忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

「世に倦む日々」氏の国家百年の大計
「世に倦む日々」記事の後半で、長い記事なので前半は省略する。私は、日中・日露関係が修復されたら、朝鮮半島との関係も(利害関係から見て)自動的に定まるという考えなので、特に論じるまでもない、と見ている。案外、半島の南北統一もわりと早く実現するのではないか。まあ、そうすると「金王朝」で殺された人々の遺族の恨みが金一族に向かうだろうから、経済的メリットより「お家存続」を優先して統一阻止に北は動くかもしれない。まあ、半島のことは無視するのが一番だろう。隣家の騒動に巻き込まれないことだ。

(以下引用)言うまでもないが、ここに書かれたのは「理想論」である。だが、理想は大事だ。


日露平和友好条約


72年の日中国交正常化を果たしたとき、田中角栄は、次はソ連と北朝鮮だなと言い、残された戦後日本の宿題の達成を派閥の子分たちに託していた。ソ連が崩壊してロシア連邦に変わったが、この遺志は未だ成就されていない。安倍晋三の対露外交は、北方領土返還を前に進める素振りをしながら、実際にはその意思が全くなく、単に選挙前の支持率目当てでパフォーマンスの手段にするのが目的だった。その浅薄な狙いをロシア側に見透かされ、外交上手のプーチンに逆手に取られ、お題目とは裏腹に北方領土返還の可能性は遠ざかり、四島のロシア領有の既成事実が固められる方向に進んでしまった。対韓国・対北朝鮮・対中国だけでなく、対ロシアでも、安倍晋三の反動と愚策の外交失態によって日本の国益は甚だしく毀損された。今となれば、四島の全面返還は困難な状況と言え、国後島と択捉島の間に線を引き、三島返還で手を打つしか現実的な選択肢はないのかもしれない。




ただ、ここで考えているのは日米安保破棄後のイマジネーションである。国際政治学者の多くが言うとおり、またロシア自身も説明してきたとおり、北方領土の問題解決と平和条約締結を阻んできたのは、日米安保条約(日米軍事同盟)の存在だった。日米安保条約があり、アメリカの軍事的脅威があるかぎり、日本の領土返還の要求には応じられない。島に米軍基地を設置されたら、軍事的テリトリーであるオホーツク海が奪われる可能性が大だからである。ということは、日米安保条約が破棄されるときは、日露間のその障害が除去される瞬間であり、日露平和友好条約がスムーズに結ばれる環境が出来するときだ。本当に何もかもが変わる。ロシアにとって日本は重要で魅力的な国で、西欧を牽制し、中国と均衡を図り、ユーラシア大陸大国として立場を安定させ地位を保つ上で、日本との友好関係は必須で焦眉の外交的課題と言える。極東地域の経済開発の上からもそれは宿年の目標だ。




日中友好の再構築とソフトパワー


中国との間には、72年の日中共同声明と日中平和友好条約がある。プラットフォームはあり、新規に何かを作る必要はない。必要なのは、互いの軍縮と不信除去だけであり、仲睦まじかった80年代の二国間関係に戻ることだけである。ただ、そのためには、単に日米安保条約が破棄され、日本国内の米軍基地が撤去されるだけでなく、中国の安保外交の政策思想が変わらないといけない。それは共産党独裁体制をやめよという意味ではない。80年代の日中友好全盛期も、中国は共産党独裁政権だった。中国が変わらなければならない点は、習近平の独善的で前近代的な世界観であり、清代皇帝の「三跪九叩頭」を思わせるグロテスクな中華帝国主義である。具体例を挙げれば、南シナ海全体の領有を正当化する九段線の暴論だ。胡錦涛時代は、このような国際法無視の異形な主張はしていなかった。行儀正しく原理原則を重んじる国だった。指導者が変わった途端、毛沢東の原始時代に戻った。




そうした働きかけがどこまで可能で、中国がどこまで応じるかは予測できない。だが、日本の対中原則は72年の日中共同声明にあり、これは普遍的に動かず未来永劫変わらない。その基本的立場を守りつつ、中国に道理を求め、洋学紳士的に道義を説いて中国の政策を変えさせる努力を行うべきだろう。具体的には、台湾への武力行使を放棄させ、香港を一国二制の原状に復せしめ、自治区の少数民族自治の逸脱を律して正させることである。南シナ海については、国際司法裁判所の判決に従わせることだ。日本が音頭をとって、南シナ海周辺諸国と中国との紛争を解決する枠組みを作る努力をすればよく、中国がそれを認める程度にまで信頼関係を回復すればいい。アメリカが日米安保条約を不要として放棄するときは、台湾独立とか台湾有事の工作や陰謀からも手を引いている想定になるわけで、あとは日本と中国が80年代に戻ればよく、その方向性になれば南シナ海問題や尖閣問題も解決するだろう。




中国との関係の再構築においては、まず、東シナ海ガス田の共同開発を再立ち上げするところから始めればよい。日米同盟が解消されるという段階になれば、当然、東アジアではP5の一であり軍事大国である中国の影響力が増す。アメリカの影響力が後退している。その21世紀の情勢の中で、日本は韓国と組み、ASEANと連携することで、中国の大国主義的な生理と欲望を制止し、この地域の平和を守り、各国の主権を守り、協調と繁栄の世界を築くことができるに違いない。日本は、日本が変わることで、すなわち日本が戦後の平和主義と日中友好の原点に即くことで、中国に対するソフトパワーを持つことができる。中国にとって日本は、今なお自らの将来の手本を提供する国であり社会である。中国の人々もいずれは9条の理想に頷き、9条を国家安全保障の理念に据える時代が来るだろう。われわれはその未来を信じ、洋学紳士や安倍能成大江健三郎のように気高く道理を説くべきで、理想とはそういうものだ。


画像

【補遺】
日本の政治思想史の中に家康の元和偃武があり、その平和主義を実現する安保政策として柳生家の活人剣があり、公儀兵法としての正式採用と教育啓蒙がある。9条の思想的源流として発見し措定できる画期的事実だろう。同じように、中国には古代戦国の諸子百家に墨子と墨家の存在があり、儒家と匹敵するほどの隆盛を極めていた歴史的経緯があった。墨家の思想的特徴は、平和主義と博愛主義であり、非攻と無差別平等の実践を提唱する。すなわち、9条やユネスコ憲章の源流的要素は中国史にも実在したのであり、2400年前の紀元前に遡って活動が確認できる。であるならば、中国の指導部や民衆が9条の理念に頷く可能性も十分あると期待してよい。東洋世界に生き、同じ文字を使い、古典を同じうする者同士として、理想を説き、信義を訴える挑戦を日本人はするべきだ。中国から納得と共感と同意を得て、同じ方向性を共有するべく、渾身のエバンジェリズムを試みるべきだ。

拍手

PR

コメント

コメントを書く