ウクライナ東部で親ロシア派武装集団が一方的に独立を宣言している二つの「人民共和国」が3月下旬、ロシアへの編入手続きを検討していると表明した。旧ソ連構成国ジョージアでも、分離独立を目指す地域の幹部がロシアへの編入方針を示した。いずれも、住民投票を実施し、プーチン露政権の領土拡張を正当化する動きのようだ。
タス通信などによると、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」の親露派武装集団トップは3月29日、露軍と武装集団がドネツク州を全面的に制圧すれば、ロシア編入の可能性を検討すると述べた。
「ルハンスク(ルガンスク)人民共和国」の武装集団トップも3月27日、「個人的な見解」と断りつつ、編入に必要な住民投票を「近い将来、実施する」と語った。
プーチン政権はウクライナへの侵攻直前の2月下旬、二つの人民共和国の独立を一方的に承認し、親露派の支配地域の「解放」を侵攻目的に掲げた。
3月下旬になって、ロシア軍はウクライナ侵攻作戦の重心をドネツク、ルハンスク両州の全面制圧に移している。ウクライナ側との停戦協議の行方をにらみつつ、両州をロシアに併合するカードも準備している可能性が高い。
ロシアは2014年にウクライナ南部クリミアに侵攻した際、軍事圧力を加えながら住民投票を実施し、「併合」を強行した経緯がある。
一方、ジョージアの「南オセチア共和国」のトップは3月30日、後ろ盾であるロシアへの編入の是非を問う住民投票を、4月10日予定の「大統領選」の後に実施すると明らかにした。
南オセチアはロシアと接し、ロシアは08年のジョージア(当時はグルジア)への軍事侵攻後、一方的に独立を承認した。
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