新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた企業に代わって国が休業手当を支払う雇用調整助成金(雇調金)の支給額が、京都府内で9月末までに総額1200億円に達したことが9日までに、京都労働局の集計で分かった。米リーマン・ショック後に4年余り続いた支給額の4倍の規模に膨らんでいる。
雇調金は、店などの臨時休業や社員の一時帰休を実施した企業が従業員に支払う休業補償金の一部を、国が補てんする制度。政府はコロナ禍が本格化した昨年2月に特例を設けて制度を始めた。その後、1日の支給上限額を1人当たり8370円から1万5千円に引き上げたほか、支給要件も緩和した。
京都労働局によると、昨年2月~今年9月の1年8カ月間に京都府内で支給された雇調金は延べ約11万2500件で、総額は約1200億円という。厚生労働省によると、全国の支給額は9月末で累計4兆2100億円にまで増えている。
一方、リーマン・ショック後の08年12月~13年3月の4年4カ月間に府内で支払われた雇調金と中小企業緊急雇用安定助成金(現在は雇調金に統合)は合わせて約6万8500件、総額約300億円だった。
今回の雇調金支給額が膨らんだのは、緊急事態宣言の発令が繰り返され、人々の移動や消費活動が停滞したためだ。リーマン・ショックは金融不安で製造業への影響が大きかったが、コロナ禍は飲食、宿泊、運輸、サービスなど幅広い非製造業が苦境に立たされ、支給対象となる従業員数が多くなっている。
厚労省の調べでは、雇調金によってコロナ禍以降の完全失業率が2・6ポイント程度抑制されたといい、企業の雇用維持につながっている。一方で、4兆円を超える大規模な支出が財政に与える影響も大きくなっている。
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