平井卓也公式サイトより
16日、ついに菅内閣が発足した。菅義偉首相は新内閣について昨日の会見で「国民のために働く内閣」と当たり前すぎることをアピールしていたが、さっそくツッコミが殺到しているのが、デジタル改革担当相に抜擢された平井卓也氏だ。
というのも、平井氏といえば、検察庁改正案の審議がおこなわれていた5月13日の衆院内閣委員会に出席していた最中に、タブレットで「ワニ動画」を閲覧していたことで批判を浴びたばかりの人物。
しかも、本サイトでも取り上げてきたように、平井氏は自民党ネットメディア局長を務めていた2013年、「ニコニコ動画」で党首討論が生放送された際、国会議員であることを隠してスマートフォンで「あべぴょん、がんばれ」などといったコメントを投稿。さらに、社民党の福島瑞穂党首が発言したときには「黙れ、ばばあ!」などと書き込んでいたことが発覚したのだ(この事実は当時、東京新聞が報道し、本人も事実を認めている)。
「ばばあ」というのは、個人への誹謗中傷どころか、女性に対する明白な差別発言である。こんな人物を、菅首相はよりにもよって「最優先課題」と位置づけている「デジタル庁」創設に向けたデジタル改革相に選んだのである。
デジタル担当相といえば、先進的な取り組みで知られる台湾のIT担当大臣オードリー・タン氏を思い浮かべる人も多いだろうが、タン氏の聡明さや思慮深さとは程遠く、誹謗中傷を匿名で書き込み、国民が注目していた重要法案の審議中にワニの動画を閲覧していたというだけの「最悪のデジタル担当相」が誕生してしまったのだ。
だが、問題は「デジタル庁の創設」そのものにもある。この「デジタル庁」が、新たな利権の温床になる可能性が極めて高いからだ。
そもそも、菅首相は今月4日に出演した『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)でデジタル省の設置に言及し6日におこなわれた読売新聞のインタビューで「デジタル庁の創設」をぶち上げたのだが、これは竹中平蔵氏が訴えていたものだ。実際、3日におこなわれたロイターのインタビューでは、竹中氏が“新型コロナ感染防止と経済回復のためにはデジタル化の推進が解決策”とし「デジタル庁みないなものを期限付きで作ればいい」(原文ママ)と語っている。また、昨年には、菅氏がゲストとして参加した経営者向け講演会において、司会だった竹中氏は「行政のデジタル化の推進」に言及していたという。
これはたんなる政策の一致ではない。ふたりは小泉純一郎政権時に竹中氏が総務相、菅氏が総務副大臣を務めた関係にあるが、じつは、いまでも毎週のように会っているともいわれているほどの仲。つまり、竹中氏が入れ知恵をし、菅氏はそれを目玉に掲げたのだ。
当然、竹中氏はデジタル化を行政に推進させることで、そこに自身がグループの取締役会長を務めているパソナを食い込ませようという魂胆もあるだろう。竹中氏といえば、安倍政権下で、国家戦略特区諮問会議の民間議員でありながら、国家戦略特区で選ばれた事業にパソナや社外取締役を務めるオリックスの子会社を食い込ませていた。さらに、「持続化給付金」事業で電通のトンネル法人となっていた「サービスデザイン推進協議会」の設立には電通とともにパソナも関与し、申請サポート会場の設置運営などといった多くの業務がパソナなどに外注されていた。「デジタル庁の創設」は、竹中氏にとって新たな“金のなる木”となるのは間違いない。
いや、これはパソナだけではなく、「持続化給付金」問題で官庁との癒着があきらかになった電通も同じだ。
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