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徽宗皇帝のブログ

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企業の、一般人への恫喝訴訟の蔓延を食い止めよう
「東洋経済オンライン」から転載。
良記事である。
スラップ(slapp)の意味は下記記事中にある通りだが、私は、ここには(slap)の意味がこめられていると思う。つまり、企業や政府が、一般国民に「平手打ち」を食わし、恫喝する、ということだ。その狙う効果も、下に書かれている通り、対象となる個人(や市民団体)に対するものだけではない。国民全体に対する恫喝だ。恐れさせ、萎縮させることである。冷や水をかけ、震えさせる「chilling efect」だ。
黒木睦子さんに対する住金下請け会社の恫喝訴訟が、まさしくこのスラップ訴訟であり、この訴訟を全国的に知らしめて、その反社会性を糾弾することが、国民全体の人権を守ることにつながるだろう。
大企業や政府は巨大権力であり、個人が単独で立ち向かえるものではない。しかし、法律そのものは巨大権力と個人を少なくとも建て前的には同等に扱うものだ。そして、裁判所というものは、案外世間の評判に弱い。そこに、突破点もあるだろう。
良識の言葉は、歩みは遅くても、必ず効果はあるものだと私は信じている。
引用記事のタイトルが、まさに問題解決への最良の処方箋だろう。


(10月29日追記)「スラップ訴訟」というカタカナ名前よりも、明確に「恫喝訴訟」と呼ぶようにしたほうが、大衆にも一瞬でその訴訟の性格が分かると思うから、私は「恫喝訴訟」という名称を広めることを提案する。べつに「著作権」は要求しない。(笑)


(以下引用)赤字は徽宗による強調。



スラップ訴訟をどう抑止していくか 「反社会的な行為」という認識を広めることが重要


2010年02月02日











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スラップ訴訟をどう抑止していくか 「反社会的な行為」という認識を広めることが重要

昨年、週刊東洋経済12月5日号で、「提訴することによって被告を恫喝することを目的とした訴訟」(SLAPP=Strategic Lawsuit Against Public Participation、以下「スラップ」と表記)の問題について取り上げた。

スラップ訴訟とは、たとえば、ある企業への批判記事を書いたジャーナリスト個人が、当該の企業から名誉の毀損だとして法外な金額を損害賠償請求されるような訴訟を言う。
 記事の掲載後、スラップ訴訟について多くの意見や質問が寄せられた。誌面上でそれに答えることは、読者に対しても有益であると思われるので、ここで取り上げたい。

まず、スラップ訴訟の概念をもう一度わかりやすくまとめてみよう。

法的研究はまだ手つかず

スラップは、訴訟先進国の米国で始まったもので、研究は米国が最も進んでいる。というより、日本も含めた他の国ではまだほとんど研究が進んでいないのが実情だ。

SLAPPという概念を提起したデンバー大学のジョージ・プリング教授とペネロペ・キャナン教授は、次のような定義を示している。

第一に、政府・自治体などが権力を発動するよう働きかける(裁判の提訴や捜査機関への告発など)。

第二に、そうした働きかけを民事訴訟の形をとって行う。

第三に、(政府、自治体、企業ではない)個人や団体(たとえば住民団体)を被告として提訴する。

第四に、公共の利益や社会的意義にかかわる重要な問題を争点とする(たとえば製品の安全性)。


 両教授の立論を基に、スラップ訴訟の特徴をまとめると次のようになる。

(1)刑事裁判に比べて裁判化が容易な民事訴訟である。

被告にとっては刑事告訴がより深刻だが、民事訴訟は、紙一枚を書いて裁判所に行けば起こせ、相手にコストを負わせやすいという面がある。誰にでも使える合法的恫喝であり、だからこそ危険である。

(2)公的問題がメディア上など、公の場所での論争になっている。

(3)訴訟の原告あるいは被告は、その公的論争の当事者である。

(4)その公的問題について公的発言をした者が標的とされ、提訴される。ここで言う「公的発言」とは、マスメディアに寄稿することだけでなく、その取材に答えること、ブログや記事を公開すること、新聞の投書欄に投書すること、意見広告を出すこと、労働組合を結成すること、チラシを配布すること、合法的なデモをすることなどが含まれる。

(5)提訴する側は、資金、組織、人材などの資源をより多く持つ、社会的に比較強者である。

(6)提訴される側は、それらの資源をより少なくしか持たない比較弱者である。

(7)提訴によって金銭的、経済的、肉体的、精神的負担を被告に負わせ、苦痛を与える。

つまり、弁護士費用、時間の消費、肉体的・精神的疲労などを被告(被害者)に負わせ、疲弊させ、反対・批判を続ける意欲や能力を失わせる。それにより、被告が公的発言を行うことを妨害する。また、被告が団体の場合には、団結を乱し、分断し、分裂させることを狙う。

(8)訴えの内容、方法などに、合理的な訴訟ならありえないような道理に合わない点がある。

(9)訴えられていない反対者・批判者も、提訴された人たちが苦しむ姿を見て、公的発言をためらうようになる。これをchilling effect(冷や水効果)という。

(10)提訴した時点で批判者・反対者に苦痛を与えるという目的は達成されるので、原告側は裁判の勝敗を重視しない。つまり、訴訟に勝つことは必ずしも目的ではない。

次に、「スラップ訴訟の標的となるのは報道・言論関係の個人や団体だけなのか」という質問について。

マンション建設反対も標的に

標的となるのは報道・言論関係だけではない。スラップ先進国の米国では、ジャーナリストのほかに、一般市民や団体がスラップ訴訟の標的にされている。

たとえば、消費者運動、フェミニズム、平和運動、反差別運動、反公害・環境運動などを行う団体や市民個人である。

日本では、スラップ訴訟の被告となってきたのは、ジャーナリストなどのメディア関係者が多いが、それ以外の例もある。

たとえば、あるマンション開発業者は、千葉県津田沼市でのマンションで建設に反対する運動を行った住民に対し、損害賠償請求訴訟を起こしている。

今後も、地元の反対運動を伴う開発事業や大型プロジェクトなどに、スラップ訴訟が反対運動抑圧の手段として使われる可能性がある。

「米国カリフォルニア州のように日本でも禁止法を作るべきではないのか」という意見。

もちろん望ましいのは、日本でも国がスラップの規制立法を行うことである。だが、それ以前にもやれることはある。それは、メディアが、スラップ訴訟の提訴は反社会的な行為であるということをもっと報道、啓蒙していくことだ。


 スラップ訴訟を提訴するのは企業の場合が多いが、現在、企業、特に上場企業や有名企業は「反社会的」という批判に対して非常に敏感だ。スラップ訴訟の反社会性を訴えるとともに、スラップ性の疑いのある訴訟が起こされたときには、メディアがこれまで以上に詳しく報道、批判していくことが肝要だ。そうなれば、世間の評判を気にする企業はスラップ訴訟を起こしにくくなる。

また、提訴した訴訟がスラップと認定されれば、原告となった企業は社会から指弾されることになる。これには、多くのメディアの力が欠かせない。

最近、日本でもネットなどのメディアを中心に、以前よりはこの問題に関する発言数が少しずつ増えてきた。社会的にスラップ訴訟の危険性がもっと認知されれば、その効果は無視できないものとなる。

しかし、最終的にはわが国でも法による抑止が必要だ。

この法律は、スラップ訴訟を公共の利益を損なう「反社会的な行為」として位置づけるとともに、「恫喝の道具」としての実効性を奪うものでなければならない。

また、スラップ訴訟を起こした者に対しては、被告側(スラップの被害者)が被ったさまざまなコスト(弁護士費用、通信・交通費、時間的損失、精神的苦痛など)を賠償する責任を法的に負わせるべきである。

(シニアライター:福永宏 =週刊東洋経済)

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コメント

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