- 37 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:25:31.212 ID:Qb/YY3FO0.net
- 社畜C「女さん、今日は出張(デート)に行かないか?」
女「喜んで!」
社畜C(よし……今日こそ女さんにプロポーズするぞ!)
社畜C(この給料三ヶ月分の指輪を渡して……!)
- 38 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:27:29.209 ID:Qb/YY3FO0.net
- 出張先――
社畜C「たまには普段来ないような地方に出張ってのも、いいもんだね」
女「ホント、食べ物もおいしいし」
社畜C「ところで……」
女「なあに?」
ビシィッ! バシッ! バチンッ!
社畜C「?」
女「なにかしら、この音?」
- 39 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:31:00.748 ID:Qb/YY3FO0.net
- 社畜C「あっちの方角から聞こえたね」
女「あれは……」
黒社員A「コラァ、手が止まってンぞ!」バシッバシッ
黒社員B「働け! 血ヘド吐いて、過労死するまでな!」ビシッビシッ
社畜C「なんてむごい……」
女「あれは……ブラック企業だわ。ああやって位の低い社員をムチで叩いて働かせてるのよ」
女「できれば助けてあげたいけど……」
社畜C「俺たちにブラック企業と戦う力はないし」
社畜C「彼らを助けたところで、世の中が変わるわけじゃない。見捨てるしかないよ」
社畜C(俺もホワイト企業に入れなきゃ、ああやって鞭打たれてたんだろうなぁ……)
社畜C(あの時、荷馬車から逃げ出して本当によかった……)
社畜C「――ん?」
- 40 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:34:24.936 ID:Qb/YY3FO0.net
- ビシッ! バシィッ! ベチッ! バシィッ!
社畜A「ぐっ、がはっ……!」
社畜B「う、ぐぅ……」ガクッ
黒社員A「あ、こいつ失神しやがった! 水ぶっかけろ!」
黒社員B「おう! 沸騰した熱湯をぶっかけてやるぜ!」
黒社員A「ウヒャヒャ、そりゃいいや!」
社畜C「あの二人は……!」
女「どうしたの?」
社畜C「いや……なんでもないよ。行こう!」クルッ
- 42 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:38:17.625 ID:Qb/YY3FO0.net
- 社畜C(まさか、あいつら……あんな過酷な扱いされてるなんて……)
社畜C(きっと俺が逃げ出したこととも無関係じゃないだろう)
社畜C(いやだけど、どうしようもないじゃないか!)
社畜C(俺にブラック企業と戦う力はないし、あいつらを助ける力もない!)
社畜C(それにこのままいけば、俺は女さんと結婚して、ホワイト企業の社長になれるんだぞ!?)
社畜C(悪いのはあくまでブラック企業なんだし、放っておけばいいんだよ!)
社畜C(だけど――……)
- 43 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:42:30.908 ID:Qb/YY3FO0.net
- ホワイト企業――
白社長「彼は……どうしたんじゃ?」
白社長「あの出張以来、仕事こそこなすが、すっかり口数が少なくなってしまったが……」
女「それが……原因が分からないの」
女「いくら聞いても教えてくれないし……」
白社長「うーむ、もしやうつ病か?」
白社長「だったら休職を勧めてみるか……」
女「そうよ、お父さん、そうしてよ!」
白社員A「社長、大変です!!!」
- 44 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:46:16.157 ID:Qb/YY3FO0.net
- 白社長「なんじゃと!? 彼が退職届を残して、いなくなってしまった!?」
女「そんな……!」
白社員A「は、はい……」
白社員B「それに、我がホワイト企業に伝わる三種の神器も消えてしまいました!」
白社長「……そうか、そういうことか」
女「お父さん、何か心当たりがあるの?」
白社長「彼の正体は薄々感づいておった……彼はおそらく牧場で育てられた“社畜”じゃ」
女「社畜……!」
白社長「そして、出張の時、自分の同胞が傷つけられてるのを見て――」
- 45 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:49:41.552 ID:Qb/YY3FO0.net
- ブラック企業――
黒社員A「さあ、今日こそ過労死させてやるぜ!」
黒社員B「てめえらは全国の牧場で育てられてる社畜どもの見せしめになるんだよ!」
黒社員B「仲間の逃亡を見逃したら、こうなるってなァ!」
黒社員A「覚悟しやがれ!」
社畜A「過労死か……へ、へへへ……」
黒社員A「何がおかしい!」
社畜A「これでやっとお前らみたいなクズどもとおさらばできると思うと、せいせいするぜ……」
社畜B「まったくだ……」
黒社員A「底辺のくせに、口が減らない奴らだ!」
黒社員B「よぉし、まずは爪の間に針を――」
ドゴォォォォォンッ!!!
- 46 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:52:39.757 ID:Qb/YY3FO0.net
- モクモク…… モクモク……
黒社員A「な、なんだァ!?」
黒社員B「サイに乗った野郎が、襲撃をかけてきやがった!」
社畜C「さすが『労働基準砲』……すごい威力だ」
社畜C「『労サイ』! あの黒スーツの社員どもをハネ飛ばしてやれ!」
労サイ「ブモオオオオオオッ!!!」ドドドドドッ
黒社員AB「うっ、うわぁぁぁぁぁっ!!!」
ズガァンッ!!!
- 49 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:56:11.419 ID:Qb/YY3FO0.net
- 社畜C「おーい、無事か!?」
社畜A「あっ、お前! どうしてここに!?」
社畜B「よかった……生きてたのか!」
社畜C「お前たち、あっちの方角に逃げろ! あっちにずっと走ればホワイト企業がある!」
社畜A「お前……せっかくホワイト企業に入れたのに、俺たちを助けに来たのかよ!」
社畜B「なにやってんだよ! ブラック企業に歯向かったら、過労死しちまうぞ!」
社畜C「なにしろ俺、社畜だから……」
社畜C「ホワイト企業でまったりするより、仲間のために死に物狂いで働く方が性に合ってるのさ!」
社畜A「バカヤロウが……!」
- 51 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 22:59:38.239 ID:Qb/YY3FO0.net
- ザッザッザッ……!
黒重役「ブラック企業に歯向かうテロリストが! この私が成敗してくれる!」
社畜C「大軍がやってきたか……!」
社畜C「早く逃げろ! 俺にはこの鎧『労働組アーマー』があるから、そう簡単にくたばらない!」
社畜A「すまねえ……!」タタタッ
社畜B「ありがとう……! 死ぬなよ……!」タタタッ
社畜C「行くぞ、労サイ! ひと暴れしてやろうぜ!」
労サイ「ブモォォォォォッ!!!」
社畜C「労働基準砲を喰らえッ!」バシュッ
黒重役「ぐぎゃああああああっ!」ズガァァァァァン!!!
- 52 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 23:04:07.494 ID:Qb/YY3FO0.net
- ――
――――
ドゴォォォォォンッ! ズガァァァァァンッ! バゴォォォォォンッ!
社畜C「ハァ、ハァ、ハァ……」
労サイ「ブモォォォ……」
黒社長「ここまでだな」
黒社長「貴様のおかげで、我が社も大打撃をこうむってしまった」
黒社長「だが、しょせんは無駄な努力だ」
黒社長「我が社には、会社のためなら死ねるというソルジャーが腐るほどいるし――」
黒社長「私を倒せたとしても、すぐ誰かが次の社長になるだろう」
黒社長「仮に我が社が倒産したとしても、ブラック企業はガン細胞のように増殖する……」
黒社長「貴様の戦いは全くの無駄だったのだ」
社畜C「そんなこと最初から分かってるさ……」
社畜C「だけど……それでも俺は……お前たちに一矢報いたかったのさ……」
黒社長「愚かな……」
- 54 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 23:07:57.581 ID:Qb/YY3FO0.net
- 黒社長「全社員、構え!」
ザザザッ!
社畜C「ドナドナドーナー……ドーナー……」
社畜C「もしも翼があーったならば……楽しい牧場に帰れるものをー……」
労サイ「ブモォ~……!」
社畜C「この状況……翼でもなきゃ、逃げるのはムリだな……」
社畜C「労サイ……ありがとう……。もう働かなくていい……。座ろう……」
黒社長「ハチの巣にしてやれェッ!!!」
ガガガガガガッ……!
- 55 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 23:15:05.534 ID:Qb/YY3FO0.net
- ――
――――
ホワイト企業――
社畜A「日経新聞によると、俺らがいたブラック企業は倒産したそうだ」
社畜A「あいつの攻撃で、大打撃を受けたのが響いたらしい」
社畜A「俺らを育ててた牧場も、連鎖で倒産して、大勢の社畜が解放・救出されたらしい」
社畜B「あいつはやったんだ! 社畜みんながやりたかったことを、やってくれたんだ!」
社畜B「だけど、あいつは……!」
女「ううう……!」
白社長「……」
- 57 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 23:18:21.798 ID:Qb/YY3FO0.net
- 白社長「よし、わしは決めたぞ!」
白社長「今までわしは世に蔓延るブラック企業に対し、消極的であったが……」
白社長「これからは大々的にブラック企業のやり方を糾弾してやる!」
白社長「そして……一人でも多くの社畜を救うのじゃ!」
白社長「それが唯一わしにできる、彼への弔いじゃ……」
白社長「わしの決断が遅かったばかりに……惜しい男を亡くしてしまった……」
女「お父さん……」
「おーい!!!」
- 58 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 23:20:51.033 ID:Qb/YY3FO0.net
- バッサバッサ……
社畜C「おーい!」
社畜A「あ、あれは!?」
社畜B「うおおおお! 間違いない! あいつだ!」
白社長「おお……翼が生えたサイに乗っておる!」
女「……生きてたのね! よかった……!」
- 59 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします :2017/02/15(水) 23:24:38.666 ID:Qb/YY3FO0.net
- 社畜A「あんだけの敵軍相手に、よく生きて戻ってこれたな!」
社畜B「どうしてサイに翼が生えたんだ?」
社畜C「実はな、この『労サイ』に“座ろう”って語りかけたら、なんと!」
社畜C「『労サイ』が『スワロー・サイ』に進化したんだよ!!!」
スワロー・サイ「ブモッ!」
社畜AB「な、なんだってー!!!」
白社長「三種の神器の一つ『労サイ』にそんな力が眠っていたとは……」
白社長「やはり、我が社の次期社長は君しかおらん! 退職届は破り捨てる!」ビリビリッ
社畜C(ドナドナの歌で、子牛は空を飛び交うツバメを見て、翼があれば……と羨ましがったが)
社畜C(どうやら俺は……翼を味方につけることができたようだ)
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