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徽宗皇帝のブログ

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間違いを長く引きずらないこと(プーチンもね)
「隠居爺の世迷言」記事が更新されていたので、読むと、なかなか面白い記事が引用され、隠居爺氏の解説も的を射ていると思うので転載する。
ドゥーギン氏の分析や判断は、ごく常識的なものだと思うが、なまじロシアびいきの私などは自分の希望や期待に引きずられて、これほど端的な思考や分析にならないのである。そういう意味で、かなり有益な記事だと思う。
まあ、すべてはアサド大統領の油断と、自国の軍隊(ほとんど敵と戦わずに逃亡した。)をきちんと把握してすらいなかった失態の結果で、さすがにそれでプーチンを批判はできないと思う。いくら協調的とはいえ、他国の政治は他国の政治なのだから。
まあ、これで、確実に見えた「西側諸国の敗北」は形勢が怪しくなってきたが、結局は「最後は経済力が決めてになる」と考えれば、今では西側諸国は「実体経済」が空洞化しているので、最後は非西側国家群が勝つとは思う。そしてトランプの「関税恫喝作戦」は、むしろアメリカと西側諸国の敗北を早める結果になると思う。

注:「引きずる」は「引きづる」と書く人が多いようだが、これは漢字では「引き擦る」だろうから、「引きずる」と書くのが正解かと思う。(今調べると、「引き摺る」と書くようだが、それでも「ひきずる」で正解であった。)


(以下引用)



 シリアについての評論記事をネットで検索したところ、「ロシアはシリアを失った。打撃は打撃、痛みは痛み」(Russia Lost Syria: A Blow is a Blow, a Pain is a Pain 2024.12.10)というものを見つけました。この記事は何回かご紹介している「The China Academy」に掲載されているもので、著者は「Aleksandr Dugin(アレクサンダー・ドゥーギン)」氏になります。

 The China Academyではアレクサンダー・ドゥーギン氏について、「プーチンの頭脳と推測される」「ロシア人の哲学者、社会活動家。社会学および政治学の博士、哲学の博士号取得者」と紹介されています。ウィキペディアでも、「2008年から2014年までモスクワ大学で教授を務めた。クレムリンに影響力を持つ存在とされ、ネオ・ユーラシア主義の代表的な思想家の一人とされる。」などと紹介されています。かなりの大物と思っていいのでしょう。

それでは記事をご紹介していきましょう。以下訳文を青字で示します。英語のできない私が勝手に意訳、要約、省略を行いますので、その程度のものであることをご了承ください。

 表題のすぐ下には、The China Academyの注釈があり、「シリアはロシアを弱体化させる広範な計画の中で、最も狙いやすい弱点であり、アサド政権の崩壊はトランプを待ち受けるバイデンの仕組んだ罠だった。」と記載されています。ということは、ロシアもトランプもバイデンにやられたということになるのでしょうか。本文を読んでいきましょう。

 
(シリアの状況は)ワシントンのホワイトハウスにおけるグローバリストの次善の案だった。しかし、トランプ氏の勝利は、ロシアを弱体化させる計画をすべて前倒しさせた。トランプを失敗させ、陥れるために、ワシントンの人々はロシアの地域的重要性を低下させる努力を加速させている。ロシアが弱く、不安定であるように見せることでトランプに誤ったメッセージを送り、ロシアを田舎の大国に過ぎないという誤った認識に導こうとしている。私はこれがシリアの状況の背後にある計画だと信じる。

 なるほど、ロシアのプーチン寄りと思われている学者・思想家は、「バイデンがトランプを誤った方向へ誘い込もうとしている」と読んでいるわけですね。そして、ロシアとトランプの仲を引き裂こうとする作戦の一つが、今回のシリアアサド政権の崩壊になるようです。

 現在グローバリストたちは、ロシアと米国の関係正常化を阻止するため、ロシアにできる限りの損害を与えようとしている。彼らは、アルカイダ、ISIS、クルド人などの敵対的な運動や、シリア軍とアサド政権内の裏切り者を呼び寄せてアサド打倒に成功した。グローバリストがアラブの春を開始して以来、10年以上もの間、計画が進められてきた。

 彼らはすべての伝統的指導者を打倒することを目指し、チュニジア、後にエジプトでそれを成し遂げた。彼らはまた、リビアとイラクで内戦を引き起こした。シリア、ロシア、中国は常に彼らのリストに載っていた。ロシアと中国は、宗教色の薄いアサド政権を救い、大量虐殺を防ぎ、シリアの少数民族や宗教的少数派の絶滅を防ごうとした。ロシアは軍事的に、中国はより経済的にシリアに共同で介入してきた。

 なるほどクルド人というのはアメリカの手下なんですね。そのために「日本に移民させて、ちゃんと面倒見てやれ」と日本政府はバイデン政権から命令されたのでしょう。もちろん、岸田元総理、埼玉県知事、川口市長は二つ返事で請け負いました。彼らは逆らえないのですよね、日本人がどれほど困っていても。

 そして、シリア問題の大きな狙いはアサド政権を打倒し、シリアを混乱させることによって、これまでシリアを支えてきたロシアと中国に損害を与え、信用を失墜させることだったというわけです。世界のどこかで政治的、軍事的異変が生じた場合、やはりそこには、必ずといっていいほどアメリカの悪巧みが存在しているようです。


 現在、ついにグローバリストによる敵対勢力間の連携が優勢になった。大きな損失だ。ただし物質的な損失ではない。例えば、ウクライナは私たちにとって重要な国であり、私たちは死ぬまでウクライナで戦う。シリアはそれほど優先度が高くないが、それでも多極化した世界と中東における私たちの戦略にとって非常に重要な国だった。そして、シリアの民間人への人道支援も損なわれた。

 ロシアは正直ですね。日本やアメリカと違って、シリアにおいて自分たち(ロシアと中国)が劣勢に置かれたことを認めています。日本やアメリカの政府やマスメディアはいつも大本営発表を垂れ流しますが、ロシア人の政権寄りの学者やThe China Academyは、劣勢は劣勢と正直に認めるようです。人間としての矜持の違いでしょうか、それとも勝者あるいは国に勢いのある者の余裕でしょうか。

 
これからどうなるか、私には想像もつかない。敵対する派閥間の争いが始まるのは確実で、シリアの市民社会、キリスト教徒やシーア派などの少数派は皆脅威にさらされている。ロシアにはシリアの人々を助ける力はもうない。ロシアにできることはすべてやりつくした。打撃は打撃として、痛みは痛みとして、損失は損失として受け入れる必要がある。しかし、私たちはこの悲劇から学ぶべきだ。反人類的な計画と世界支配への意欲を持つグローバリストの必然的な敗北は、このような出来事によって加速されるだろう。

 どうですか、この正直さ。ロシアの著名な学者が、中国のメディアに対して、「ロシアにはもうシリアを助ける力はない」と率直に意見を述べることができるようです。この真面目さ、そして冷静さは驚嘆に値します。日本も早く大本営発表をやめて、大人になることを考えてはどうでしょうか。

 グローバリストをはっきり敵認定しているところも注目に値します。私としては大賛成です。グローバリズムは決して成功することがありません。ダイエー、西友、イトーヨーカ堂、それに暴力団山口組に至るまで、全国制覇したように見えはしても、実は最終的には地元勢力にやられてしまうのです。大きな組織になればなるほど地元のニーズから離れてしまうわけで、支持を得られません。全国制覇、全世界制覇は壮大な夢に終わる宿命です。


 ロシア、中国、インド、そして多極化した世界の他の極は、世界に正義と真の民主主義をもたらし、すべての少数派が過激なテロリストの思想や行為から生き残れるよう支援するために、さらなる努力をすべきだと私は考える。

 短期的には中東に打開策はない。状況は危機的状況に達するまで悪化するだろう。シリア人のために、私たちは彼らの社会を救おうとしたが負けとなった。それが他の戦線でのグローバリストとの戦いに影響を与えることを受け入れる必要がある。しかし、トランプが大統領に就任するまでワシントンから距離を置くことができれば、グローバリストのアジェンダをある程度相殺できるかもしれない。同時に、トランプがイスラエルと、ネタニヤフ自身、ベン・グヴィル、ベザレル・スモトリッチなどのイスラエルのより過激なグループに完全に傾倒していることも、状況をより困難にする可能性がある。確実なことは何もない。

 今、世界は中東に限らず血なまぐさい混沌の中にある。私たちは西側諸国がしてきた方法とは異なる、国土、国家、民族、宗教間の関係を切り開く必要がある。西側諸国には人類を導くことはできない。紛争を引き起こし、戦争を始め、破壊することはできても、建設することはできない。

 最後にトランプのことが書かれていますね。著者のアレクサンダー・ドゥーギン氏はトランプに期待する一方で、障害になるかもしれない可能性も考えているようです。私も同様の感じ方をしています。つまり、トランプは私たちの味方かもしれない。しかし、場合によっては敵方に回るかもしれない。さらに、どちらにも属さず、玉虫色の中道を進むかもしれない。そんな不安を感じます。

 まあ、来年の今頃にはトランプの正体もかなりはっきり見えているのかもしれません。トランプに期待する声があちらこちらから聞こえて来ますが、
RFK Jr.ならともかく、トランプはそれほど高邁な政治家ではありません。むしろ海千山千でしょう。その点に留意する必要があります。

 そして、シリアがこのままイスラエル(アメリカ)の支配下に置かれたままかというと、おそらくそう簡単なものでもないのでしょう。アラブ各国が、トルコが、ロシアが、中国が、イギリスが、それを黙って見ているはずはないと思います。シリアを利用できると判断すれば、どこかが乗り出してきてまたきな臭くなってくるに違いありません。人間というもの、永遠にそれの繰り返しなのかもしれませんね。

 





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