右寄りでも左寄りでもなく、現在の政局をバランス良く鳥瞰した、好記事だと思う。
少女Aならぬ、「戦犯A」は、少し笑った。自民党内では「名前を口にしてはいけないあの人」扱いなのだろうwww
私などのような安倍批判者から見れば「THIS」guysは、戦犯と言うより、むしろ安倍政権がどういうものか国民の前に明白にしてくれた「戦功者」である。
(以下引用)
安倍自民、大敗で狂う「総裁3選」「20年改憲」 7月に党・内閣改造の前倒しも「両刃の剣」
今年最大の政治イベントとされた7月2日の東京都議会議員選挙で自民党が歴史的惨敗を喫した。「加計学園疑惑」封じとも見えた強引な「共謀罪」法成立による通常国会閉幕に続き、有力閣僚の失言や「魔の2回生」女性議員の暴言・暴行事件など政治的スキャンダルを連発する安倍晋三政権に都民が厳しいお灸をすえた結果だ。
「都民ファーストの会」が圧倒的な都議会第1党となり、「知事与党」が大幅に過半数を超えて、得意満面の小池百合子都知事。対する安倍首相は3日午前、「自民党に対する厳しい叱咤と受け止め、深く反省しなければならない」とうなだれ、首相側近の下村博文幹事長代行は自民党都連会長辞任を表明した。
「一地方選挙だから」とはとても言えない「首都決戦」での歴史的大惨敗は首相を頂点とする「1強政権」を直撃した。既定路線化していた首相の2018年9月の自民党総裁3選と、それに連動する衆院解散や「安倍改憲」戦略にも狂いが生じることは避けられそうもない。
都議選での民進党低迷や"ポスト安倍"候補の迫力不足もあって「1強体制」はなお続くとの見方が多いが、内閣支持率の下落傾向には歯止めがかからない。党内の「反安倍」の動きも顕在化しつつある。7月下旬への前倒しもささやかれる党・内閣改造人事での「人心一新」を出直しへの"切り札"にできるかも予断を許さない状況だ。
「握手拒否」で落選、「都議会のドン」も過去の人
都議選結果は「誰も想定しなかった自民党の歴史的惨敗」(閣僚経験者)となった。42選挙区(127議席)で実施された都議選は小池知事が代表を務めた地域政党「都民ファーストの会」が追加公認も含めて55議席を獲得、選挙協力した公明党などとの合計は79議席で過半数(64議席)を大きく上回り、「小池与党」が"都議会制圧"を果たした。都民ファーストは50人の公認候補のうち49人が当選し、推薦した民進党離党組などの無所属の当選者6人も直ちに追加公認した。
一方、築地市場移転問題への小池氏の対応などを「決められない知事」と批判して60人の公認候補を立てて戦った自民党は、過去最低だった38議席を大幅に下回る23議席という「想定外の惨敗」(都連幹部)となった。
前回自民全勝だった7つの1人区は今回「小池VS自民」の構図となったが、自民は島部の1議席を維持しただけで完敗した。15の2人区でも都民ファーストの公認・推薦候補が全選挙区で議席を獲得し、小池氏と選挙共闘した公明や「東京・生活者ネットワーク」も合わせると台東、渋谷両区など7選挙区での2議席独占を許し、3~8人区も含めて多数の「自民ゼロ選挙区」が出現した。
なかでも中野区の川井重勇都議会議長と、北区の高木啓都議会幹事長という自民都連の大幹部の落選が、自民に吹いた逆風の強さを浮き彫りにした。川井氏は昨夏の都知事選直後の当選挨拶で小池知事との握手を拒否したことなどが敗因と受け止められている。都議会のドンと呼ばれた内田茂元自民都連幹事長の地元の千代田区でも、内田氏が推す女性候補が都民ファーストの新人男性候補に惨敗し、内田氏も「完全に過去の人」(自民幹部)となった。
敗因は「THIS」だが、主犯は「A」
都議選の結果分析でも党派別得票率では都民ファーストが33.68%で断然トップ。自民党は22.53%と前回選挙から14ポイントも減らした。各党の獲得議席をみると、公明党は23議席で7回連続での公認候補全勝を果たし、自民党と同議席で都議会第2党を維持した。都議会であえて自民党から離れたことが奏功した形だ。国政での野党組では共産党が19議席と2議席伸ばす一方、民進党は2議席減の5議席と低迷した。ただ、都議選前に離党者が続出した民進党は一時、「議席ゼロ」もささやかれていただけに「それなりに存在感は示せた」(幹部)と胸をなでおろし、蓮舫代表も続投の構えだ。
注目された投票率は51.28%で、前回2013年の43.50%を7.78ポイント上回った。ただ、民主党政権の誕生につながった2009年の54・49%よりは3ポイント超下回った。選挙専門家は出口調査などから「閣僚や自民議員のあきれた言動に自民党支持者が棄権したことが投票率の大幅上昇を阻んだ原因では」と分析する。首相に代わって「自民党の顔」として都議選応援の主役を務めた小泉進次郎党農林部会長が「大逆風は自民党自らがまいた種」と指摘したように「小池旋風よりも自民党の自滅」(自民幹部)が今回都議選の実態といえそうだ。
永田町では自民惨敗について「THIS IS 敗因」(閣僚経験者)との指摘が大ウケしている。「頭文字をとって、Tは豊田、Hは萩生田、Iは稲田、Sは下村」という解説だ。秘書に信じられないような罵詈雑言を浴びせ、暴行もしたという「魔の2回生」の豊田真由子衆院議員、加計学園問題で「総理の意向」を振りかざして文部科学省を押し切ったとの疑惑を招いた萩生田光一官房副長官、「自衛隊としてご支援を」と弁護士出身らしからぬ失言で火だるまになった稲田朋美防衛相、そして選挙戦の最中に加計学園関係者からの「闇献金疑惑」が週刊誌に報道された下村氏の4人が自民惨敗の"戦犯"というわけだ。
ただ、「4人の疑惑などは確かに票を減らしたが、そもそも"1強"にあぐらをかいた安倍政権の独善的な政局運営への国民の不信、不満が底流にある」(首相経験者)ことは否定しようがない。永田町でも「『THIS IS』のあとに『A』を入れるべきだ」との声も広がる。当然、「A」とは首相を指していることは間違いない。
改造人事は「両刃の剣」、裏目に出ることも
首相は3日午前のインタビューで「安倍政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったのだろう。政権を奪還したときの初心に立ち返って全力を傾けていく。国政には一時の停滞も許されない。身を引き締め、謙虚に丁寧に、前に進めなければならない」と慎重に一語一語区切りながら反省の弁を述べた。首相はこれに続く自民党臨時役員会でも政権の信頼回復に向け、「今後どういう対応を取ればいいか、それぞれが検討してほしい」と指示した。
一方、同日昼の政府・与党連絡会議では山口那津男公明党代表が「政府・与党が結束し、国民の期待に応えていくべきだ」と発言、それを受けた自公党首会談でも緊密な連携を確認した。都議選では自民党と対立する立場となった公明党も「国政は全く別」(山口代表)との認識を強調した格好だが、自民党内には「都議選惨敗の原因は公明党の裏切り」(都連幹部)との"恨み節"も渦巻いており、「しこり解消にはかなり時間がかかる」(同)ことは間違いない。
首相サイドが「出直しのチャンス」(側近)と期待するのが党・内閣改造人事だ。首相は当初、9月末の自民党役員任期切れに合わせての改造人事を予定していたが、都議選惨敗による窮地脱出には早期の「人心一新」が必要との判断から早ければ7月下旬にも人事を断行する構えだ。ただ、60人近くとされる入閣待望組を中心とした「派閥順送り人事」では国民の批判に応えられず、かといって「首相が一本釣り人事を徹底すれば、各派領袖から恨みを買いかねない」(側近)とのジレンマがある。
「問題閣僚を一掃して、お友達優先でない実力者内閣を、と口で言うのはやさしいが、人事は両刃の剣」(首相経験者)だけに、人選次第では改造断行が裏目に出る可能性も小さくない。「これまで以上に(閣僚候補の)身体検査をしっかりやらないと、また問題閣僚が出れば致命傷になる」(同)というリスクもある。
次期衆院選圧勝や憲法改正も「夢物語」に?
そうした中、都議選惨敗で首相の改憲戦略も不透明感が増した。
首相は2012年の再登板後の国政選挙3連勝で築いた「1強体制」を背景に、(1)秋の臨時国会に新たな自民党改憲案提示、(2)来年の通常国会会期末までの改憲発議、(3)来年秋の改憲国民投票―との戦略を描いていたとされるが、「安倍改憲には賛成できない」とする石破茂前地方創生担当相らの批判に同調する声が拡大している。そもそも、与党の公明党は「野党第1党の民進党の協力を得ての改憲発議」(幹部)を主張しており、自民党内に慎重論が強まれば「2020年の新憲法施行」との首相の大目標も実現困難になりかねない。
首相は改憲発議と衆院解散を絡めて「一気に改憲実現に持ち込む考え」(側近)だったとされるが、その次期衆院選での圧勝も「もはや夢物語」(自民幹部)になりつつある。小池知事は3日の会見で「これから4年間、都政に専念する」と力説したが、小池氏周辺では「『都民ファーストの会』を『国民ファーストの会』に格上げして次期衆院選に殴り込む」との声も出る。今回の都議選結果を踏まえると「小池新党が衆院選で首都圏に新人候補を擁立すれば自民党議員の大量落選につながる」(自民選対)可能性は高い。そうなれば「改憲どころか自民党内での"安倍降ろし"の引き金になる」(自民長老)からだ。
都議選が開票された2日夜、首相は都内のレストランで麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、甘利明前経済再生担当相と会談し「経済最優先で国民の信頼回復に努める」ことを確認したという。麻生氏らは再登板後の安倍内閣の3本柱といわれた盟友だ。しかし、「こんな時に高級レストランでワインを飲みながら話すのは非常識」(自民若手)との批判も相次ぐ。まさに「何をしても批判される」(側近)という"負の連鎖"が始まっている。
首相の常套句「築城3年落城1日」となるか
都議選最終日の秋葉原での街頭演説での「安倍辞めろ」コールに「こんな人たちに絶対負けるわけにはいかない」と絶叫した首相だが、「感情的反発を反省したばかりなのだから、まずは結果を厳粛に受け止め、自らの足元のゆるみやおごりを正すことが必要」(自民長老)だろう。
都議選の歴史を振り返ると、自民党が38議席に沈んだ前々回選挙の直後の衆院選で民主党に政権を奪取された。ただ、同党が党名を変えた民進党は今回都議選で僅か5議席と低迷したため、自民党内には「都議選結果が政権交代に結び付くわけではない」(幹部)との余裕もある。ただ、ここにきての首相の常套句となった「築城3年落城1日」は"寸前暗黒"とされる政局の怖さも象徴している。首相にとって再登板から4年半後に訪れた最初で最大のピンチをどう切り抜けるのか。まさに1強首相の正念場である。
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