「オルタナティブ通信」から転載。
冷戦後のアメリカの基本世界戦略である「低強度戦争」について書かれた本の短評である。この短い文章をしっかり読むだけで、現在の世界政治と経済の実態が理解できそうだ。素晴らしい内容である。ただし、こんなのはとっくの昔から知っていた、という人ももちろんたくさんいるだろう。しかし、これから世界について学習しようという人間の必読の書になりそうである。
もう一つ、お勧めの本は、私の他のブログでも紹介したが、ハジュン・チャンの『世界経済を破綻させる23の嘘』という、徳間書店から出ている本である。ここには自由主義経済がいかに世界経済を破壊しつつあるかを自由主義経済主義者のよく使う23の嘘を反証しつつ説明している。これは確実に名著である。難点を言えば、あまりに読み易く、分かり易くて、学術書らしい「有難味」が無いところ。経済の素人が読んでもよく分かる本だ。
まあ、金の無い人はわざわざ本を買わなくとも、「日本人が知らない恐るべき真実」というホームページを読めば、近現代の世界歴史と経済の嘘と実態は分かるのだが。
(以下引用)
アラブの次には、銀行預金、年金、生命保険の全てを失った日本人が激怒し暴動を起こし、それを軍隊で制圧すると言う米軍の軍事戦略が準備されている
書物短評 : ガブリエル・コルコ 「第三世界との対決」 筑摩書房
米国国防総省・ペンタゴンの「お墨付き」戦略家=ガブリエル・コルコは、世界中で展開された、米軍の「低強度戦争」の成功例を本書の中で展開している。
「低強度戦争」は、21世紀現在、アメリカが世界中で展開し、今後も、米軍の軍事戦略の中枢をなす「戦争の方法」となっている。
ベトナム戦争以後、アメリカは「どうしたらアメリカに逆らう国が無くなり、大規模な戦争を避けられるか」という戦略を練り上げた。モデルになったのは日本であった。
その戦略は、
1、アメリカを絶対に支持し、アメリカに服従する政党と政権を他国に成立させ、そのための資金をアメリカが提供する。
2、この買収資金は、アメリカの税金ではなく、他国でアメリカが麻薬を密売した利益を提供し、アメリカが経済的負担を負わない方策を取る。
3、マスコミ操作を通じアメリカが常に「善」であると他国の市民を洗脳し、アメリカを批判する言論をマスコミに「登場」させない。アメリカ映画、音楽を大量に流し、アメリカが「すばらしい」国だと連日宣伝する。
4、学校教育においては、丸暗記中心の学校教育で思考能力を奪い、アメリカへの批判能力を奪う。
5、教師への絶対服従を学校教育で叩き込み、「強い者=アメリカへの絶対服従」を「子供の頃から身に付けさせる」。
6、逆らう言論人、ジャーナリストは、そのジャーナリストのセックス・スキャンダル等をマスコミに流し失脚させ、必要であれば軍の諜報組織を用い、事故に見せかけ殺害する。
7、他国の食料、エネルギー自給を破壊し、米国に依存しなければ食料、エネルギーが入手出来ないようにシステム化し「米国に逆らえないシステム」を作る。
こうした支配戦略をアメリカは「低強度戦争」と名付け、出来るだけ軍事力を使わない「ソフト・パワー」で支配する「戦争」と位置付けた。
この「低強度戦争」の最も成功した例が日本である。これは、日本支配のための「軍事戦略であり戦争であった」。
この戦略に沿って、行われた日本の食料自給率の低下は、明らかに、アメリカからの食料輸入の圧力が原因であった。
日本が、アメリカを経由せず、独自にインドネシアからの石油供給を実現しようとした時、その中心に居た首相・田中角栄はスキャンダルによって失脚したが、アメリカ議会が、そのスキャンダル・ワイロ問題を「暴露」していた。
日本の食料自給率の低下、エネルギーの米国依存は、米国の「軍事戦略」であった。
本書では、この「低強度戦争」が日本を始めとした、世界中で展開された「軍事作戦」であった事が明言されている。
南米のチリでは、米国に逆らったアジェンデ大統領をCIAが軍隊を送り込み、大統領の体に銃弾を乱射し殺害した事実を、この著書の中で「CIA自身が認めている。」
コルコは、国防総省で賞賛されるベトナム戦争の専門分析者であり、コルコの経歴から「低強度戦争」がベトナム戦争での米国の敗北から導き出された戦略である事が分かる。
「戦争になる前に米国に反対する人間達を抹殺する」、これが「低強度戦争」である。
著者ガブリエル・コルコの妻ジョイス・コルコは、その著書
「世界資本主義の危機」(岩波書店)、
「世紀末恐慌と世界経済」(世界思想社)、
の中で、今後、世界規模で「国家破産」の到来が、不可避である事を分析している。
日本のように銀行預金、年金、生命保険の大部分が、ドル資産で運用されている国では、近い将来、市民は、その全財産を失う事になる。
こうした恐慌=国家破産により生活が破壊された市民達が「もっと生活しやすい世の中を作ろう」と動き出した時、それを封殺するために「準備」され、また既に実行に移されているのが、この「低強度戦争」である。
冷戦後のアメリカの基本世界戦略である「低強度戦争」について書かれた本の短評である。この短い文章をしっかり読むだけで、現在の世界政治と経済の実態が理解できそうだ。素晴らしい内容である。ただし、こんなのはとっくの昔から知っていた、という人ももちろんたくさんいるだろう。しかし、これから世界について学習しようという人間の必読の書になりそうである。
もう一つ、お勧めの本は、私の他のブログでも紹介したが、ハジュン・チャンの『世界経済を破綻させる23の嘘』という、徳間書店から出ている本である。ここには自由主義経済がいかに世界経済を破壊しつつあるかを自由主義経済主義者のよく使う23の嘘を反証しつつ説明している。これは確実に名著である。難点を言えば、あまりに読み易く、分かり易くて、学術書らしい「有難味」が無いところ。経済の素人が読んでもよく分かる本だ。
まあ、金の無い人はわざわざ本を買わなくとも、「日本人が知らない恐るべき真実」というホームページを読めば、近現代の世界歴史と経済の嘘と実態は分かるのだが。
(以下引用)
アラブの次には、銀行預金、年金、生命保険の全てを失った日本人が激怒し暴動を起こし、それを軍隊で制圧すると言う米軍の軍事戦略が準備されている
書物短評 : ガブリエル・コルコ 「第三世界との対決」 筑摩書房
米国国防総省・ペンタゴンの「お墨付き」戦略家=ガブリエル・コルコは、世界中で展開された、米軍の「低強度戦争」の成功例を本書の中で展開している。
「低強度戦争」は、21世紀現在、アメリカが世界中で展開し、今後も、米軍の軍事戦略の中枢をなす「戦争の方法」となっている。
ベトナム戦争以後、アメリカは「どうしたらアメリカに逆らう国が無くなり、大規模な戦争を避けられるか」という戦略を練り上げた。モデルになったのは日本であった。
その戦略は、
1、アメリカを絶対に支持し、アメリカに服従する政党と政権を他国に成立させ、そのための資金をアメリカが提供する。
2、この買収資金は、アメリカの税金ではなく、他国でアメリカが麻薬を密売した利益を提供し、アメリカが経済的負担を負わない方策を取る。
3、マスコミ操作を通じアメリカが常に「善」であると他国の市民を洗脳し、アメリカを批判する言論をマスコミに「登場」させない。アメリカ映画、音楽を大量に流し、アメリカが「すばらしい」国だと連日宣伝する。
4、学校教育においては、丸暗記中心の学校教育で思考能力を奪い、アメリカへの批判能力を奪う。
5、教師への絶対服従を学校教育で叩き込み、「強い者=アメリカへの絶対服従」を「子供の頃から身に付けさせる」。
6、逆らう言論人、ジャーナリストは、そのジャーナリストのセックス・スキャンダル等をマスコミに流し失脚させ、必要であれば軍の諜報組織を用い、事故に見せかけ殺害する。
7、他国の食料、エネルギー自給を破壊し、米国に依存しなければ食料、エネルギーが入手出来ないようにシステム化し「米国に逆らえないシステム」を作る。
こうした支配戦略をアメリカは「低強度戦争」と名付け、出来るだけ軍事力を使わない「ソフト・パワー」で支配する「戦争」と位置付けた。
この「低強度戦争」の最も成功した例が日本である。これは、日本支配のための「軍事戦略であり戦争であった」。
この戦略に沿って、行われた日本の食料自給率の低下は、明らかに、アメリカからの食料輸入の圧力が原因であった。
日本が、アメリカを経由せず、独自にインドネシアからの石油供給を実現しようとした時、その中心に居た首相・田中角栄はスキャンダルによって失脚したが、アメリカ議会が、そのスキャンダル・ワイロ問題を「暴露」していた。
日本の食料自給率の低下、エネルギーの米国依存は、米国の「軍事戦略」であった。
本書では、この「低強度戦争」が日本を始めとした、世界中で展開された「軍事作戦」であった事が明言されている。
南米のチリでは、米国に逆らったアジェンデ大統領をCIAが軍隊を送り込み、大統領の体に銃弾を乱射し殺害した事実を、この著書の中で「CIA自身が認めている。」
コルコは、国防総省で賞賛されるベトナム戦争の専門分析者であり、コルコの経歴から「低強度戦争」がベトナム戦争での米国の敗北から導き出された戦略である事が分かる。
「戦争になる前に米国に反対する人間達を抹殺する」、これが「低強度戦争」である。
著者ガブリエル・コルコの妻ジョイス・コルコは、その著書
「世界資本主義の危機」(岩波書店)、
「世紀末恐慌と世界経済」(世界思想社)、
の中で、今後、世界規模で「国家破産」の到来が、不可避である事を分析している。
日本のように銀行預金、年金、生命保険の大部分が、ドル資産で運用されている国では、近い将来、市民は、その全財産を失う事になる。
こうした恐慌=国家破産により生活が破壊された市民達が「もっと生活しやすい世の中を作ろう」と動き出した時、それを封殺するために「準備」され、また既に実行に移されているのが、この「低強度戦争」である。
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