私自身は保守的な人間だが、政治において保守的とは本来「持てる者の立場」であり、私のような貧乏人(持たざる者)が保守主義なのはお笑いだろうが、単に「文化的保守主義」であるだけだ。(文化は「社会全体の思想的体質」となり、しばしば政治の性格を変えるが、それは非常に長期的な話である。アメリカの文化の根底である「自由主義」が現在のアメリカの堕落、退廃に至るまで、「新自由主義」の勃興から半世紀近くかかっている。)
政治の課題や目的が国民全体の幸福であるかぎり、文化云々は不急の問題となり、リベラル派(通常、革新主義)の「世に倦む日々」氏と保守主義の私の政治思想(と言うより問題解決策)が時々一致するわけである。
(以下引用)
日本のマスコミは、相変わらず尹錫悦を善とし、尹錫悦に反対する野党側を悪と決めつける報道を変えない。北朝鮮に宥和的で歴史問題に厳しい左派勢力を反日と断定し、親米一辺倒で歴史問題で妥協的な右派勢力を親日とする認識を一貫させている。木村幹もそうだし、西野純也もそうだ。この認識と主張に反論する者はなく、この言論レジームに抵抗する者はいない。不思議でもあり、腹立たしくもあり、テレビの前で無力感と敗北感に苛まれる。立憲民主党も、韓国右派を親日とし、韓国左派を反日とし、尹錫悦を正義と仰ぎ、文在寅を悪魔と貶す立場なのだろうか。30年前に戻って、日本政府が発した村山談話に即せば、韓国左派の立場こそが正当で、東アジアの正しい共通認識で、文在寅の日韓歴史認識こそが普遍的な真理である。今の日本政府と日本マスコミの立場は、特に韓国や中国との関係での基本姿勢は、安倍晋三のそれが標準として固まったもので、客観的にはきわめて右翼的で佞悪で反動的で誤っている。東アジアを不幸にする発想だ。
韓国はイデオロギー的に分断している。この分断は、アメリカの新冷戦政策によって惹起され深刻化している問題であり、アメリカが新冷戦に周辺諸国を巻き込んだ結果だ。また、アメリカの新冷戦政策に対して有効な外交対処ができず、なすがまま、毛沢東時代にしがみついている習近平中国の無力さの責任でもある。アメリカの新冷戦政策がなければ、韓国の政治は革新勢力がずっと政権を担い、北朝鮮とも関係改善を進め、いわゆる今の保守勢力などという反動的存在は消滅していただろう。文在寅・曺国的なラディカルな左派と、それより右寄りのリベラル派と、二つで政権交代する韓国になっていたと思われ、経済政策も含めて、他のアジア新興諸国に模範を提供する韓国になっていたはずだ。それがあるべき韓国民主主義の方向性であり、民主化以降の基軸の延長線である。韓国の分断は、世界の政治力学的にやむを得ないもので、同盟国のアメリカに引き摺られた影響でこうなっているのだが、分断している現実が、言わばまともな社会的生理現象だと言える。
本当は、韓国のように日本も分断しなければいけないのである。それが自然なのだ。具体的な仮想図を描けば、日本共産党・れいわ新選組・社会民主党が、国会の4割とか5割の議席を占めていなくてはいけない。そういう政治バランスであれば、日本も韓国のような分断状況になっているだろう。30年前の「政治改革」以降、日本の左派は個々が右派へと転向を続け、労働組合も大学教授も出版社も右旋回し、マスコミは右派だけで固まった。ネットは「政治改革」以降の後発メディアだから、最初からネオリベ右翼的なDNAと環境で生育している。この20年、安倍晋三的な思想と言説が標準的となり、左派的なものは異端となり、社会に存在感のないものとなった。日本は顕著でグロテスクな右翼大国だと思う。その認識は間違っていないだろう。韓国や台湾、タイやフィリピンやマレーシアと比較しても、際立って反共的で従米的なイデオロギーで統一され斉一化されている。対立がない。そして日本の特徴として、左派の思想性の消失が知性の劣化に結びついている。
日本は不幸なイデオロギー体制が確立し、テレビとネットと教育機関を通じてセメント化され、正常な状態へ戻せなくなった。韓国には日本の轍を踏んで欲しくない。戒厳令クーデターの迎撃・粉砕を機に、朝鮮日報や東亜日報のような反共反動マスコミの妨害を無力化し、真っすぐに韓国民主主義の理想的体制を築いてもらいたい。
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