破損確率を全市で平均すると約21%になる。その次には、大阪・泉大津市、神奈川・横須賀市が続いた。


 


「上位の流山市、泉大津市、横須賀市などの間に、明らかな共通点を挙げることはできません。しいていえば、人口密度が高く、産業が栄えている点です。


 


 また、このデータは、あくまで水道管が埋まっている環境についてのリスク調査の結果です。実際にどんな水道管であるかは考慮していません。


 


 破損リスクとは、その場所の水道管の状態を推測するための手がかりであり、数値が高いからといって、そこが即危険であるとは言えません」(樋口氏)


 


 とはいえ、自分の住む地域がどの程度の破損リスクを抱えているかの目安は、知っておいて損はないだろう。


 


「このAI解析は、改善が必要な箇所をピンポイントで探し出すのに非常に役立つツールだと思います。同じ自治体でも管路の傷みやすいエリア、傷みにくいエリアがわかるので、更新の目安になります。フラクタの破損リスクと、自治体が持っている水道管の情報を合わせれば、本当に修理が必要かどうかがわかります。自分の住む場所は水道管にとって優しい環境かそうでないか、基礎知識として把握しておくべきでしょう」(橋本氏)


 


 今後、水道管の更新費用がかさめば、水道料金は値上げされる可能性が高いとされる。しかしこのようなデータを使って、自治体が保守管理を効率化することで、値上げも最小限ですむということだ。


 


「和歌山の事故で注目が集まりましたが、ふだんは水道について興味を持つ人は多くありません。水は当たり前の存在ではなく、ある日、突然手に入らなくなるかもしれないという危機感を持ってほしいですね」(同前)


 


 水道管のトラブルは、いつ身近で起きても不思議はない。“足元” のリスクに目を向けるべきだ。


 


(週刊FLASH 2021年10月26日号)




 


「全国の水道管路総延長は約66万kmあり、年間に2万件を超える水道管の漏水・破損事故が起きています」


 


 こう解説するのは、「水ジャーナリスト」で武蔵野大学客員教授の橋本淳司氏だ。


 


「この数字は、水管橋崩落のような巨大な事故から、道路陥没による水の噴き出し、小規模な漏水までを合わせたものです。水道管破損のおもな原因は老朽化。日本の水道管路のうち、法定耐用年数40年を経過したものは、2018年度のデータで約17.6%に及びます。


 


 六十谷水管橋は、1975年に完成し耐用年数は2023年までの48年とされており、老朽化が原因とは言い切れません。耐用年数を超えたらすぐに壊れるわけではないからです。とはいえ、水道管は定期的に更新していく必要があります。その工事が、日本全体としてあまり進んでいないのが現状です」(橋本氏)


 


 近年は高度成長期に整備された水道管の老朽化が目立つ。にもかかわらず、厚生労働省の発表によると更新率は年々低下し、全国平均で0.68%(2018年度)にとどまる。すべての水道管を更新するのに130年以上もかかる計算だ。


 


 都道府県別の水道管路老朽化率(水道管の総延長のうち耐用年数を超えている部分の割合)を見ると、ダントツで高いのが大阪府で31.7%。次いで神奈川県、京都府の順となっている。


 


 20の政令指定都市の中で老朽化率がもっとも高いのも、やはり大阪市。今年3月の時点で51%で、水道管事故が毎年100件以上発生している。大阪市では水道事業の運営を民間に移し、更新工事を促進しようとしたものの、公募に応じた事業者が「採算が取れない」として辞退するに至った。


 


「水道事業が抱える問題は大きく分けて、『水道管の老朽化』『料金収入の低下』『人材不足』の3つです。厚労省は資金補助、技術マニュアルの整備などをおこなっていますが、十分ではありません。一方の市民は水は出て当たり前、安くて当たり前と思っています。私たちも、もっと目の前の現実を直視すべきでしょう」(橋本氏)


 


 では、わが街の水道管は大丈夫なのか――それを知る手がかりとなる興味深いデータがある。AI人工知能)を使ってインフラ劣化予測のソフトウェア開発をおこなうFracta(フラクタ)が今年4月に公表した「全国自治体における破損確率の推計」という調査レポートだ。


 


「全国の可住地域を2km四方の単位で分割し、1単位あたりの水道管の破損漏水事故の起こりやすさ=リスクを試算しています」(フラクタ日本法人代表・樋口宣人氏)


 


 どのように計算するのか。


 


「米英日3カ国で30万件を超える破損漏水のデータから、事故のパターンをAIに学習させています。水道管は埋まっている環境によって劣化の速度が大きく変わり、その要因は非常に多く複雑です。同じ材質の水道管を同時期に埋めても、環境によって劣化の程度はぜんぜん違います。


 


 弊社ではその場所の地盤や傾斜、気象条件、産業利用地か住宅地かといった社会経済的情報など、1000以上の変数をデータベース化してAIに読み込ませ、全国の『破損リスク』を算出しています」(同前)


 


 同社のレポートから、破損リスクが高い自治体の全国ワースト10、都道府県別の自治体ワーストをまとめた。破損リスクとは、今後1年以内に1カ所以上で破損漏水事故が起きる確率。1位の流山市でいえば、2km四方あたりの破損確率を全市で平均すると約21%になる。その次には、大阪・泉大津市、神奈川・横須賀市が続いた。


 


「上位の流山市、泉大津市、横須賀市などの間に、明らかな共通点を挙げることはできません。しいていえば、人口密度が高く、産業が栄えている点です。


 


 また、このデータは、あくまで水道管が埋まっている環境についてのリスク調査の結果です。実際にどんな水道管であるかは考慮していません。


 


 破損リスクとは、その場所の水道管の状態を推測するための手がかりであり、数値が高いからといって、そこが即危険であるとは言えません」(樋口氏)


 


 とはいえ、自分の住む地域がどの程度の破損リスクを抱えているかの目安は、知っておいて損はないだろう。


 


「このAI解析は、改善が必要な箇所をピンポイントで探し出すのに非常に役立つツールだと思います。同じ自治体でも管路の傷みやすいエリア、傷みにくいエリアがわかるので、更新の目安になります。フラクタの破損リスクと、自治体が持っている水道管の情報を合わせれば、本当に修理が必要かどうかがわかります。自分の住む場所は水道管にとって優しい環境かそうでないか、基礎知識として把握しておくべきでしょう」(橋本氏)


 


 今後、水道管の更新費用がかさめば、水道料金は値上げされる可能性が高いとされる。しかしこのようなデータを使って、自治体が保守管理を効率化することで、値上げも最小限ですむということだ。


 


「和歌山の事故で注目が集まりましたが、ふだんは水道について興味を持つ人は多くありません。水は当たり前の存在ではなく、ある日、突然手に入らなくなるかもしれないという危機感を持ってほしいですね」(同前)


 


 水道管のトラブルは、いつ身近で起きても不思議はない。“足元” のリスクに目を向けるべきだ。


 


(週刊FLASH 2021年10月26日号)


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