https://indeep.jp/the-atlantic-ocean-current-collapsing/
<転載開始>
大西洋の海流(AMOC)が崩壊した後の地球の気温の平年との差異の予測
severe-weather.eu この図は本文でも説明しています。
地球の気温についての新たな知見
暑いですねえ。
毎日夕方などに「明日の気温は?」と見ると、もうずーっと、35℃だ 36℃だの気温が示されていまして、もう何十日目なのかと思いますが、来週の後半くらいからは、気温はある程度正常になるようです。
昨日は 9月11日で、23年前に同時多発テロがあった日でしたが、「あの日、外で人と会っていたな」と思い出しました。夕方以降ですけれど、確か、特に夏服じゃなかった記憶があります(私はもともと夏でもあまり夏服を着ないタイプでしたが、去年と今年は完全に無理で、甚平かアロハのどっちかです)。
今年の 9月11日は、もうもう…。
海水表面温度も、それが気温と直接関係するかどうかともかく、日本の周辺は「平年との差異が世界で最も高くなっている」ようにも見えます。
海水面温度の平年との差異(2024年9月8日)
NOAA
これを見て、ふと「海水表面温度と水蒸気の量って関係するのだろうか?」と思いまして、見てみましたら以下のようにあり、関係するもののようです(そりゃそうか…)。
海面水温が高いほど大気中に含まれる水蒸気の量は多くなり、より多くの水蒸気が上空へ運ばれるため… mri-jma.go.jp
なぜ、「水蒸気」なんてことを気にしたのかといいますと、以前、
「 2022年のトンガ沖の海底火山の大噴火が、その後の気温上昇と強く関係している」
ことについてを記事で取り上げたことがあります。
そこで引用したライブサイエンスの記事に以下のようにあります。
大気中の水蒸気は太陽放射を吸収し、熱として再放出する。トンガの水分が数千万トンも成層圏に漂っているため、地球の表面は温暖化するだろうが、その程度は不明だと研究は述べている。
この記事のタイトルは「トンガの噴火による 5000万トンの水蒸気は地球を何年も温める可能性がある」というものでした。
昨年以来の地球の気温の上昇には、大気中の水蒸気が強く関係しているようなのですね。
理由は、上にありますように、
> 水蒸気は太陽放射を吸収し、熱として再放出する…
ためで、水蒸気を多量に含んだ大気の状態自体が「熱のドームのような役割」を担うらしいです。
最近、非常に参考になる過去の文献を読者様に教えていただきまして、元気象庁の根本順吉さんという方の書かれたページです。さまざまな文献をまとめられている以下の長いページです。
その中に、以下の下りがあり、そこにあるグラフに驚きました。
太字はこちらでしています。
根本順吉氏のページより
現在の地球大気の温室効果で、既に地球放射の 90~95%が捕捉されていると言われる。そのうち、水蒸気が8~9割、二酸化炭素を含むその他の気体が残りの1~2割を吸収している。
温室効果において、圧倒的に影響力を持っているのは水蒸気であることがわかる。大気中の二酸化炭素濃度が上昇しても、二酸化炭素の吸収帯における地球放射の吸収量の増加はわずかである。
地球大気の温室効果を考える場合、最も影響の大きいのは水蒸気であることを述べたが、例えば日本の場合、秋から冬にかけてよく晴れた日の朝は冷え込むことを我々は体感的・経験的に知っている。
これは大気中の水蒸気濃度が下がり、地球放射に対する水蒸気による吸収が減少するために水蒸気による温室効果が低下するためである(例えば真夏の蒸し暑い日、気温30℃、湿度80%の場合、大気中の水蒸気量は 30,240ppm になる。これに対して、乾燥した冬の朝、気温 5℃、湿度20%の場合、同じく 1,692ppm になる。下図参照。)。
「なるほど…」と思いましたけれど、今は、2022年のトンガ沖の噴火のために、地球(全体)の大気中の水蒸気量が多く、それがこのような猛暑というのか、そういうものを作り出しているのだなあと。
上のグラフは、もう一目瞭然であり、
「大気中の水蒸気量濃度が高ければ高いほど気温が上がる」
ことが示されています。
そして、夏は一応そろそろ終わろうとしているとはいえ、大気中の水蒸気量が多い状態は、まだ何年も続くようで、 科学者たちの中には、
「トンガの噴火による水が完全に消散するには 5~ 10年かかる可能性がある」
とも報じられています。
先ほどの根本順吉さんのページには、他にも「太陽周期と気温の関係」にもふれられています。
太陽周期といっても、太陽活動周期(サイクル)のことではなく、太陽の軌道の周期変動のことです。
初めて知った言葉ですが、「ミランコビッチ・サイクル」という周期だそうで、以下のように説明されています。
ミランコビッチ・サイクル
ミランコビッチ・サイクルとは、地球の公転軌道の離心率の周期的変化、自転軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動という3つの要因により、日射量が変動する周期である。
1920 - 1930年代に、セルビアの地球物理学者ミルティン・ミランコビッチは、地球の離心率の周期的変化、地軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動の三つの要素が地球の気候に影響を与えると仮説をたて、実際に地球に入射する日射量の緯度分布と季節変化について当時得られる最高精度の公転軌道変化の理論を用いて非常に正確な日射量長周期変化を計算し、間もなくして放射性同位体を用いた海水温の調査で、その仮説を裏付けた。
根本順吉さんのページから図を拝借しますと、以下のような位置関係が、それぞれ地球の気温に強く影響を与えているということです。
それぞれの「周期」と地球の気温の関係を書きますと、以下のようになっているようです。
・離心率(真円から離れる程度)の変化 → 現在の氷期サイクルの周期は約 10万年であり、離心率の変動周期と一致している。
・地軸の傾きの変化 → その周期は 4.1万年である。現在は極大となった約 8,700年前から小さくなっている時期にあたる。現在は 23.4度であり、約 11,800年後に極小となる。
・歳差運動(自転している物体の回転軸が、円をえがくように振れる現象)の変化 → この周期は 1.8万から 2.3万年である。…実際、過去 70万年の気候変動では 10万年周期の離心率の変化ではなく、4万年周期の地軸の傾きの変化が重要な役割を果たしている。
どれも何万年単位のダイナミックなものですが、ともかく、こういう太陽に対しての地球の軌道の周期などもまた地球の気温と気象に大きく関係しているということのようです。
気温の変化の要因って複雑だなあと改めて思います。
しかし、このようなサイクルがあるということはともかく、トンガ沖の大噴火により、水蒸気は今後何年間も留まったままになることが予測されている以上、
「来年もこんな感じの夏になっちゃうのかなあ」
とか思いますが、あるいは、この秋とか冬がどうなるのかも含めて、まったく混沌としてきていますが、その混沌とした状況に、さらに混沌が加わろうとしています。
「海流の異常」
です。
たまにご紹介させていただく欧州の気象分析サイト「シビア・ウェザー・ヨーロッパ」が、最新の記事で、「寒冷化の可能性」についてふれていました。
シビア・ウェザー・ヨーロッパは、最近、「サハラ砂漠の集中豪雨」の予測を「サハラ砂漠で今後数日間で数年分の雨が降る予測から見る…」という記事で取り上げさせていただいています。
その後、9月の初めから実際にサハラ砂漠で集中豪雨が発生し続けています。
9月5日のサハラ砂漠の降雨状況
サハラ砂漠の周辺国であるモロッコやナイジェリアなどでも激しい雨による大洪水が続いています。
それはともかく、シビア・ウェザー・ヨーロッパは、AMOC (大西洋子午線逆転循環)という大西洋の大きな海流が「崩壊しつつある」ことを伝えており、これにより地域的に非常に気温が下がる可能性について述べています。
(以下省略)
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