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徽宗皇帝のブログ

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ローマ法王が明瞭に資本主義を批判
「櫻井ジャーナル」から転載。

"hotbeds of tension and conflict caused by growing instances of inequality between rich and poor"(緊張と軋轢の温床は冨者と貧者の不平等性への要請が成長したことである。)
"the prevalence of a selfish and individualistic mindset which also finds expression in an unregulated capitalism, various forms of terrorism and criminality".(利己的かつ個人主義的な心的傾向が優勢であることは、規制されない資本主義やさまざまなテロリズムや犯罪の形として現れてくる。)*「規制されない資本主義」が新自由主義の本質であり、それがテロリズムや犯罪と同列に語られていることに注意。(徽宗注)

などの部分を見れば、これは昔ならば共産主義国家の声明文と言ってもおかしくない。資本主義の退廃、冨者と貧者の軋轢は、ローマ法王がここまで言うほどのものになっているということだ。これは資本主義最末期のヨーロッパに身を置いているから肌で分かるのだろう。日本はまだこれからなのである。あと10年程が最終段階だと私は見ている。
私はローマンカトリックを「ユダヤ教に乗っ取られたキリスト教」だと認識していたが、そのローマ法王がこのような資本主義批判のメッセージを出したことには重大な転換が世界政治の中で起こっている可能性を感じる。
もしかしたら金融資本主義が力を失い、実体経済・実物経済が復活してくる可能性が高いのではないだろうか。もちろん、その経済の支配者が世界政治をも支配することは変わらなくても、支配者層内部での「政権交代」がある、あるいはあったのかもしれない。



(以下引用)


2013.01.02

ローマ教皇からも否定されるようになった強欲な資本主義に執着している日本の「エリート」は社会システムの破壊を物ともせず、TPPの導入を目指している

 2013年を迎え、ローマ教皇ベネディクト16世が出した最初のメッセージは箍(たが)の外れた資本主義に対する批判だった。強欲な資本主義は身勝手で利己的な考え方を「是」とし、ごく一部の社会的な強者は不公正な仕組みで富を独占し、貧富の差は拡大する。そうした貧富の差がテロリズムや犯罪を生み出すというわけだ。

 かつて、日本では「勝ち組」や「負け組」といった表現が流行った。勝負の前提は「公正なルール」なのだが、新自由主義は公正さと無縁。つまり、この表現自体が詐欺的だ。

 たとえルールが公正であっても、球技であろうと格闘技であろうと、あらゆる競技の勝負には「時の運」がつきものである。遊びならそれでも良いだろうが、社会生活では大きな問題。「運」を修正する必要がある。が、そうした修正の仕組みを「規制緩和」や「小さな政府」という呪文を使って破壊したのが新自由主義者たち。

 この新自由主義を国の政策として最初に採り入れたのはチリの軍事独裁政権だ。チリでは1973年、CIAの支援を受けたオーグスト・ピノチェトを中心とする軍人がクーデターを起こし、サルバドール・アジェンデ政権を倒した。アジェンデは民主的なプロセスを経て誕生していたが、アメリカの巨大資本にとって都合が悪いということで、暴力的に排除したわけである。アメリカは民主主義の破壊者だ。

 クーデター後、シカゴ大学のフリードマン教授やアーノルド・ハーバーガー教授といった経済学者の弟子たち、いわゆる「シカゴ・ボーイズ」が大企業/富裕層を優遇する政策を実施する。勿論、大企業の中心はアメリカの多国籍企業。フリードマンとハーバーガーも1975年にチリを3日間訪問、3万ドルを報酬として受け取ったという。

 シカゴ・ボーイズは国有企業を私有化し、労働者を保護する法律を廃止するだけでなく労働組合を禁止、そして外国からの投資を促進した。1979年頃になると、年金や教育まで全てを私有化しようとしている。こうした政策が新自由主義の核心であり、TPPも同じ方向を目指すことになる。日本の「エリート」はこうした社会を築こうとしているわけだ。

 規制緩和でチリは外国の金融機関から多額の資金を調達するのだが、1980年代に債務危機が起こると外国の金融機関は銀行の「国有化」を求めてくる。国有化された彼らの債権は私有化された国有企業の株券と交換され、チリの重要な企業は外国の投資家に格安のコストで乗っ取られることになった。

 フリードマンの師にあたるフリードリッヒ・フォン・ハイエクはイギリスのマーガレット・サッチャーに新自由主義を売り込む。1982年にアルゼンチンとの間で「フォークランド/マルビナス戦争」が始まると、これを利用してサッチャー政権は新自由主義を一気に導入した。戦争で興奮状態になったイギリス人は、何が起ころうとしているのかを考えなかったようだ。

 戦争はアルゼンチンの軍事政権が仕掛けたのだが、その原因を作ったのはアメリカをはじめとする欧米の巨大資本。軍事政権に莫大な資金を融資、それをオフショア市場/タックス・ヘイブンの個人口座へ還流させ、債務をアルゼンチン国民に押しつけたのだが、その結果として債務問題が深刻化して体制を戦争へと導いたのである。ちなみにアルゼンチンの軍事政権と最も親しかった銀行家はハイエクの弟子だというデイビッド・ロックフェラーだ。

 ビルダーバーグ・グループでの決定(ヘンリー・キッシンジャーの意向)に基づいて1973年に石油価格が大幅に上昇、北海油田が利益を生み出すようになり、イギリス経済は立ち直っている。勿論、これは新自由主義と無関係な話。

 サッチャーの後をアメリカのロナルド・レーガン大統領や日本の中曽根康弘首相も追いかけたが、1980年代に入ると中国が、1990年代にはロシアも新自由主義を採り入れた。

 中国では社会主義という箍が機能して「害」は緩和されたものの、ボリス・エリツィン政権のロシアは惨憺たる事態になる。不公正な取り引きで巨万の富を得る人物が登場する一方で、大多数の庶民は貧困化したのだ。これを修正したのがウラジミール・プーチン。「西側」のメディアがプーチンを嫌う最大の理由はここにあるのだろう。




(引用2)*上記記事中に言及されているローマ法王メッセージのロイター記事である。




Pope Slams Capitalism, Inequality Between Rich And Poor In New Years Message
Reuters | By Philip Pullella Posted: 01/01/2013 11:17 am EST | Updated: 01/01/2013 2:43 pm EST
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Pope New Years 2013, Pope On Capitalism, Pope On Inequality Of Rich And Poor, Pope On Unregulated Capitalism, Vatican, Religion News

The 85-year-old pope rang in the new year with a mass for about 10,000 people in St Peter's Basilica on the day the Roman Catholic Church marks its World Day of Peace with initiatives around the world.
He also spoke of peace after the mass, addressing tens of thousands of people who had followed the service from outside in St Peter's Square.
"A new year is like a trip. With the light and the grace of God, may it be the start of a path to peace for every person, every family, every country and for the entire world," he said from his window overlooking the square.
He thanked the world's peacemakers, saying they deserve praise for working, often behind the scenes, tirelessly, thanklessly and armed only "with the weapons of prayer and forgiveness".
Peace marchers carrying rainbow banners released blue balloons in a sunny but cold St Peter's Square as the pope spoke.
Earlier in his homily, the leader of the world's 1.2 billion Roman Catholics decried "hotbeds of tension and conflict caused by growing instances of inequality between rich and poor".
He also denounced "the prevalence of a selfish and individualistic mindset which also finds expression in an unregulated capitalism, various forms of terrorism and criminality".

Benedict said he was convinced of "humanity's innate vocation to peace" despite many problems and setbacks. A personal relationship with God can help all believers deal with what he called the "darkness and anguish" that sometimes defines human existence.
"This is the inner peace that we want in the midst of events in history that are sometimes tumultuous and confused, events that sometimes leave us shaken," he said.
In his full message for the peace day, the pope called for a new economic model and ethical regulations for markets, saying the global financial crisis was proof that capitalism does not protect society's weakest members.
He also warned that food insecurity was a threat to peace in some parts of the world and strongly reaffirmed the Church's opposition to gay marriage. Heterosexual marriage had an indispensable role in society, he said.
Thousands of people took part in a peace march to the Vatican led by the Catholic peace and charity group, the Sant' Egidio Community, which negotiated the end of the civil war in Mozambique in 1992.
Other peace marches took place in Italian cities, and Catholic dioceses around the world held their own events.
(Editing by Angus MacSwan)




(付録)「BLOGOS」記事の転載である。現在の世界経済情勢を的確に示していると思うので引用する。後半部の筆者の主張(所得再配分効果否定論)には賛成しない。日本には金はあるのは多くの人が論証しており、その偏りが最大の問題であるのは明らかだと私は考えるからだ。(もっとも、その金も、世界に対して福島原発事故賠償をまともにやれば雲散霧消するだろうが)筆者の言うように、先進国の成長が不可能になったのは確かだが、なればこそ富の配分が最大の問題になるはずではないか。(徽宗)





(以下引用)





延命期に入った資本主義 - 辻 元




アゴラ



2013年01月01日 21:50


今、日本では、中小企業金融円滑化法、雇用調整助成金、公的資金で製造業支援、公的資金で工場、設備買い取り1兆円超といった政治による危機の先送り、あるいは、日銀の独立性を奪い、日銀の資産を強制的に増やし、為替を政府が操縦し、財政ファイナンスを行いながら、財政拡張による景気対策を行う、という。こうなると今や、日本は資本主義自由経済から、国家社会主義経済に変質してしまったように思われる。

このような異常な政策の背景には、資本主義の行き詰まりがある。ここでは、そのことについて考えたい。


疲弊する先進国経済

フランスの経済学者ダニエル・コーエンが、「迷走する資本主義ーポスト産業社会についての3つのレッスン」という本を書いている。資本主義自由経済がフランス社会にどのような社会問題を引き起こしたのか、資本主義の病理が良く分かる好著である。経済格差、格差の固定化、分断される社会、これはフランスだけでなく、先進国全般に当てはまる現象だ。

かつてはパリっ子は夏にはバカンスに出掛けてしまい、夏の間、パリには人影がまばらと言われたが、今や、その状況は一変した。かつて世界を席巻したフランス映画は衰退し、人々には余裕がなくなったように見える。 フランスでは新自由主義的な政策を推し進めたサルコジ政権は倒れ、それに替わって社会主義的なオランド政権が誕生した。オランド政権では、最高税率を75%にまで上げ、高額所得者が海外に移住する事態になっている。

一方、他のヨーロッパ諸国に於いても、経済の疲弊が顕著であり。ユーロ危機で南欧諸国は経済危機に陥った。 スペインでは若年層の失業率が45%にも達している。 イタリアでは、緊縮財政への批判が高まり、緊縮財政を推進するモンティ内閣が総辞職する事態に発展している。 

フランスやドイツでは移民排斥の動きが強まり、極右政党、社会主義政党の台頭といった動きが顕著である。社会の閉塞状況に不満を持つ人々が増え、極端な方向に社会を変えようとする人たちが増えているのだ。

私が小学生の頃、図書館で読み耽った憧れのヨーロッパの姿は今やどこにもない。

アメリカでは、所得格差の拡大が深刻である。 1979年から2007年の間に、上位1パーセントの収入は、平均すると275パーセント増加する一方、同じ期間に、60パーセントを占める中間所得層の収入の増加は40パーセントに、下位20パーセントの最低所得層では18パーセントの増加に留まっている。 1979年から2007年の間に、アメリカの上位1パーセントの収入は、平均すると275パーセント増加したが、同じ期間に、60パーセントを占める中間所得層の収入の増加は40パーセント増加、下位20パーセントの最低所得層では18パーセントの増加に留まっている。格差が拡がっているのだ。 また若年層の就職難も深刻で、アメリカの19歳から20代前半の若者(ハイスクール卒、大学卒)の4割は職がない状態である。その結果、"We are the 99%"をスローガンにOccupy Wall Streetと呼ばれる大規模なデモが発生している。 

やはりヨーロッパと同様、1960年代の映画に登場する燃費の悪い巨大なアメ車を乗り回す能天気なアメリカは今やどこにもない。

このように、先進国全体の経済が行き詰まり、社会が不安定化している。 経済が疲弊し社会が分断されているのは、日本だけではない。  先進国全体が同じ問題を抱えているのだ。


資本主義の危機

資本主義は、投資したお金が自己増殖をするシステムである。 その自己増殖=経済成長が止まれば、資本主義は行き詰まる。 経済成長のために必要なのは

(1) 安くて豊富な労働力
(2) 安くて豊富な資源
(3) 技術革新

だが、これら全ての供給が行き詰まっている。

労働力についてみると、90年のベルリンの壁崩壊以降、社会主義国の労働力が資本主義に組み入れられ、安くて豊富な労働力が、供給された。90年代、世界経済はグローバリゼーションの恩恵に浴した。しかし、もうそういった安い労働力を供給してくれるフロンティアは非常に限られている。

安くて豊富な資源は、最早、地球上に存在しない。これは「地球の有限性の顕在化と資本主義の機能不全」で書いた通りである。 一部の人たちがシェール革命ともてはやしている、アメリカのシェール層の開発にしても、シェールオイル、シェールガスとも生産コストは高く、安い資源ではない。

技術革新は今でもスピードを落とすことなく続いているが、経済成長に与えるインパクトは大幅に減じている。これは一人当たりの使用可能エネルギー量とエネルギー効率により我々の物質的豊かさは決定されるが、最近のIT革命など殆どの技術革新は、エネルギー革命ではないからだ。  

今、我々が見ている先進国の疲弊した状況は、資本主義の終わりの始まりなのだ。

これは何度も書いたことだが、現在は、資源制約のために大きくならないパイを、成長が大きい新興国と、先進国が奪い合っている状態である(「地球の有限性の顕在化と資本主義の機能不全」参照)。そのため、資源、食糧価格が高騰する一方、グローバル化にる新興国との競争ために価格転嫁できず、人件費を下げ薄利多売することで対応している。それでなくても、グローバル化、機械化により、新興国、機械との競争が起きており、人件費低下圧力は高いため、これは合理的な対応である。 

元旦の朝日朝刊に、カリフォルニア大学のライシュ教授のインタビュー記事が掲載され、教授は、中間所得層の復活が先進国経済復活の鍵であると述べているが、これは非現実的な話のように思われる。 経済低迷の結果として、中間所得層の衰退があるのであって、その逆ではないからだ。 ライシュ教授は、経済はゼロサムではない、と説くが、現実には資源制約のために、ゼロサムになっているからだ(「ゼロサム社会のゆくえ」参照)。 従って、上位1%の高額所得者の所得を再配分するだけでは、残り99%の所得を少し押し上げるのが精一杯のように思われる。 日本でも野田前首相が、「分厚い中間層の復活」を説いたが、アメリカほど貧富の差が激しくはない日本の場合は、中間層の復活は、さらに難しい。

21世紀に入ってから今まで、低下した経済成長を復活させようと、金融技術を駆使した金融商品の導入など、新しい試みがなされてきた。 しかし、こういった措置はバブルの生成とその崩壊を生むだけで、資本主義の延命に繋がっているようには見えない。

経済成長の本質は生産の拡大であり、こういったバーチャルな領域での技術革新は実体経済をほとんど変えなかったように思われる。 

金融といったバーチャルな世界で操作を行っても、実体は変わらない。

今、安倍政権が行おうとしていることを検証すると、金融緩和、為替操作というバーチャルな領域の操作だけでなく、財政出動というリアルな操作も含んでいる。だから一時的にはある程度の効果があるかも知れないが、もう少し長期で見れば、やはり実体経済の基礎条件は何も変わっていない。アベノミクスは、労働力、資源、技術革新の何れにも働き掛けない。日本の場合、資源はないのだから、労働力、技術革新に働きかけるしか活路はないはずだ。  

世界的に見ても、資本主義の原動力である、安い労働力、安い資源、経済成長に寄与する技術革新とも、豊富に供給し続けることは不可能なように思われる。資本主義は危機を通り越して延命期に入ったと言えるだろう。








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コメント

1. アダム・スミスが目指した資本主義でないから批判は当然

ローマ教皇の批判を世界の政治家エコノミストは真摯に受け止め真の資本主義を目指すべきです

▼資本主義はすばらしい(世界の誰もがウィンになる経済学)
次の2点が条件(これが無視されているから批判されるのです)
▽スミスが批判している重商主義からの離脱
対外純資産ゼロを国際ルールに、黒字国は賃金上げてゼロのする(外貨を溜めない)
▽資本主義の成果である国富の活用(これが政治だ)国富とは供給と技術と社会資本
最大の活用は「労働力の供給制限」で労働力の売り手市場を常時維持する
このため失業者で求職しない者のみに失業保険料を支給する、現行と正反対
詳細は次より
http://6238.teacup.com/newbi/bbs
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