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徽宗皇帝のブログ

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どうすれば支配層を被支配層が規制できるか
昨日に続いて「株式日記と経済展望」から転載。昨日の記事の一つ前の記事だが、読むのには何も問題は無い。管理人氏コメントにも全面的に賛成だ。
特に、「組織倫理」(要するに、「上への忠誠・隷従」というだけのことで、「倫理」と呼ぶのも恥ずかしいが)と「社会倫理」の対立、という視点は、日本だけの話でなく、これから世界的な企業支配社会が拡大していく中で、大事な観点になるだろう。
人間は、自分が属する組織に自らの生殺与奪の権限を与えている、と言ってもいい。だからこそ、企業犯罪は後を絶たないのである。
組織に命じられれば、法や社会倫理に反することでもしないと組織内では生き残れない。それが嫌ならその組織を離れるしかないが、大企業や官庁などを離れた後の人生が悲惨なものになる(それは錯覚なのだが、金や物質に過大な価値を置く人々にとってはそうなのである。)ことは目に見えているから、ほとんど誰も組織を離れるという行動には出ないのである。(また、それをやれば当然ながら自分にもわずかな目先のメリットはあるわけだ。)そして、組織犯罪が延々と続いていく。これが官僚犯罪(国民の利益に反する、官僚やそのバックの利益のための政策が立案され実施されることがその最大のものであり、通常の汚職や背任などはむしろ些細なことだ。)が永遠に無くならない理由でもある。
組織犯罪(企業犯罪、官僚犯罪)の厳罰化が果たして本当に可能か。支配者層自身に支配層を規制する法律を制定させることが可能だとすれば、それはどのようにしてか、国民全体の考察課題としていくべきだろう。
東芝事件は、そのいいきっかけではないだろうか。


(以下引用)



2015年7月21日 火曜日

東芝会計問題、「不適切」が「粉飾」に変わるとき 7月17日 大西康之

 東芝は複数の部門で利益をかさ上げし、それを社長自らが主導していた疑いが濃くなった。不適切会計の総額は1700億~2000億円に膨れ上がり、経営陣の刷新は不可避だ。日本を代表する名門企業の「闇」は、日本市場全体の信頼すら揺るがす一大事である。

 「工夫しろ」


 東芝で不適切な会計が行われていた2009~13年、前社長の佐々木則夫氏(現副会長)は、利益が計画に届かない部署に対しメールや口頭で、こんな圧力をかけていたことが、関係者の証言で明らかになった。佐々木氏は副会長を退任する見通しだ。


 「工夫」が「粉飾」を指したかどうかは今後の調査を待つしかない。ただ、その一言が持つ意味を、優秀な東芝の社員たちは暗黙のうちに理解したのだろう。彼らの従順な行動は積もり積もって、利益を1700億~2000億円もかさ上げすることになったと見られる。


 一方、佐々木氏の後を受けて社長に就任した田中久雄氏も、現場に利益の水増し圧力をかけていたと指摘されている。事実なら社長辞任は必至だ。


 連結売上高約6兆5000億円、従業員数20万人の巨大企業の中枢で何が起きていたのか。浮かんできたのは日本を代表する名門企業を率いていると思えない、醜い権力闘争の痕跡である。(中略)


 7月21日に発表が予定されている東芝の第三者委員会の調査報告書で「不適切な会計」が経営陣の指示による会社ぐるみの行為であったことが明らかとなれば、「不適切な会計」は「不正会計」に変わる。当局がその不正を立件すれば「粉飾事件」となり、オリンパス事件やライブドア事件と同列になる。


 オリンパスの純資産水増しは1100億円、ライブドアの利益水増しは50億円である。これまでの報道通り、東芝の利益水増しが1700億~2000億円規模なら過去最悪の粉飾事件に発展する可能性すらある。


 「もし東芝に不正があったのなら、メディアや専門家はその全容を明かし、日本の会計制度の改革につなげなくてはならない」


 大国衰退の陰には常に不正会計があったことを明らかにした『帳簿の世界史』の著者、南カリフォルニア大学のジェイコブ・ソール教授はこう指摘する。不正を放置すれば、日本市場そのものの信頼が失墜し、日本の衰退につながりかねない。


(私のコメント)

東芝の不正会計問題は、巨額になりそうな様子ですが、その原因としては原子力に集中した経営方針が、福島原発事故によって頓挫してしまった事だ。選択と集中は企業競争では勝つための必勝策ですが、裏目に出れば会社の経営を揺るがす事になる。

シャープも液晶に選択と集中が裏目に出て経営破たんの瀬戸際にいる。確かに技術開発競争では選択と集中は有効な経営戦略ですが、当たれば企業競争に勝ってトップ企業になれますが、はずれればシャープや東芝のようになってしまう。

東芝のような大企業でも経営資源を絞らなければやって行けないようですが、原子力に限らずソニーとIBMとの次世代プロセッサ共同開発でも失敗している。このように巨額な投資で失敗が続けば、赤字が膨らみ、東芝でも利益の水増しが行われたようだ。

ソニーやシャープは情報家電分野に偏っていたせいで、コスト競争に敗れアップルのようなヒット商品もつくれなかった。それに対して日立や三菱は家電を捨てて重電で一息ついている。東芝も脱温暖化対策で原子力が時代の流れに乗りかけた時に原発災害が起きてしまった。

任天堂ですら、ゲーム機器とソフトでアップルを上回るほどの超優良会社でも、スマホの波に乗り遅れてしまった。後から追いかけても追いつくのは難しく選択と集中でトップ企業にならなければ競争から脱落する。東芝も次世代原発などでも開発に集中していましたが、反原発の動きが出て立ち往生している。

東芝の不正会計は会社ぐるみのようですが、いったん不正をするとそれをごまかすために不正を重ねなければならず、雪だるまのように大きくなって行ってしまう。監査法人が監査しても見抜けなかったのか不思議ですが、東芝は非常に多部門にわたっており監査法人も見抜けなかったようだ。

不正会計がばれれば会長などのトップの経営陣の責任問題となる大きな問題になるのですが、部下たちはどうして止められなかったのだろうか? 社内の倫理と社会の倫理にずれがある時に、社内の倫理を優先すれば止めようがなくなってしまう。

ワンマン経営者から不正を働けと命令されれば、辞任をかけて反対するか言われるままにするかと言われれば、組織に忠誠を示すためにも不正を働いてしまう。日本型の組織では組織に忠誠であることが出世の第一条件であり、反対すれば飛ばされてしまう。

オリンパスにしても不正会計は長い間続けられてきましたが、イギリス人社長が不正を明らかにしたら社長を辞任させられた。日本では社会倫理よりも社内倫理が優先されて、それに反すれば組織から外される。会計不正行為は厳罰化されないとなかなか防げないだろう。


(追記)「日経ビジネス」に面白い記事(前半のみ。後半は会員限定記事なので読んでいない。日経の会員などになってたまるものか。ww)が載っていたのでそれも転載しておく。つまり、組織ぐるみの犯罪であり、第三者委員会もその協力者だ、ということだ。社長なんてものは対外的な大不祥事を起こした時に首を切って事態を処理したことを装うための飾りでしかない、というのがこの事件から明瞭に見えてくる。(どうせ現場の仕事など社長には分からないし、現場の仕事は現場が責任を取ることになっている。社長の仕事は部下に「利益を上げろ」と命令し、その命令が実行できない部下を格下げしたり首にしたりするだけだ。東芝の粉飾決算は、その「利益を上げろ」一辺倒主義の破綻の例だろう。)








東芝は「社長のクビ」より「監査法人」を守った

郷原信郎弁護士が指摘する、第三者委員会報告書の問題点

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2015年7月23日(木)


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 東芝の会計問題を調べていた第三者委員会(委員長=上田広一・元東京高検検事長)が7月21日、調査報告書を公開した。歴代の経営トップを含む組織的な不正を認定。田中久雄・前社長や佐々木則夫・前副会長など、複数の取締役が辞任する事態となった。


 だが、企業のコンプライアンス(法令順守)に詳しい郷原信郎弁護士は、報告書には大きな問題があると指摘する。


(聞き手は小笠原 啓)


郷原信郎弁護士(写真=新関 雅士、以下同)

東芝の第三者委員会が調査報告書を公表しました。一読した印象は。


郷原:今回の東芝問題の本質は、会計処理が適正だったかどうかです。会計監査人、つまり新日本有限責任監査法人がどんなチェック機能を果たし、東芝の経営陣がどう対応したのかが最大の焦点であるべきです。ところが報告書では、一番大事なところを「スルー」しています。


 東芝については、経営トップの確執や社内風土など、ガバナンス(企業統治)の問題が騒がれています。しかし、焦点はそこではありません。経営トップが過大な利益目標を「必達」だと押しつけて、現場が何かをしたとしても、最終的に監査法人がきちんとチェックできていれば、会計問題は起きないはずです。


 この点をしっかり詰められなかったことが、報告書の最大の問題です。監査法人との関係性が明確にならない限り、東芝経営陣に「不正の意図」があったかどうかが認定できないからです。

「だます」か「見逃してもらう」か

なぜ、不正の意図が認定できないのでしょうか。


郷原:東芝の経営陣が決算で不正を働く方法は、二つしかありません。意図を持って監査法人を「だます」か、監査法人に「見逃してもらう」かのいずれかです。


 ところが、この点が報告書では触れられていないのです。すると、東芝の経営陣にとって「監査法人が違法性を指摘しなかったので、問題ないという認識でした」という逃げ道ができるようになります。


田中久雄・前社長は7月21日の辞任会見で「不正を直接指示したとの認識はない」と述べました。


郷原:第三者委員会が、東芝と監査法人との関係をきちんと詰めていないから、こういう言い逃れができるのです。


 本来であれば、第三者委員会が東芝経営陣に「踏み絵」を踏ませるべきでした。「あなたは監査法人を『だました』のですか、それとも『見逃してくれる』と思っていたのですか」、と。このプロセスが無いと、経営陣が取った行為が故意なのかどうか、不正の認識を持っていたかどうかが分かりません。現時点では「未必の故意」ぐらいしか認定できないでしょう。





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