兵庫県姫路市内で先月、集団登校中の小学生の列に車が突っ込み、男児2人が重軽傷を負った事故は17日で1カ月が過ぎた。自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で現行犯逮捕された会社員の男(61)は、その後の飾磨署の調べに「フロントガラスが曇り、前がよく見えなかった」と供述。冬場の冷え込みなどでガラスが曇り、視界不良で起きる事故は全国で相次いでおり、同署は注意を呼び掛けている。(伊田雄馬)
同署によると、事故は1月17日朝、姫路市飾磨区付城2の市道で起きた。片側1車線の信号機のない三差路。男は約300メートル離れた自宅から職場へ向かう途中だったという。
小学生は7人で集団登校中で、横断歩道を渡っていた6年の男児(12)と1年の男児(7)が足を骨折するなどの重軽傷を負った。
事故当時、男は体をかがめて運転していたとみられ、「フロントガラスに解氷スプレーをして出発したが、運転すると曇り始め、隙間から前を見ていた」と供述したという。
同署は視界不良が原因とみて、男を釈放して任意で調べている。
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同様の事故は全国でも発生している。
公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)の調べでは2015年、フロントガラスの視界不良で歩行者らの発見が遅れ、事故につながったケースは全国で32件、県内では1件あった。特に冬場は多く、大半を占めたという。
人身事故全体の件数はここ10年で大幅に減少する中、視界不良による事故はほぼ横ばいで推移している。
はりま自動車教習所(高砂市)によると、フロントガラスの曇りは車内外の温度差が主な原因という。
冬場は、地表の熱が上空に逃げる放射冷却が夜間に起きやすく、朝の気温が低下。事故が起きた1月17日午前6~7時はマイナス0・4度だった。「凍結し曇りやすい状況」(同教習所)という。
フロントガラスの温度を上げれば凍結や曇りは除去できる。温風を送る方法が有効だが、エンジン始動後すぐは効きづらい可能性があり、数分間停車したまま待つ必要がある。
同教習所によると、車の性能向上で、始動後すぐに走行が可能になり、「車を走らせれば車内が暖まるという意識がドライバーに強く、視界不良の状態で発進する人が多い」と指摘する。
ガラスにぬるま湯をかけたり、窓を開けて車内の湿度を下げたりするのも有効といい、同署は「曇りを放置するのは目をふさいで走るのと同じ。気付いたら路肩に止め、視界を十分確保するまで運転しないで」と訴える。
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