久しぶりに「イランラジオ」から転載。
下の記事は、世界中の非白人国家の高校生に読ませるべき「超簡潔な中東現代史」である。もちろん、イギリスの三枚舌外交とか、アフリカ・中東植民地分割とか、学校では学ぶだろうが、それが現在も続いている、という事実を知らない若者がほとんどだろうと思うからだ。(この事実を引用2の「ロックウェイ・エクスプレス」記事がはっきりと示している)
私は何度かこのブログで述べているが、世界はいまだに帝国主義時代の真っ最中なのである。ただ、その主体が国家から企業や大資本に移りつつある(いや、もともと帝国主義の主体は大資本なのだが、それが国家という枠を超えつつあると言うべきだろう)、というだけの話だ。
学校で学ぶ歴史も、それを現代とは無縁の「終わった話」としているのでは、まったく何の意味もない知識である。過去は現在にそのまま続いている、という意識が大切だ。
何よりも大事なのは、「西洋文明の精神」とは略奪の精神である、という認識だ。
自ら生み、育てるのではなく、他人の生み育てたものを略奪することこそが賢い生き方である、という狩猟民族、海賊民族の精神こそが西洋文明の精神なのだ。ただし、それはもちろん西洋庶民の精神ではなく、王侯貴族や富裕層における精神である。別の言い方をすれば、人間全体を「主人と奴隷」あるいは「人間と家畜」に分ける精神だ。
そして、大きく分類すれば白人は「主人」であり、非白人は「奴隷」、また白人は「人間」であり、非白人は「家畜」、小さく分類すれば、同じ白人でも資本家や貴族は「主人」であり、「人間」だが、労働者は「奴隷」であり「家畜」である、という思想が西洋文明の本質なのである。
このように、「分けること」そして「優劣をつけること」が、西洋文明の精神の一般化である、とも言える。これはまた科学の精神の基本でもあるから、西洋において科学が発達したのは当然である。「一視同仁」の東洋精神からは科学は生まれない。
そして、どんどん分けていった結果が最後には「1%対99%」の世界、新自由主義の世界、あるいはNWOによる「人間牧場」の世界になるのである。
だが、その「分け方」も「優劣」も、実は分ける側の恣意でしかない。
自分に属するものは優れている、属さないものは劣っている、とするだけのことである。要するに、幼稚な自己愛を基準とした差別と区別を暴力と権力で世界中に広げていっただけのことだ。
しかしながら、こうした「分けること」「優劣をつけること」は、世界中の人間の精神を拭いがたく汚染している。
スポーツにおける勝利至上主義もその一つであり、その手段としての体罰を肯定する思想も、「優劣」がすべてという思想が根底にある。
話がまた収拾がつかなくなりそうだから、この辺にしておくが、とにかく、合理的思考の基本には<分けること>がある、というのはデカルトが『方法序説』で述べた通りである。これはまったくの真理だ。
「分ける」のはまだいい。だが、「優劣」とは、だいたいがある種の主観の押し付けや欺瞞であることが非常に多い、ということを(東洋人としては)常に肝に命じ、「誰もが等しく、生きる権利と幸福になる権利を持っている」という思想を多くの人に広めていくべきだと私は考えている。
言い方を変えれば、「競争によって優劣をつけることは必要最小限度に留め、全員が同じように幸福になる道を探そう」ということだ。(たとえば「村野瀬玲奈の秘書課広報室」によれば、会社の経営者の給与の上限は、その会社の最低給与の20倍までとする、という政策案がフランスの政党の一つから出ているが、これなどがその例になる。)
確かに競争によって人間は進歩もするだろう。だが、競争とは常に勝者と敗者が生み出されるということだ。勝者が得る分、敗者が失う。これが競争の本質だ。
そして、勝者がより多く恵まれるのは当然だろうが、実はその競争の成果は、「競争させる側」(胴元・支配者)がより多く取るのである。
まあ、こんなのはただの観念論である。
しかし、少なくとも、「競争がすべて」ではないし、まして「勝つのがすべて」ではない。協力と共感(墨子の言う「兼愛=無差別愛」でもいい)は、あるいは競争よりも多くのもの(物質的なものとは限らないが)を全員にもたらすかもしれないのである。
我々が真に戦うべき相手は、西洋ではなく、西洋文明の精神である。
つまり相手を「分割」し「互いに戦わせる」という分割統治がその発露であるところの、「分けること」「優劣をつけること」を疑いの目で見直すことである。
(以下引用)
2013/01/22(火曜) 00:24
中東地域における、西側政府の分断政策
中東地域は宗教、軍事、政治、そして経済の面で非常に重要な地域です。過去2年間で世界の政治的、経済的なバランスが大きく変化したにもかかわらず、その戦略的な地位と重要性は小さくなっていません。中東は、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の3つの大きな宗教の発祥地です。中東と北アフリカ地域に住む人々の90%以上の宗教はイスラム教です。つまり、中東地域の重要な立場は、イスラム教と結びついているのです。
世界全体の政治、経済、安全保障のバランスにおいて、中東地域が重要な役割を果たしていることから、覇権主義的な政府は常に様々な方法でこの地域の支配を追求しています。第一次世界大戦前から、ヨーロッパの植民地主義的な政府は直接的に中東地域を支配しようとしてきました。彼らはこの地域を自分たちの影響の及ぶ範囲に分割してきました。最大の植民地主義国イギリスは他の植民地主義的な政府よりも、中東地域の国民の資源の多くを略奪しました。
第一次世界戦争とオスマン帝国の崩壊後、中東で新たな潮流が出現しました。イギリスとフランスの植民地主義政府はオスマン帝国が統括していた地域を分割し、自国の支配を強化しようとしました。第二次世界大戦の開戦と直接的な植民地支配の衰退の始まりから、ヨーロッパの植民地主義的な政策は、その支配権を守るためのものに変化しました。それは、アメリカやソ連という新しいライバルが出現したからです。
第二次世界大戦後著しく弱体化したイギリスとフランスは、アメリカの傘下に入り、以前の中東地域の植民地で持っていた利益を守ろうとしました。彼らの政策はパレスチナの占領でシオニストを支援し、シオニスト政権イスラエルを樹立させ、中東地域の他の国には独裁政権を樹立させる、というものでした。イスラム諸国では、独立を求めるあらゆる運動が厳しく弾圧されました。こうした中、彼らはイスラム教徒の様々な宗派対立や部族対立を最大限利用しようとしました。1979年のイラン・イスラム革命の勝利は、中東地域の支配に抵抗する上で、重要な転換点となりました。イラン・イスラム革命は、中東地域における植民地主義政府の利益を危機に陥れたのです。
アメリカをはじめとする植民地主義政府は、イランのイスラム革命の勝利に際して、自国の重要な拠点であるイランを手放したことに加えて、イランが覇権主義体制におかれた他国のイスラム教徒にとってのモデルとなることを懸念しました。アメリカとヨーロッパの同盟国は、イランイスラム革命の勝利を受けて、イスラム革命に打撃を与える為にあらゆる措置を行ってきました。彼らは中東地域で宗派対立や部族対立を扇動し、イスラム革命はシーア派のみの革命であり、他の中東地域といかなる類似点もないと見せかけ、シーア派とイランへの恐怖症を起こすプロパガンダを大量に発信しました。
イランに対するマイナスのプロパガンダの影響下で、西側政府により支援されたアラブ諸国の専制的な政府は、イラクのサッダーム政権によるイラン侵攻を政治、軍事、経済の面で全面的に支援しました。しかしこの措置は、イランのイスラム革命が他国のイスラム教徒の国民にとってのモデルとなることを妨害することはできませんでした。
およそ2年前にチュニジアで発生したイスラム覚醒運動は、西側諸国が支援する独裁政権の一部を急速に崩壊させ、一部を崩壊の危機に陥れました。東洋学者のバーナード・ルイスは、何度もイスラム覚醒運動への対抗措置として、分断という手段を強調しています。彼は演説の中で次のように語っています。
「イスラム覚醒という全速力で走る列車を止めるには、この列車の関係者として中に入り、部族や宗派間の対立を起こすことでさまざまな形で車両を分類し、次にそれらを切り離すしかない。こうした形によってのみイスラム覚醒運動の波を押しとどめることができるのである」。
バーナード・ルイスは、現在アラブ諸国は欧米諸国の利益を脅かす能力を持ちうると考えています。こうしたことから、自然資源の収奪をより容易なものにし、これらのアラブ諸国の威嚇能力をうしなわせる為に、アラブ諸国を力の弱い部族政府に分割すべきであるとしています。もっとも、地域におけるそれぞれのイスラム教国のための宗派対立や部族対立を扇動する様々な計画が練られています。
イスラム教徒の国々の中でも、中東地域での目的達成のために宗派対立や部族対立を作り出す上で西側諸国の大きな助けとなっているのが、サラフィー主義の潮流です。これは、サウジアラビアのサウード政権やカタール、トルコの政権の支援を受けているものです。
サラフィー主義者たちは自分たちとはちがう思想や傾向を受け入れることなく、シーア派や預言者一門を愛する人々に対して敵意を持っています。彼らは、西側の覇権主義的な政府よりもシーア派に対してより大きな敵意を持っています。実際、このサラフィー主義こそが、あらゆるテロを行うアルカイダという組織の基本的な構成要素なのです。これまで数万人のイスラム教徒が、サラフィー主義者によるイスラム諸国での多くの爆弾テロ事件で死傷しています。
サラフィー主義は、西側政府にとって、北アフリカや中東地域のイスラム諸国への干渉を正当化するための手段となり、また標的となっています。アフガニスタンやパキスタン、イエメンといった国々に対する、テロとの戦いを名目とした西側諸国の武力介入が正当化されているように、一部の国ではサラフィー主義者は西側の標的となっています。一方で、サラフィー主義者はシリアなどの一部の国では、現政権の転覆という目的達成の中で、西側政府によって利用されています。
イスラムの教えを偏った見方でとらえるサラフィー主義者の間違った解釈や逸脱は、現在も西側政府にとってイスラム覚醒の潮流に抵抗するための重要な手段です。サラフィー主義者がイスラム法を曲解することで、イスラム教は野蛮な宗教であると提示しています。同時に彼らサラフィー主義者は、西側がイスラムを敵視するプロパガンダを正当化し、様々な宗派のイスラム教徒の間に対立を引き起こす要因となっています。
バーナード・ルイスが語っているように、西側諸国がイスラム覚醒運動に対抗する最もよい手段は、イスラム諸国の分離政策です。この方法は、アメリカを始めとする西側政府が自らの戦略に基づき、中東地域での目的達成を進めるため、中東情勢の変化のプロセスに留意する中で実施している政策です。イラクを分断し、シリアでの内戦を作り出すための努力、そして人々の自由化運動を逸脱させることで、バーレーンのシーア派イスラム教徒とスンニー派教徒の内紛を誘導することは、西側政府がイスラムの目覚めに抵抗する措置のひとつなのです。
「分断して統治せよ」という文言は、植民地主義時代にイギリスが覇権主義的な目的を追求するために駆使してきた伝統的な政策のスローガンです。この政策は現在も、西側諸国が中東地域で影響力を保持し、拡大するための基本となっています。
(引用2「ROCKWAY EXPRESS」より)
帝国主義勢力はマリでの戦争をエスカレートさせている
マリで空爆の準備をするフランス空軍
◆1月23日
マリに対して欧米各国が巨大な支援を行い、かつ西アフリカ諸国にも呼びかけて支援を強化しようとしているようだ。つまりアルジェリアの南部で欧米勢力が軍事的プレゼンスを強めている、ということになる。
これに対して遊牧民系でアラブ系のマリ人らが独立を模索しそれが、リビヤから流入しているイスラム主義的アラブ人と一緒になってアルジェリアで今回の人質作戦を実施することで、アルジェリアが徐々に混乱の渦の中に巻き込まれていく傾向にあるが、これが欧米側のもう一つの狙いなのかもしれない。
シリア政府に対して攻撃をしているグループにはこの同じリビヤからのイスラム主義勢力がいるが、欧米は反対に彼らを支援しシリアのアサド政権を崩壊させようとしている。つまりマリではマリ政府と戦闘をしている武装勢力を叩き、シリアではシリア政府と戦闘している同じ武装勢力を支援しているのだ。
これは何を意味するのかと言えば、結局は彼ら欧米に従順で彼らの利権を承認する側は支援するが、カダフィにせよアサドにせよあるいは今度のアルジェリア政府にせよ、欧米に従順でなく、欧米の利権を拒否する政府は崩壊させる、ということである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●帝国主義勢力はマリでの戦争をエスカレートさせている
http://wsws.org/en/articles/2013/01/22/mali-j22.html
【1月22日 By Ernst Wolff】
マリでフランス軍による攻撃が続く中、帝国主義勢力はマリでの攻撃は、西アフリカでの継続する新植民地主義的軍事介入の一部であることを示している。
「これは世界的な脅威であり、世界的に対処することが求められている・・・数年、数十年も継続する問題だ」と、イギリスのデイビッド・キャメロン首相は先週末に語った。
フランスのジャン・イヴ・ルドゥリアン国防大臣はマリにおける目標を、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)が提供する軍隊を使用しての「マリの完全な再征服」と定義した。
マリの戦争に突入しているフランスは、己のアジェンダを進めるために、トゥアレグとイスラム主義戦士をマリから駆逐する計画をしている。そのゴールは、フランスのかなりの利権が存在する国であり、現在アマドゥ・サノゴ大尉によって率いられている腐敗したマリの軍事政権を安定化させることである。
イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣は、「正当な政府」が機能するためにどうすべきか、ということを示す、マリに対する例としてソマリアでの戦争を挙げている。彼は、「ソマリアでは大いに進展がなされた。マリのような国で避けたいことは、ソマリアのように20年間失敗つづきの国であってほしくないということだ」と語った。
このようなコメントほど寒気をもよおすものはない。実際、ソマリアは内戦で非常に貧困が進んでいる国で、アメリカは無人機での攻撃を定期的に行っている。ヘイグのコメントはマリに対して、NATOはそのような結果を完全によしとして受け入れている、ないしは望ましいと考えていることを意味する。
昨日ニューヨーク・タイムズ紙の記事にマリでの戦争のエスカレーションを示唆する内容が記された。この記事で元対テロリズム担当官のルドルフ・アタラが引用された:「彼ら(イスラム主義的マグレブのアルカイダ=)のネットワークを解体するには、アメリカと同盟国はよく考え抜かれた地域戦略を練る必要がある」
ここで明確にされた点:「マリでの戦争はマリにのみ関することではなく、アルジェリア、ナイジェリア、そして2011年にNATOの戦争で樹立されたリビヤ政権を含む西アフリカ全部を対象とする帝国主義勢力による軍事作戦と集中的な外交活動が関わってくる、ということだ」
ニューヨーク・タイムズ紙は更に:「そのような戦略を練ることは非常に困難な作業だ。アルジェリア人は有能な軍隊を持っているが、隣国と協同することは避けてきた。リビヤの新政府は協同することには積極的のようだが、能力において欠ける面がある。マリは軍事面では弱く、持続的な解決策は内政を考慮した巧妙さが必要である」と記している。
ジョージタウン大学のテロリズム専門家であるブルース・ホフマンは、ニューヨーク・タイムズ紙に対して、アメリカはフランスを助ける為に、無人機による戦争と軍事的支援をエスカレートすべきである、と語った:「アメリカはフランスの軍事介入に対する支援の増大を考えるべきである。兵站面での支援を提供し、無人機の使用も考えるべきだ。そうすることで、フランス軍は作戦をより良く実施することができ、またアフリカ軍に出来るだけ早くミッションを受け継がせることができるだろう」
メディアは、自国に対し支援をせよと迫ることで、マリでのフランスの植民地主義的戦争に対する「支援の不足」と言われる批判を強めている。元駐マリ大使のヴィッキー・ハドレストンは、最近のラジオ・インタビューでオバマ政権の「怠惰さ」を批判した。
(中略)
フランスはヨーロッパ帝国主義の支援に頼ることができる。ヨーロッパ連合(EU)はフランスのフランソワ・ルコワントル准将を2月にマリに向かう250名の軍事顧問団の司令官として指名した。EUは5000万ユーロをEcowas軍創設のための資金として提供するだけでなく、2012年3月の軍事クーデター後凍結されていたマリ向けの250万ユーロ支援金の凍結を解くと発表したのだ。
EUはまたマリの状況について国際的閣僚級会議を2月5日に開催すると申し出ている。カナダ、イギリス、ドイツ、ベルギー、デンマークに続いてイタリアも兵站面での支援を申し出ている。
アメリカ国務省スポークスマンのヴィクトリア・ヌーランドによれば、100名ほどのアメリカ人軍事顧問がマリでの戦闘の準備として軍隊の訓練のため、ニジェール、ナイジェリア、ブルキナ・ファソ、トーゴ、セネガル、ガーナに展開しているという。
下の記事は、世界中の非白人国家の高校生に読ませるべき「超簡潔な中東現代史」である。もちろん、イギリスの三枚舌外交とか、アフリカ・中東植民地分割とか、学校では学ぶだろうが、それが現在も続いている、という事実を知らない若者がほとんどだろうと思うからだ。(この事実を引用2の「ロックウェイ・エクスプレス」記事がはっきりと示している)
私は何度かこのブログで述べているが、世界はいまだに帝国主義時代の真っ最中なのである。ただ、その主体が国家から企業や大資本に移りつつある(いや、もともと帝国主義の主体は大資本なのだが、それが国家という枠を超えつつあると言うべきだろう)、というだけの話だ。
学校で学ぶ歴史も、それを現代とは無縁の「終わった話」としているのでは、まったく何の意味もない知識である。過去は現在にそのまま続いている、という意識が大切だ。
何よりも大事なのは、「西洋文明の精神」とは略奪の精神である、という認識だ。
自ら生み、育てるのではなく、他人の生み育てたものを略奪することこそが賢い生き方である、という狩猟民族、海賊民族の精神こそが西洋文明の精神なのだ。ただし、それはもちろん西洋庶民の精神ではなく、王侯貴族や富裕層における精神である。別の言い方をすれば、人間全体を「主人と奴隷」あるいは「人間と家畜」に分ける精神だ。
そして、大きく分類すれば白人は「主人」であり、非白人は「奴隷」、また白人は「人間」であり、非白人は「家畜」、小さく分類すれば、同じ白人でも資本家や貴族は「主人」であり、「人間」だが、労働者は「奴隷」であり「家畜」である、という思想が西洋文明の本質なのである。
このように、「分けること」そして「優劣をつけること」が、西洋文明の精神の一般化である、とも言える。これはまた科学の精神の基本でもあるから、西洋において科学が発達したのは当然である。「一視同仁」の東洋精神からは科学は生まれない。
そして、どんどん分けていった結果が最後には「1%対99%」の世界、新自由主義の世界、あるいはNWOによる「人間牧場」の世界になるのである。
だが、その「分け方」も「優劣」も、実は分ける側の恣意でしかない。
自分に属するものは優れている、属さないものは劣っている、とするだけのことである。要するに、幼稚な自己愛を基準とした差別と区別を暴力と権力で世界中に広げていっただけのことだ。
しかしながら、こうした「分けること」「優劣をつけること」は、世界中の人間の精神を拭いがたく汚染している。
スポーツにおける勝利至上主義もその一つであり、その手段としての体罰を肯定する思想も、「優劣」がすべてという思想が根底にある。
話がまた収拾がつかなくなりそうだから、この辺にしておくが、とにかく、合理的思考の基本には<分けること>がある、というのはデカルトが『方法序説』で述べた通りである。これはまったくの真理だ。
「分ける」のはまだいい。だが、「優劣」とは、だいたいがある種の主観の押し付けや欺瞞であることが非常に多い、ということを(東洋人としては)常に肝に命じ、「誰もが等しく、生きる権利と幸福になる権利を持っている」という思想を多くの人に広めていくべきだと私は考えている。
言い方を変えれば、「競争によって優劣をつけることは必要最小限度に留め、全員が同じように幸福になる道を探そう」ということだ。(たとえば「村野瀬玲奈の秘書課広報室」によれば、会社の経営者の給与の上限は、その会社の最低給与の20倍までとする、という政策案がフランスの政党の一つから出ているが、これなどがその例になる。)
確かに競争によって人間は進歩もするだろう。だが、競争とは常に勝者と敗者が生み出されるということだ。勝者が得る分、敗者が失う。これが競争の本質だ。
そして、勝者がより多く恵まれるのは当然だろうが、実はその競争の成果は、「競争させる側」(胴元・支配者)がより多く取るのである。
まあ、こんなのはただの観念論である。
しかし、少なくとも、「競争がすべて」ではないし、まして「勝つのがすべて」ではない。協力と共感(墨子の言う「兼愛=無差別愛」でもいい)は、あるいは競争よりも多くのもの(物質的なものとは限らないが)を全員にもたらすかもしれないのである。
我々が真に戦うべき相手は、西洋ではなく、西洋文明の精神である。
つまり相手を「分割」し「互いに戦わせる」という分割統治がその発露であるところの、「分けること」「優劣をつけること」を疑いの目で見直すことである。
(以下引用)
2013/01/22(火曜) 00:24
中東地域における、西側政府の分断政策
中東地域は宗教、軍事、政治、そして経済の面で非常に重要な地域です。過去2年間で世界の政治的、経済的なバランスが大きく変化したにもかかわらず、その戦略的な地位と重要性は小さくなっていません。中東は、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の3つの大きな宗教の発祥地です。中東と北アフリカ地域に住む人々の90%以上の宗教はイスラム教です。つまり、中東地域の重要な立場は、イスラム教と結びついているのです。
世界全体の政治、経済、安全保障のバランスにおいて、中東地域が重要な役割を果たしていることから、覇権主義的な政府は常に様々な方法でこの地域の支配を追求しています。第一次世界大戦前から、ヨーロッパの植民地主義的な政府は直接的に中東地域を支配しようとしてきました。彼らはこの地域を自分たちの影響の及ぶ範囲に分割してきました。最大の植民地主義国イギリスは他の植民地主義的な政府よりも、中東地域の国民の資源の多くを略奪しました。
第一次世界戦争とオスマン帝国の崩壊後、中東で新たな潮流が出現しました。イギリスとフランスの植民地主義政府はオスマン帝国が統括していた地域を分割し、自国の支配を強化しようとしました。第二次世界大戦の開戦と直接的な植民地支配の衰退の始まりから、ヨーロッパの植民地主義的な政策は、その支配権を守るためのものに変化しました。それは、アメリカやソ連という新しいライバルが出現したからです。
第二次世界大戦後著しく弱体化したイギリスとフランスは、アメリカの傘下に入り、以前の中東地域の植民地で持っていた利益を守ろうとしました。彼らの政策はパレスチナの占領でシオニストを支援し、シオニスト政権イスラエルを樹立させ、中東地域の他の国には独裁政権を樹立させる、というものでした。イスラム諸国では、独立を求めるあらゆる運動が厳しく弾圧されました。こうした中、彼らはイスラム教徒の様々な宗派対立や部族対立を最大限利用しようとしました。1979年のイラン・イスラム革命の勝利は、中東地域の支配に抵抗する上で、重要な転換点となりました。イラン・イスラム革命は、中東地域における植民地主義政府の利益を危機に陥れたのです。
アメリカをはじめとする植民地主義政府は、イランのイスラム革命の勝利に際して、自国の重要な拠点であるイランを手放したことに加えて、イランが覇権主義体制におかれた他国のイスラム教徒にとってのモデルとなることを懸念しました。アメリカとヨーロッパの同盟国は、イランイスラム革命の勝利を受けて、イスラム革命に打撃を与える為にあらゆる措置を行ってきました。彼らは中東地域で宗派対立や部族対立を扇動し、イスラム革命はシーア派のみの革命であり、他の中東地域といかなる類似点もないと見せかけ、シーア派とイランへの恐怖症を起こすプロパガンダを大量に発信しました。
イランに対するマイナスのプロパガンダの影響下で、西側政府により支援されたアラブ諸国の専制的な政府は、イラクのサッダーム政権によるイラン侵攻を政治、軍事、経済の面で全面的に支援しました。しかしこの措置は、イランのイスラム革命が他国のイスラム教徒の国民にとってのモデルとなることを妨害することはできませんでした。
およそ2年前にチュニジアで発生したイスラム覚醒運動は、西側諸国が支援する独裁政権の一部を急速に崩壊させ、一部を崩壊の危機に陥れました。東洋学者のバーナード・ルイスは、何度もイスラム覚醒運動への対抗措置として、分断という手段を強調しています。彼は演説の中で次のように語っています。
「イスラム覚醒という全速力で走る列車を止めるには、この列車の関係者として中に入り、部族や宗派間の対立を起こすことでさまざまな形で車両を分類し、次にそれらを切り離すしかない。こうした形によってのみイスラム覚醒運動の波を押しとどめることができるのである」。
バーナード・ルイスは、現在アラブ諸国は欧米諸国の利益を脅かす能力を持ちうると考えています。こうしたことから、自然資源の収奪をより容易なものにし、これらのアラブ諸国の威嚇能力をうしなわせる為に、アラブ諸国を力の弱い部族政府に分割すべきであるとしています。もっとも、地域におけるそれぞれのイスラム教国のための宗派対立や部族対立を扇動する様々な計画が練られています。
イスラム教徒の国々の中でも、中東地域での目的達成のために宗派対立や部族対立を作り出す上で西側諸国の大きな助けとなっているのが、サラフィー主義の潮流です。これは、サウジアラビアのサウード政権やカタール、トルコの政権の支援を受けているものです。
サラフィー主義者たちは自分たちとはちがう思想や傾向を受け入れることなく、シーア派や預言者一門を愛する人々に対して敵意を持っています。彼らは、西側の覇権主義的な政府よりもシーア派に対してより大きな敵意を持っています。実際、このサラフィー主義こそが、あらゆるテロを行うアルカイダという組織の基本的な構成要素なのです。これまで数万人のイスラム教徒が、サラフィー主義者によるイスラム諸国での多くの爆弾テロ事件で死傷しています。
サラフィー主義は、西側政府にとって、北アフリカや中東地域のイスラム諸国への干渉を正当化するための手段となり、また標的となっています。アフガニスタンやパキスタン、イエメンといった国々に対する、テロとの戦いを名目とした西側諸国の武力介入が正当化されているように、一部の国ではサラフィー主義者は西側の標的となっています。一方で、サラフィー主義者はシリアなどの一部の国では、現政権の転覆という目的達成の中で、西側政府によって利用されています。
イスラムの教えを偏った見方でとらえるサラフィー主義者の間違った解釈や逸脱は、現在も西側政府にとってイスラム覚醒の潮流に抵抗するための重要な手段です。サラフィー主義者がイスラム法を曲解することで、イスラム教は野蛮な宗教であると提示しています。同時に彼らサラフィー主義者は、西側がイスラムを敵視するプロパガンダを正当化し、様々な宗派のイスラム教徒の間に対立を引き起こす要因となっています。
バーナード・ルイスが語っているように、西側諸国がイスラム覚醒運動に対抗する最もよい手段は、イスラム諸国の分離政策です。この方法は、アメリカを始めとする西側政府が自らの戦略に基づき、中東地域での目的達成を進めるため、中東情勢の変化のプロセスに留意する中で実施している政策です。イラクを分断し、シリアでの内戦を作り出すための努力、そして人々の自由化運動を逸脱させることで、バーレーンのシーア派イスラム教徒とスンニー派教徒の内紛を誘導することは、西側政府がイスラムの目覚めに抵抗する措置のひとつなのです。
「分断して統治せよ」という文言は、植民地主義時代にイギリスが覇権主義的な目的を追求するために駆使してきた伝統的な政策のスローガンです。この政策は現在も、西側諸国が中東地域で影響力を保持し、拡大するための基本となっています。
(引用2「ROCKWAY EXPRESS」より)
帝国主義勢力はマリでの戦争をエスカレートさせている
マリで空爆の準備をするフランス空軍
◆1月23日
マリに対して欧米各国が巨大な支援を行い、かつ西アフリカ諸国にも呼びかけて支援を強化しようとしているようだ。つまりアルジェリアの南部で欧米勢力が軍事的プレゼンスを強めている、ということになる。
これに対して遊牧民系でアラブ系のマリ人らが独立を模索しそれが、リビヤから流入しているイスラム主義的アラブ人と一緒になってアルジェリアで今回の人質作戦を実施することで、アルジェリアが徐々に混乱の渦の中に巻き込まれていく傾向にあるが、これが欧米側のもう一つの狙いなのかもしれない。
シリア政府に対して攻撃をしているグループにはこの同じリビヤからのイスラム主義勢力がいるが、欧米は反対に彼らを支援しシリアのアサド政権を崩壊させようとしている。つまりマリではマリ政府と戦闘をしている武装勢力を叩き、シリアではシリア政府と戦闘している同じ武装勢力を支援しているのだ。
これは何を意味するのかと言えば、結局は彼ら欧米に従順で彼らの利権を承認する側は支援するが、カダフィにせよアサドにせよあるいは今度のアルジェリア政府にせよ、欧米に従順でなく、欧米の利権を拒否する政府は崩壊させる、ということである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●帝国主義勢力はマリでの戦争をエスカレートさせている
http://wsws.org/en/articles/2013/01/22/mali-j22.html
【1月22日 By Ernst Wolff】
マリでフランス軍による攻撃が続く中、帝国主義勢力はマリでの攻撃は、西アフリカでの継続する新植民地主義的軍事介入の一部であることを示している。
「これは世界的な脅威であり、世界的に対処することが求められている・・・数年、数十年も継続する問題だ」と、イギリスのデイビッド・キャメロン首相は先週末に語った。
フランスのジャン・イヴ・ルドゥリアン国防大臣はマリにおける目標を、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)が提供する軍隊を使用しての「マリの完全な再征服」と定義した。
マリの戦争に突入しているフランスは、己のアジェンダを進めるために、トゥアレグとイスラム主義戦士をマリから駆逐する計画をしている。そのゴールは、フランスのかなりの利権が存在する国であり、現在アマドゥ・サノゴ大尉によって率いられている腐敗したマリの軍事政権を安定化させることである。
イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣は、「正当な政府」が機能するためにどうすべきか、ということを示す、マリに対する例としてソマリアでの戦争を挙げている。彼は、「ソマリアでは大いに進展がなされた。マリのような国で避けたいことは、ソマリアのように20年間失敗つづきの国であってほしくないということだ」と語った。
このようなコメントほど寒気をもよおすものはない。実際、ソマリアは内戦で非常に貧困が進んでいる国で、アメリカは無人機での攻撃を定期的に行っている。ヘイグのコメントはマリに対して、NATOはそのような結果を完全によしとして受け入れている、ないしは望ましいと考えていることを意味する。
昨日ニューヨーク・タイムズ紙の記事にマリでの戦争のエスカレーションを示唆する内容が記された。この記事で元対テロリズム担当官のルドルフ・アタラが引用された:「彼ら(イスラム主義的マグレブのアルカイダ=)のネットワークを解体するには、アメリカと同盟国はよく考え抜かれた地域戦略を練る必要がある」
ここで明確にされた点:「マリでの戦争はマリにのみ関することではなく、アルジェリア、ナイジェリア、そして2011年にNATOの戦争で樹立されたリビヤ政権を含む西アフリカ全部を対象とする帝国主義勢力による軍事作戦と集中的な外交活動が関わってくる、ということだ」
ニューヨーク・タイムズ紙は更に:「そのような戦略を練ることは非常に困難な作業だ。アルジェリア人は有能な軍隊を持っているが、隣国と協同することは避けてきた。リビヤの新政府は協同することには積極的のようだが、能力において欠ける面がある。マリは軍事面では弱く、持続的な解決策は内政を考慮した巧妙さが必要である」と記している。
ジョージタウン大学のテロリズム専門家であるブルース・ホフマンは、ニューヨーク・タイムズ紙に対して、アメリカはフランスを助ける為に、無人機による戦争と軍事的支援をエスカレートすべきである、と語った:「アメリカはフランスの軍事介入に対する支援の増大を考えるべきである。兵站面での支援を提供し、無人機の使用も考えるべきだ。そうすることで、フランス軍は作戦をより良く実施することができ、またアフリカ軍に出来るだけ早くミッションを受け継がせることができるだろう」
メディアは、自国に対し支援をせよと迫ることで、マリでのフランスの植民地主義的戦争に対する「支援の不足」と言われる批判を強めている。元駐マリ大使のヴィッキー・ハドレストンは、最近のラジオ・インタビューでオバマ政権の「怠惰さ」を批判した。
(中略)
フランスはヨーロッパ帝国主義の支援に頼ることができる。ヨーロッパ連合(EU)はフランスのフランソワ・ルコワントル准将を2月にマリに向かう250名の軍事顧問団の司令官として指名した。EUは5000万ユーロをEcowas軍創設のための資金として提供するだけでなく、2012年3月の軍事クーデター後凍結されていたマリ向けの250万ユーロ支援金の凍結を解くと発表したのだ。
EUはまたマリの状況について国際的閣僚級会議を2月5日に開催すると申し出ている。カナダ、イギリス、ドイツ、ベルギー、デンマークに続いてイタリアも兵站面での支援を申し出ている。
アメリカ国務省スポークスマンのヴィクトリア・ヌーランドによれば、100名ほどのアメリカ人軍事顧問がマリでの戦闘の準備として軍隊の訓練のため、ニジェール、ナイジェリア、ブルキナ・ファソ、トーゴ、セネガル、ガーナに展開しているという。
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コメント
1. 負ける人がいるから勝つ人がいる
2. 知恵とはそもそも
人間は知恵のみを食べた、すべてはそこから始まったのかもしれません。
知恵を操っているようで知恵に操られて生きる。子供を大事にするが「正しい」か「正しくないか」のほうが子供より大事だったりする。本当に嫌な世界です。