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徽宗皇帝のブログ

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電気・ガス・水道の公営化と無料化もBI
記事タイトルに釣られて読んでみたが、まあ、羊頭狗肉の内容である。
要するに、世界各国のコロナ対策(臨時給付金)をBIの一種と見ただけで、書き手自身、財政面からBIは難しいという立場のようだ。しかし、議論の叩き台としては無意味ではないだろう。
BIは臨時のものではなく、基本的に、恒常的なもののことを言うのだと私は考えている。それでなければ、BASICとは言えない。年金や生活保護など、現在は一部の層だけが対象のBIを国民全体に広げるだけの話である。ただし、年金や生活保護は対象者が「働けない(労働が困難である)」ことが想定されているわけだが、一般論としてのBIは働ける人も対象になるのが論議のポイントになる。
要するに、「単なる怠け者にもカネを出して援助するのか」という、「道徳的怒り」を感じる人が多いわけだ。まあ、要するに「俺の払った税金を、俺の嫌いな奴らに配るな」という上級国民意識だろう。もちろん、税金を払っているのはすべての国民だ。
広い意味では、政府による恒常的な生活援助も形を変えたBIだろう。たとえば、コロナ騒動で電気・ガス・水道の一時的無料化を求める声があるが、それが実現するだけでなく恒常化するなら、一種の社会主義的政策であり、BIである。電気・ガス・水道などは税金と同様に、ほとんど抵抗不能の支払いであり、それを政府負担にすることで国民の可処分所得を増やすのは、所得の増加と同じだ。つまり、かつての民営化ブームの反対に、それらの仕事は政府の仕事とすること、そして同時に一定限度で無料化することも考えていい。(水道は現在も公営事業だが、民営化を叫ぶ新自由主義者がいるので、電気・ガスと一緒に論じた。)

(以下引用)

コロナ危機により、ついにベーシック・インカムが実現する可能性
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2020/04/post-100.php
2020年04月09日(木)12時07分  経済ニュース超解説 加谷珪一 ニューズウィーク


経済と財政への影響はどれほどあるのか? ANDREUS/ISTOCK


<各国で何度も議題に上がりながら、机上の空論のイメージを拭えなかった「最低所得保障」だが、真剣に導入を検討する国が現れ始めた>

ボリス・ジョンソン英首相が、全国民に最低限の所得を保障する「ベーシック・インカム(BI)」を検討する考えを示したことが話題となっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時的な措置ではあるが、主要国がこの制度について本格的に議論するのはおそらく初めてだろう。スペインも低所得者に限定した形だが、コロナ対策の一環として、最低限の所得を保証する制度について検討を開始している。

BIは経済的に豊かな欧州の小国を中心に以前から議論されており、2016年にはスイスが導入について国民投票を行ったこともある(結果は否決)。フィンランドでは17年から2年間の実証実験を行っており、オランダでも同様の実験が行われた。

BIでは最低限の所得が常に保障されるので、経済危機などで多くの人が一時的に仕事を失っても、安心して当面の生活を続けることができる。新しいビジネスにもチャレンジしやすくなるので、推進論者はBIを導入しても経済に悪影響を与えないと主張している。

一方で、労働者の就労意欲がなくなり、経済が低迷することを危惧する声も根強い。フィンランドの実験では、BI実施前後で就労状況に大きな変化はなかったので、限定された範囲内であれば、就労意欲の低下はそれほど心配しなくてもよいのかもしれない。だが何といっても最大の懸念材料は財源だろう。

■財政目標棚上げの可能性

フィンランドのケースでは1人当たり月額560ユーロ(約6万7000円)を配るというものだったが、仮に日本において全成人(20歳以上)に月額7万円を配ると仮定すると、毎年88兆円もの財源が必要となる。日本政府の一般会計予算は約100兆円しかないので、今のままでは到底不可能だが、一方で、日本は一般会計とは別に、年金に約52兆円、医療に43兆円、介護に10兆円、合計105兆円の社会保障関連支出を行っている(一部、一般会計と重複)。

年金受給者にBIを支給しなければBIの給付金額は58兆円に減らすことができ、BIの給付を月5万円にするとさらに41兆円まで下がる。それでも医療制度を自助努力型に変えるなど、根本的な歳出見直しを実施しない限り日本での導入は難しいと思われる。

ジョンソン首相が言及したのは一時的な措置なので、金融危機や今回の感染症のような事態が発生したときだけこの制度を発動する形にすれば、国によっては財政との両立が可能かもしれない。もっともアメリカは今回のコロナ対策として、現金給付を含む2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策を検討しているし、イギリスも休業者に賃金の8割を2500ポンド(約32万5000円)を上限に支給するプランを発表した。日本政府も金額は小さいが、現金給付を実施する予定である。

これまでBIに対しては、机上の空論というイメージも強かったが、非常時における期間限定の措置ということになると話は変わってくる。やり方によっては、いわゆる従来型BIと現金給付の違いは限りなく縮小するので、BIの定義そのものについても再検討が必要かもしれない。

筆者自身は金利上昇という日本にとって最悪の事態を回避するためにも、長期的な財政目標の維持が不可欠との立場だが、最近では消費減税を求める声が大きくなっており、財政目標が一時、棚上げされる可能性も高まってきた。大幅な財政拡大が国民の総意として許容されるのであれば、BIの導入についても一気に道筋が開けてくるだろう。

<本誌2020年4月7日号掲載>





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