だが、こういう場合には一番単純な解決方法があり、それは「少数者の生命より多数者の生命を選ぶ」という方法だ。もちろん、それは「多数のヤクザ的人間の生命を守ることで神さまみたいな少数の人間の生命を奪うことになる」可能性もあるわけだが、それでも仕方がないのだ。とりあえず、人間の生命は平等という立場でしかこのトロッコ問題は解決できないだろう。
言うまでもなく、新コロ問題がトロッコ問題だと言うのは、「コロナ感染者(未感染者含む)の生命を守ることを優先するか」それとも「このままだと経済死を迎える無数の人間の生命を守るか」という二者択一問題だからだ。どちらを選んでも「それは間違いだ」と言われることになる。生命も経済(市民生活)もどちらも守る、あるいは賢明な妥協点を見つけるということは実は可能だろうが、日本政府にはどちらも守る気はない。それはおそらく、このパニックを利用して老人人口と中小企業を減らし、そのついでに、あわよくば憲法改悪をする意図だろう、というのが私の推理だ。
そして国民意識としては、この新コロ問題が「生命か経済か」というように短絡化されて話がおかしくなっていると思う。生命を守るには経済も守らねばならないのは当然のはずだが、「生命を守る」ことだけで頭に血が上って、「マスクをしない奴は非国民だ」、「営業自粛しない奴は非国民だ」、「三密を守らない奴は非国民だ」という話になる。目の前の小川を渡ったら、その先にはとんでもなく深い河があるのである。それは経済死であり、コロナの死者より遥かに多い死者なのだ。つまり、多数者(しかもコロナ患者より圧倒的な多数者)の生命を守る、という単純な考えなら、答えは明白である。要するに、「in deep」氏(岡氏)が幾つかの記事で言っているように、ロックダウン(緊急事態宣言)こそが世紀の愚策であり、後世からは狂気の時代と言われるだろう。
なお、アメリカの経済的惨状が「in deep」最新記事にあるが、今の状況だと日本がそうなるのも目前だろう。政府は緊急事態をあとひと月延長すると思うが、それで生き残れる企業や産業がどれだけあるか。しかも、その影響はさらに後々まで大きく残るのである。それは生産活動だけでなく、第二次産業や第三次産業、すべての消費生活にまで及ぶのだ。
(以下引用)容量のため記事前半だけの転載。
「相談を受けていて恐怖を感じたほどの現状だ」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事や収入を突然奪われた人からの相談会を開催した弁護士はそう語った。全国の会場の電話は鳴り続け、寄せられた相談は2日間で5千件を超えた。個人事業主から正規・非正規の会社員、年金生活者、開業医まで、日々の糧を奪われた人々からの「うめき」のような訴えは、コロナによる未曽有の生活危機の現実を浮き彫りにした。「自己責任」と切り捨てられない、誰もが当事者になり得る今回の事態。悲痛な訴えから、今、必要なことを考える。(朝日新聞編集委員・清川卓史)
【イラスト解説】「コロナで仕事もお金も…」家賃もらえる制度知っていますか?やさしい日本語で解説
この「いのちとくらしを守るなんでも相談会」は、貧困・労働問題に取り組む団体でつくる実行委員会が4月18・19両日に開催した。法律家や労働組合関係者らのべ600人近い相談員が対応した。
実行委は4月23日に都内で記者会見し、大型連休中も通常通り行政などの支援窓口を開くことなどの緊急要望を国に伝えた。
相談の多くは、外出自粛や休業要請で突然収入を断たれ、暮らしが立ちゆかなくなったという内容だ。
「歩合給で手取り5万~6万円まで減少。手持ち金も10万円程度で家賃を払うと5月から生活困難」(タクシー運転手)
「4月上旬に解雇され5月に社宅を出るように言われている」(飲食店店長)
「5月6日まで休校で無給になると言われた」(学校給食調理・契約社員)
最も多かったのは個人事業主・フリーランスの人からの相談だった。
理美容店、バー・スナック、ペンション、居酒屋、音楽教室、パソコン教室、道場、インストラクター、通訳――。職種は多岐にわたり、なかには開業医からの相談の声も。
「3月は教室閉鎖で収入ゼロ。中学生の子と2人暮らし」(フリーのヨガ講師)
「夫婦で英会話教室を自営しているが3月から休んで収入がない」
「夫は自営で配管工。3月から仕事がへり4月はゼロ。子どもが3人いて家のローンもある。自分もパートをしているが『今月はこなくてよい』と言われた」
「コロナで売り上げが急減し、4月は手取り3万円。年金5万円を加えても家賃6万6千円を払うと生活費がほとんど残らない」(運送業)
「患者が激減して収入が半減。職員の給与や機器の返済、家賃で悩んでいる」(耳鼻科開業医)
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