前に載せたリデル・ハートの「クラウゼヴィッツ批判」だが、そのリデル・ハートも既に時代遅れだろうと私には思われる。
「絶対戦争の概念は、クラウゼヴィッツの教義の源泉であるが、これは、彼のあらゆる戦略思想への貢献の中で、最も極端かつ非現実的なものであった。「絶対戦争」という用語の意味するところは、対峙する軍のどちらかが抵抗能力を消耗し尽くすまで継続される戦闘であり、現実には、勝者も力を消耗して極限に達することを意味するのである。」戦争というものは兵器の開発でどんどんその様相を変える(たとえば飛行機の発明で戦場が二次元平面から三次元空間に変わった。)のであり、「核兵器」というのが生まれた以上、戦争論も戦略論も大きく変わることになる。
つまり、ハートの言う「絶対戦争での勝者も消耗し尽くす」という言葉は核戦争には当てはまらない、というのが私の考えだ。単純に言えば、戦争の最初に相手国の主要軍事施設に核爆弾を投下するか射ち込めば、相手国は軍事的には完全に無力化し、こちらの消耗はほぼゼロであるわけだ。
これはクラウゼヴィッツが正しいという話ではない。単に時代と科学の変化の話だ。たとえば、クラウゼヴィッツは「攻撃は防御より大きな兵力を必要とする」と言っているが、大量破壊兵器、特に核兵器を用いた攻撃には防御はほぼ不可能だろう。地下に潜って生き延びても、地上の施設は壊滅である。
ではなぜ世界の国々は(劣化ウラン弾などは核兵器と言う部類のものではないだろうから)なぜ戦争に核兵器を用いないのか、と言えば、それは「その戦争の目的は何か」という問題になる。戦争に勝っても戦争目的を達成できなければ、その戦争は無意味な戦争だったことになる。
単に政権を倒すためならば、核兵器を相手国に射ち込むより、カラー革命(テロ組織を使った偽革命)のほうが有効なのである。これまで(冷戦時代から)米国が世界を支配してきた手法だ。ある意味、米国はベトナム戦争で学んだ「ゲリラ戦」が現代でも有効だ、として利用しているのである。これがアゾフ大隊などの傭兵軍隊(今はウクライナ軍の一部だが、事実は傭兵隊でウクライナ政府の意志では動かせない。)の存在理由だ。
さて、問題は「プーチンの戦争目的は何か」である。おそらくその一部は達成され、その残りは達成できないのではないか、と私は思っている。
1:ウクライナの軍事的無力化によるロシア防衛。
2:ウクライナからネオナチ勢力を追い出す。
3:ドンバスやクリミヤなどの親ロシア地域の住民の保護
4:NATOの東方拡大の阻止
以上がプーチンの「戦争目的」だと仮定すると、この戦争でロシアが勝つか負けるかにもよるが、たとえ勝っても、その戦争目的の一部は達成できないのではないか。1と3は完全にではなくともある程度達成できると思う。しかし、2と4は不可能だろう。2で言えば、ネオナチの背後にいるのが米国なのだから、いくらでも人員と武器の補充を継続できると思う。人員に関しては、西側世界の貧困化によって「ネオナチ(傭兵)か犯罪組織以外に行き所の無い若者」が膨大にいるからである。ネオナチや傭兵団の根絶は世界からゴキブリを根絶するより難しいだろう。4も同様だ。NATOとはもともとロシア(旧ソ連)と戦争するための、いや、「軍隊維持(軍需産業維持)のための」組織なのである。ロシアがそれを解体しろと要求しても聞き入れるはずがない。DSが自らNATO解体を命じる以外にNATOを消滅させる手段は無い。そしてNATOの東方拡大は「ロシアを刺激して戦争を勃発させる」というNATOの「通常業務」なのである。
「絶対戦争の概念は、クラウゼヴィッツの教義の源泉であるが、これは、彼のあらゆる戦略思想への貢献の中で、最も極端かつ非現実的なものであった。「絶対戦争」という用語の意味するところは、対峙する軍のどちらかが抵抗能力を消耗し尽くすまで継続される戦闘であり、現実には、勝者も力を消耗して極限に達することを意味するのである。」
つまり、ハートの言う「絶対戦争での勝者も消耗し尽くす」という言葉は核戦争には当てはまらない、というのが私の考えだ。単純に言えば、戦争の最初に相手国の主要軍事施設に核爆弾を投下するか射ち込めば、相手国は軍事的には完全に無力化し、こちらの消耗はほぼゼロであるわけだ。
これはクラウゼヴィッツが正しいという話ではない。単に時代と科学の変化の話だ。たとえば、クラウゼヴィッツは「攻撃は防御より大きな兵力を必要とする」と言っているが、大量破壊兵器、特に核兵器を用いた攻撃には防御はほぼ不可能だろう。地下に潜って生き延びても、地上の施設は壊滅である。
ではなぜ世界の国々は(劣化ウラン弾などは核兵器と言う部類のものではないだろうから)なぜ戦争に核兵器を用いないのか、と言えば、それは「その戦争の目的は何か」という問題になる。戦争に勝っても戦争目的を達成できなければ、その戦争は無意味な戦争だったことになる。
単に政権を倒すためならば、核兵器を相手国に射ち込むより、カラー革命(テロ組織を使った偽革命)のほうが有効なのである。これまで(冷戦時代から)米国が世界を支配してきた手法だ。ある意味、米国はベトナム戦争で学んだ「ゲリラ戦」が現代でも有効だ、として利用しているのである。これがアゾフ大隊などの傭兵軍隊(今はウクライナ軍の一部だが、事実は傭兵隊でウクライナ政府の意志では動かせない。)の存在理由だ。
さて、問題は「プーチンの戦争目的は何か」である。おそらくその一部は達成され、その残りは達成できないのではないか、と私は思っている。
1:ウクライナの軍事的無力化によるロシア防衛。
2:ウクライナからネオナチ勢力を追い出す。
3:ドンバスやクリミヤなどの親ロシア地域の住民の保護
4:NATOの東方拡大の阻止
以上がプーチンの「戦争目的」だと仮定すると、この戦争でロシアが勝つか負けるかにもよるが、たとえ勝っても、その戦争目的の一部は達成できないのではないか。1と3は完全にではなくともある程度達成できると思う。しかし、2と4は不可能だろう。2で言えば、ネオナチの背後にいるのが米国なのだから、いくらでも人員と武器の補充を継続できると思う。人員に関しては、西側世界の貧困化によって「ネオナチ(傭兵)か犯罪組織以外に行き所の無い若者」が膨大にいるからである。ネオナチや傭兵団の根絶は世界からゴキブリを根絶するより難しいだろう。4も同様だ。NATOとはもともとロシア(旧ソ連)と戦争するための、いや、「軍隊維持(軍需産業維持)のための」組織なのである。ロシアがそれを解体しろと要求しても聞き入れるはずがない。DSが自らNATO解体を命じる以外にNATOを消滅させる手段は無い。そしてNATOの東方拡大は「ロシアを刺激して戦争を勃発させる」というNATOの「通常業務」なのである。
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