思考のネタ(ヒント)にするためのメモであるので、今回は特に考察まではしない。なお、市場社会主義とは、資本主義と社会主義の融合だろうと私は思っている。
(以下引用)
要するに、企業が公有・国有化されていて、中央の計画のもとに動くような非市場の経済じゃなくて、経済主体、つまり企業がバラバラに存在して競争しあっているようなシステムじゃないとダメだというのがローマーの結論なんですね。
企業を全部計画的に管理するのか(集権的)、企業はバラバラな主体でいいのか(分権的)、と問題をざっくりと二つに分けた場合、ローマーは後者しかないだろうと結論したわけです。
ここにはぼくも賛成します。
それで、第6章で3つのタイプの市場社会主義、というか分権的社会主義をあげます。
- 労働者の自主管理企業。
- 基幹部分を公的企業がにぎり、それ以外を私企業がうめる。国民は売買できない株式(クーポン)をもち、投資する。
- 企業の所有権はかわらず、法律・金融・税制・ステークホルダーなどでコントロールする。
ローマーの考えは2.であり、ぼくの考えは3.に近い。
1.は企業体が民主的に運営される。
2.は「利潤配分に平等化効果がある」(p.67)。
3.は「先進資本主義社会における、より民主的な経済への移行に向けての提案としては、最も直接的に有用なものである」(p.72)。
前にも書きましたが、ローマーは、企業の効率性を確保した上で、格差が開かず、所得が平等になることに重きをおきすぎています。
ローマーが構想するようなクーポン・株式の発行は現在の企業体制からあまりに大きな変化となり、とても現実的なものとは思われません。
ぼくは、次の社会として準備された社会主義というものは、資本主義社会の中から「自然に」育ってくるものだと思うので、3.こそが最も「自然史」的な過程であるし、無理がないと考えます。
要は資本主義=利潤第一主義が社会を覆っている状況を変えて、経済を社会の必要に奉仕するようにコントロールできるような社会になればいいわけですから、企業の所有権を無理に変える必要はありません。
ローマーの考える「社会主義」っぽさというのは、「平等」に偏っていると思うんです。「社会主義」という考え方が狭いんですよね。そして、日本の90年代ごろまでの「系列」のモデルに高い評価を与えています。英米型の株主資本主義とは違う、効率性と調整を両立させるシステムだと見ているわけです。
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