例の上級国民の自動車事故の件で、「高齢者に運転免許を返納させろ」「高齢者の運転免許更新時の認知症検査を厳しくしろ」という声がネットにたくさん上がっているが、下の記事のように、統計を冷静に見てから論議すべきだろう。上級国民の問題は、それとまったく別の問題である。それは、単に「法の下の平等」を厳密に行え、という、現在の政府(そして過去のすべての政権)への批判でしかない。それは当然の批判だが、それに便乗しての発言(高齢者そのものへの差別的発言)とは区別すべきである。
高齢者の運転への批判をするなら、まず「10代と20代に運転免許を許可するべきではない」というのが、下の統計に基づく当然の帰結である。(これは、その年代で免許を初めて取る者が多いことの結果だが、統計的に論じればそうなるわけだ。つまり、高齢運転者とは超ベテランドライバー、そして安全運転者が大半なのである。認知症の問題はまた別の話だ。)
(以下引用)容量のため一部カット。
高齢ドライバーの事故は20代より少ない 意外と知らないデータの真実
市川衛 | 医療の「翻訳家」 2016/11/20(日) 8:30 警察庁「平成27年における交通事故の発生件数」より
10月、11月と高齢のドライバーによる交通死亡事故が相次いで報道されています。
「登校の列に車、小1男児が死亡 横浜、児童8人けが」(朝日新聞 10月28日)
「駐車場のバー折って歩道の2人はねる…車暴走」(読売新聞 11月13日)
実際に統計上、高齢ドライバーによる死亡事故の件数は増加しているようです。
でも考えてみると、いま日本では急速に高齢化が進んでいます。それとともに65歳以上の人口が増えているわけですから、事故の件数が増えてしまうのはある意味で当然のことです。
では高齢化の影響を除いた場合、高齢ドライバーによる事故は増えているのでしょうか?
高齢ドライバーが起こす交通事故は20代より少ない
上の図は、交通事故を起こした人(第1当事者)の数を年代別に、平成17年から27年まで見たデータです。
ポイントは、年代別の「全件数」ではなく、「その年代の免許者10万人当たり、どのくらい事故を起こしているのか?」を調べていることです。
こうすることで、より正確に「その年代の人が、どのくらい事故を起こしやすいのか」を知ることができます。
※16歳からのデータがあるのは、原付やバイクを含むからです。
まずわかることは、全年代でゆるやかに減っていることです。全体で見ると、10年前のおよそ半分になっています。
では、どの年代がもっとも交通事故を起こしやすいのでしょうか?上から順番に見ていくと、
「16~19歳」が傑出して多く、それに続くのが「20~29歳」。その次に来るのが「80歳以上」です。70代となると、他の年代とほとんど差はありません。
とはいえ、高齢者になるとペーパードライバー(免許を持っているけれど運転しない人)の割合が多くなりそうです。
そこで念のため、年代別の「全件数」のデータも調べてみました。
驚いたことに、20代・40代・30代が多く、80歳以上による交通事故が最も少ないことがわかりました。
少なくとも上記のデータからは、高齢者が若者と比べて特に交通事故を起こしやすいとは言えないのではないか?という気がしてきます。
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