ドルと人民元の為替相場によればアメリカの軍事力は中国より大きい。
しかし真の通貨価値を表す購買力平価だと米中軍事力は均衡している。
同じくドル・人民元レートではアメリカのGDPは中国より大きいが、購買力平価では2017年に中国はアメリカを抜いている。
本当の実態からすればGDPの分だけ中国の方がアメリカより勝っている。
難しい話は抜きにして、AさんがBさんに頼み事ばかりするのに、BさんはAさんに何も頼まない場合は、Bさんの方がAさんより強いことになっている。
本年8月から中国が頼みもしないのにアメリカのブリンケン国務長官、イエレン財務長官、レモンド商務長官、挙句の果てアメリカの政界の大御所キッシンジャーまで訪中、習近平国家主席と会談している。
10月7日のハマスの対イスラエル大規模攻撃の直後、米民主党の大物、シューマー院内総務が率いる超党派議員団が訪中、習近平と会談した。
習近平はシューマーと訪中議員に「米中は平和共存すべきだ」、「アメリカと中国という世界の重要な二大国は人類の前途と命運に責任を持たなくてはならない」と述べ、「米中二極体制」、具体的には「米中戦略的パートナーシップ」への布石を打った。
シューマーが習近平にイスラエルとハマスの戦争解決に強く協力を求めたのは、最早アメリカに中東問題を解決する力がないことが分かっているからである。
アメリカはクリントン大統領以来長年イスラエルとパレスチナ和平を進めてきたが、両者の対立抗争は終わるどころか悪化の一途である。
10月7日に始まったイスラエル・ハマス戦闘もアメリカは解決出来ないことが分かっているから今や中国頼りなのである。
アメリカはイスラエルの同盟国であり、イスラエルに今日まで25兆円にのぼる軍事、経済支援をしているのだからアメリカは第三者ではなくパレスチナの敵であり、敵なら仲介者になれない。
イスラエル・パレスチナ問題は第三者でなくては解決出来ないのである。
中国はパレスチナ自治政府を国家として承認している数少ない国の一つである。
パレスチナのバックのシーア派の盟主イランとスンニ派の盟主サウジアラビアの国交正常化の仲介役を果たしたのは中国である。
中国はパレスチナ自治政府もイスラエルも承認している。
アメリカはイスラエルとサウジアラビアの国交回復の仲介をしているが難航している。
それは、アメリカはイスラエルと一心同体の同盟国であって第三者ではないからである。
難航中のイスラエルとサウジアラビアとの国交正常化は中国(習近平)が仲介役になれば、イランとサウジのようにあっという間に決まるだろう。
サウジアラビアの実力者サルマン皇太子はバイデンが嫌いである。
2018年サウジ出身の在米ジャーナリストのカショーギのイスタンブール領事館での殺害をサルマン皇太子の指示によるものとバイデンが大統領として公式発表したからである。
ネタニヤフはオバマ政権時代バイデンが、イスラエルが猛反対するイラン核合意(2015年7月15日、翌年実効)に貢献し、さらに9月19日イランに拘束されていた米国人5人の釈放と引き換えに韓国の銀行で凍結していたイランの原油代金60億ドル(約9,000億円)を解除したことからイスラエルと戦うテロリストへのイラン支援に弾みがつく。
ネタニヤフにとってもバイデンは好ましからざる人物なのである。
何時まで経っても解決しない中東問題。
アメリカが駄目なら中国があるさ!
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