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徽宗皇帝のブログ

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アメリカ崩壊の足音
ビル・トッテンも私のお気に入りの一人である。日本について発言する外国人の中にはアングロ・サクソンの利益擁護のために活動している者も多いが、ビル・トッテンとカレル・ヴァン・ウォルフレンはまったく公明正大な立場から日本を案じ、発言していると思う。その物の見方も聡明であるから、彼らの発言は常に聞くに値する。

(以下「アシスト」コラムより引用)



題名:No.934 アメリカ資本主義の崩壊

From : ビル・トッテン
Subject : アメリカ資本主義の崩壊
Number : OW934
Date : 2010年10月04日
今から15年ほど前、現在のアメリカを予言するような本が出版された。ラビ・バトラの『The Great American Deception』である。
(ビル・トッテン)

アメリカ資本主義の崩壊

この本でバトラは、「2010年までにアメリカ資本主義は崩壊する」という経済予測を行った。当時話題にはなったものの、主流メディアやエコノミスト達からは無視されたし、現実にリーマンショックのようなことが起こると思った人は、どれくらいいただろうか。しかしこの本はバトラが水晶玉を使って予測したものではない。

バトラはアメリカの税制の歴史を細かく分析した。その結果、税負担を関税から所得税へ、さらには社会保障税へ転嫁することで富裕者を富ませ、一方で一般庶民は逆累進税とグローバル化によって雇用も所得も減少する。これによってアメリカ社会の安定も国家の繁栄も危うくなるだろうと結論づけたのであった。

2008年にアメリカで破綻した銀行の件数は26件だったが2009年には140件に増え、今年も8月末時点ですでに100件近い銀行が破綻している。それでも多くのアメリカ人、そして日本人も、この不景気は一時的なものだと思っている。しかし今アメリカは、州、地方政府、企業や一般国民、そのどれもが借金漬けであり、負債総額はGDPの約360パーセントにものぼる。歴史を振り返っても、これほどの借金を積み上げたことはなかったことを考えると、バブルが崩壊した時の痛みは想像を絶するものとなるだろう。

痛みはすでに弱者から広がっている。アメリカの失業率、住宅の差し押さえ件数はいずれも過去最高を記録し、企業の破綻件数も急速に増えている。低所得者向けの食料費補助対策であるフードスタンプの受給者は2004年に約2,200万人であったのが、2010年3月には4,000万人を超えた。

グローバリゼーションによって生産拠点が国外に移り、アメリカ人労働者は時給1ドル以下で働く中国人労働者と仕事を取り合うことになった。自己破産を申請したアメリカ人は2009年には130万人以上、2010年は6月末ですでに150万人にものぼる。個人だけでなく、アメリカ政府の連邦予算赤字も予算年度が3ヶ月も残っているのにすでに1兆ドルに達する。1930年代の大恐慌時代でさえ、個人や政府がこれほどの借金は抱えることはなかった。現状は当時よりひどく、特に補償のない401kその他の投資に退職金や年金を託している一般国民は一夜にしてすべてを失うこともありうる。

これを解決するには結果にすぎない金融危機に対処するのではなく、バトラが提案するように、原因であるグローバル化や富裕層を優遇する税制の改革に取り組むしかない。貧富の格差を縮めるには、レーガン政権以降とってきた政策を一つずつやめるしかない。だがグローバル化や自由貿易によって富を独占している既得権益者の反対は目に見えているため、政策の転換は革命に値する。しかしそれをしなくても、バブル崩壊によって同じくらい大きな混乱が起きるかもしれない。

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