政府が7日にも発令する新型コロナ特措法に基づく「緊急事態宣言」。何が変わるのでしょうか。
Q 緊急事態宣言とは。
A 感染が全国的にまん延し、国民生活や経済に大きな影響を及ぼす恐れがある場合に、政府対策本部長を務める安倍晋三首相が都道府県単位の対象区域や期間を定めて宣言することです。具体的な措置を行うのはその区域の知事。住民に外出自粛を要請したり、学校休校や映画館などの施設の使用停止を求めたりすることができます。
Q これまでも北海道知事や東京都知事が外出自粛などを要請しました。どう違うのでしょうか。
A これまでの自粛要請には法的な根拠がありませんでした。今回の宣言は法律に基づく要請です。首相が宣言するためには、可能な限り事前に国会へ報告しなければならないなど、決定過程には厳格さが求められます。
Q 宣言による措置で、国民は強制されるのですか。
A 事業者が正当な理由なく応じなかった場合は、知事が法的義務の生じる「指示」を出すことができますが、違反したとしても罰則はありません。外出自粛やイベント開催制限、学校など施設の使用制限など、日常生活を縛る強制力はないと言えます。一方で、知事などが医療施設を造るために土地建物を所有者の同意なしに使用したり、医薬品や食品を収用したりするなど、強制力のある措置もあります。
Q 強制力があまりないなら、政府はなぜ宣言するのですか。
A 政府は法的根拠を持たせた宣言をすることで、国民が要請に従うようになる心理的な効果を期待しています。特措法では、要請や指示を出した場合に「その旨を公表しなければならない」とあり、都道府県が事業者名などを公表することで、従わない事業者に社会的な圧力をかける狙いもあります。
Q 法律に基づくなら、損失が出た場合は国や自治体が補償してくれるのでしょうか。
A 土地使用や食品収用など強制力のある措置では、国や都道府県が損失を補償する規定がありますが、外出やイベントなどの自粛の要請や指示では、損失を補償する規定はありません。個別の補償はしませんが、政府は、収入の減った事業主や家庭へ現金を給付するなど全体の経済対策で対応するとしています。
(川口安子)
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