asahi.com「経済気象台」より転載。この記事の存在は「泉の波立ち」で知った。「泉の波立ち」の筆者、南堂氏の思想や発言傾向には異論を持つことが多いが、いろいろと有益な記事を載せてくれるありがたいサイトではあるので、「お気に入り」の一つである。そういう意味では、右翼的傾向の強い「株式日記と経済情報」のTORA氏も同様だ。
円高、円安のたびに、政府に救済政策をせよ、金をよこせと言う経済界にはうんざりである。彼らが円高・円安による過剰利得を社員や社会に還元したことは一度も無い。そういう強欲集団の親玉の集団が経団連だ。
この記事は、朝日には珍しく、まともな意見を書いているが、匿名記事であるところが少々情けない。まあ、既得権益層の利益に反する発言をしたら、マスコミや学会では生き延びられないのだろうが。
(以下引用)
過剰利得への沈黙2010年10月21日0時0分
リーマン・ショックの1年前、2007年当時は1ドル=120円だった。そのとき輸出関連業界は我が世の春を謳歌(おうか)しつつも、不労所得ともいうべき円安の効果について沈黙していた。そしていま、やはり輸入業界は円高の効果に沈黙している。「おかげさまで」とはまったく言わない。そしてマスコミは、空洞化論をはじめとして、円高のマイナス効果探しに懸命である。
「お困りでしょう」と聞かれれば、得たり賢しと「大変です。このままでは海外移転が加速します」と答えるだろう。しかし言葉にごまかしがある。「海外投資(進出)」を「海外移転」とすりかえている。消費地に近いところでモノを作る、という当たり前のことを実行しているだけである。
日本の工場をすべて閉じて海外に移転している輸出企業がどれだけあるのか。マザーファクトリー(母工場)なしに海外に行ったら、糸の切れた凧(たこ)と同様となることは皆知っている。将来計画から研究開発まで、すべてを外国で行い、日本に本拠地はいらないと考えている企業は黙って出ていけばよい。だが、自動車を始めとする輸出企業はそんなことは言わない。
プラザ合意の時は突然、1ドル=240円が140円になったのでみな驚いた。しかし日本の製造業は、それから25年をかけて、研究開発とコストダウンを進めてきた。その結果、技術的な競争力を強め、海外投資の利益を手にしつつ、為替対策の手法も身につけた。自国の通貨価値の下落を望む気持ちはわからないではない。だが努力をせずに利益が転がり込むことを願うのは、そろそろやめにしたらどうか。円高恐怖症という「持病」と同様にネガティブに過ぎる。(遠雷)
◇
「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。
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円高、円安のたびに、政府に救済政策をせよ、金をよこせと言う経済界にはうんざりである。彼らが円高・円安による過剰利得を社員や社会に還元したことは一度も無い。そういう強欲集団の親玉の集団が経団連だ。
この記事は、朝日には珍しく、まともな意見を書いているが、匿名記事であるところが少々情けない。まあ、既得権益層の利益に反する発言をしたら、マスコミや学会では生き延びられないのだろうが。
(以下引用)
過剰利得への沈黙2010年10月21日0時0分
リーマン・ショックの1年前、2007年当時は1ドル=120円だった。そのとき輸出関連業界は我が世の春を謳歌(おうか)しつつも、不労所得ともいうべき円安の効果について沈黙していた。そしていま、やはり輸入業界は円高の効果に沈黙している。「おかげさまで」とはまったく言わない。そしてマスコミは、空洞化論をはじめとして、円高のマイナス効果探しに懸命である。
「お困りでしょう」と聞かれれば、得たり賢しと「大変です。このままでは海外移転が加速します」と答えるだろう。しかし言葉にごまかしがある。「海外投資(進出)」を「海外移転」とすりかえている。消費地に近いところでモノを作る、という当たり前のことを実行しているだけである。
日本の工場をすべて閉じて海外に移転している輸出企業がどれだけあるのか。マザーファクトリー(母工場)なしに海外に行ったら、糸の切れた凧(たこ)と同様となることは皆知っている。将来計画から研究開発まで、すべてを外国で行い、日本に本拠地はいらないと考えている企業は黙って出ていけばよい。だが、自動車を始めとする輸出企業はそんなことは言わない。
プラザ合意の時は突然、1ドル=240円が140円になったのでみな驚いた。しかし日本の製造業は、それから25年をかけて、研究開発とコストダウンを進めてきた。その結果、技術的な競争力を強め、海外投資の利益を手にしつつ、為替対策の手法も身につけた。自国の通貨価値の下落を望む気持ちはわからないではない。だが努力をせずに利益が転がり込むことを願うのは、そろそろやめにしたらどうか。円高恐怖症という「持病」と同様にネガティブに過ぎる。(遠雷)
◇
「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。
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