https://earthreview.net/worst-drought-hits-southern-africa/
<転載開始>
aljazeera.com
アフリカ南部の数カ国が、今世紀最悪の干ばつにより、深刻な食糧危機に陥っていることをアルジャジーラが報じていました。
2000万人以上の子どもたちが栄養失調に陥っているとのこと。
アフリカ南部の国は以下のようになっていて、南アフリカを除く、ほぼすべての国が干ばつと食糧危機に見舞われているようです。
Google Map
アフリカの食糧危機といえば、理由は異なりますが、スーダンでも長引く内戦により深刻な飢餓が広がっていると報じられていました。
9月のこちらの記事で取り上げましたが、現地では以下のように報じられています。
The Nation の8月9日の報道より
スーダン軍と準軍事組織の緊急支援部隊との間で 15か月間にわたって戦闘が続いた後、食糧不安の専門家たちは、9月までにスーダンの人口の半分以上にあたる約 2,600万人が栄養失調に陥る可能性があると推定している。
戦争がこのまま続けば、今後数か月以内に数百万人が飢餓と病気で亡くなるだろう。
また、ジンバブエでは、極度な食糧危機に対応するため、「食用のために 200頭の象の殺処分を命じる」と伝えられたこともあります。
いくつかの国で末期的な飢餓が近づいているようなのですが、今回ご紹介するアルジャジーラの記事では、この理由を「気候変動」としていますが、まあ、大きな括りではその表現でもいいのでしょうけれど、今現在の状況に関しては明確な理由があります。
以前、In Deep で「サハラ砂漠を過去数十年で最大規模の豪雨が襲う」ことについて記したことがありました。
その理由は、「熱帯収束帯」という、赤道付近に広がる雨を降らせる雲の帯が「北(地図での上側)に移動した」ことにより、サハラ砂漠に雨をもたらしました。以下の図の赤い部分が熱帯収束帯です。
過去53年間の8月のアフリカの月間平均降水量(赤い部分が雨が多い)
Andrej Flis
この雨を降らせる雲の帯が今年、北に移動したということは、これまで雨が降っていた場所に「雨が降らなくなった」ことを意味します。
上のマップで過去 53年間赤かった部分(雨がよく降った部分)に雲がかからなくなったのです。
アフリカ中部から南部にかけて、雨がもたらされなくなってしまった理由は、昨年のエルニーニョに加えて、今年はこれだと思われます。これらが現在の中部から南部アメリカの深刻な干ばつの原因と見られます。
この配置が今後も続いた場合、アフリカ中部から南部の干ばつはさらに厳しくなる可能性があります。
アルジャジーラの報道をご紹介します。
今世紀最悪の干ばつがアフリカ南部を襲い、数千万人が危険にさらされている
Worst drought in century devastates Southern Africa with millions at risk
aljazeera.com 2024/10/15
国連世界食糧計画によると、今世紀最悪の干ばつの影響で 2,700万人以上が影響を受け、2,100万人の子どもが栄養失調に陥っている。
国連は、歴史的な干ばつにより南アフリカ全土で数百万人が飢えており、大規模な人道的大惨事の危険があると警告した。
レソト、マラウイ、ナミビア、ザンビア、ジンバブエは、干ばつにより農作物や家畜が壊滅したため、過去数カ月間に国家災害状態を宣言した。
国連世界食糧計画(WFP)はブリーフィングで、アンゴラとモザンビークも深刻な影響を受けていると述べ、来年 3月か 4月の次の収穫期まで危機が深刻化すると警告した。
「史上最悪の食糧危機である歴史的な干ばつにより、この地域の 2,700万人以上の生活が壊滅的な打撃を受けています」と国連世界食糧計画の広報担当者トムソン・フィリ氏は述べた。
「約 2,100万人の子どもが栄養失調に陥っています。南アフリカでは 10月から不作期が始まり、翌年の 3月と 4月の収穫まで、毎月、前月よりも状況が悪化すると予想されています。作物は不作、家畜は死に、子どもたちは 1日1食の食事がもらえれば幸運です」
この地域の何千万人もの人々は、食料と食料品の購入資金を雨水灌漑による小規模農業に依存している。
援助機関は昨年末、エルニーニョ現象の影響でこの地域の降雨量が例年より少なかったため、災害の可能性を警告していた。気候変動に伴う気温上昇により、その影響はさらに深刻化している。
国連当局者は 7月、この干ばつは過去 100年間でこの地域を襲った最悪の干ばつだと述べた。
国連世界食糧計画の南部アフリカ地域事務局長代理、ローラ・カストロ氏は、この干ばつによりザンビアでは収穫量の 70%、ジンバブエでは 80%が失われたと語った。
雨不足により同地域の水力発電能力も低下し、大規模な停電につながっている。一方、ジンバブエとナミビアは資源への圧力を軽減するため野生動物の駆除を発表している。
ナミビアとジンバブエの当局は、飢えた人々に肉を提供するために、ゾウを含む野生動物を殺すという手段に訴えてきた。
科学者たちによると、サハラ以南のアフリカは、雨水農業と天然資源への依存度が高いため、気候変動に対して世界で最も脆弱な地域の一つであるという。
専門家たちはまた、気候変動による干ばつや不規則な降雨パターンが、さまざまな作物の収穫量、発育、味、収穫時期に悪影響を及ぼしていると警告している。
<転載終了>
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