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徽宗皇帝のブログ

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安倍総理の「国民踏みにじり」の象徴としての新国立競技場建設
「泉の波立ち」から転載。長文なので私の前説は手短にする。
安倍政権の「民主党への責任なすりつけ」の虚偽性が明確に論証されているだけでも意義のある記事だろう。安倍総理が自分の意に従わない国民を強引に従わせる、その象徴として新国立競技場問題がある、という趣旨として記事後半は読んでいいのではないか。これも重要な指摘だと思う。

(以下引用)

 安倍首相


 安藤忠雄や、森元首相や、JSC が「ザハ案を取りたい」と思うのは勝手である。それは駄々っ子が「あれ買って、あれ買って」と超高額のオモチャを指差すのと同様だ。駄々っ子が何を欲しがろうが、それは別に問題ない。
 問題は、駄々っ子の言うことを聞いて、実際に 2520億円を出すと決めた人だ。では、それは、誰か?
 文科省か? いや、文科省は、駄々っ子の一人であるにすぎない。「あれ買って」と言うことはできるが、買うための金を用意できない。
 財務省か? 形の上では財務省だが、これほど巨額の金を財務省の職員が一存で決めることができるわけがない。最低でも財務相(大臣)の裁決が必要だし、大臣の裁決には総理大臣の裁決が必要だ。
 ここまで見ると、真相が判明する。「2520億円を出してもいい」という最終決定を下したのは、安倍首相である。つまり、彼が真犯人だ。

 ここを誤解する人が多い。たとえば、朝日新聞がそうだ。
 事業主体の日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長は……「我々のミッションは、あの形で作ること。やめる、やめないは文科省が決めたことだ」
 責任は下村博文・文科相をはじめ、政治にある。……もはや、五輪招致でも先頭に立った安倍晋三首相の政治判断しか、方針転換の道はない。
( → 朝日新聞・社説 2015年7月8日

 新国立競技場のザハ案を中止するための最終決定を、安倍首相に求めている。呆れる。ザハ案を取ると決めた張本人である安倍首相に、その中止を求めているのだ。
 比喩的に言えば、悪に襲われた被害者が、「助けてください」とすがりついたが、そのすがりついた相手が、悪の組織の親玉だった、という形。映画 007 で言えば、悪の組織「スペクター」の親玉に、「助けてください」とすがりつくようなものだ。馬鹿げている。
 そして、それというのも、悪の組織の親玉は誰であるか、理解できていないからだ。

 はっきり言おう。殺人の真犯人は、凶器を持った人でしかあり得ない。同様に、新国立競技場の最終決定をした真犯人は、「あれ買って」と駄々をこねた駄々っ子ではなくて、そのために 2520億円を出すと決めた人だ。そして、それを決めた人は、それを出すだけの権限をもつ人だ。そのような人は、日本にはたった一人しかいない。安倍首相だけだ。
 

 嘘つき


 安倍首相が真犯人であることは、論理的に明らかだが、他にも裏付けとなることがいくつかある。特に、「嘘をついた」ということが決定的だ。

 (1) 民主党のせいにした

 新国立競技場の決定をしたのは自分であるのに、「民主党のせいだ」と述べた。
 安倍首相は「オリンピックを誘致する際に、国際コンペをやってザハ案というのが決まった。国際コンペをやると約束し、監修権等をザハさんに与えると決まったのが2012年11月、我々が政権につく前のことだ。事実として述べると、民主党政権時代に、ザハ案でいくということが決まり、オリンピックを誘致することが決まった」と述べた。
( → The Huffington Post

 これは嘘である。審査委員会がザハ案に決めたのが 2012年11月16日。同じ日に、衆院が解散された。つまり、この日の時点では、もはや民主党政権は何かを決定する状態ではなかった。
 そもそも、審査委員会が決めたのは、選定だけであって、決定ではなかった。公式に決定したのは、2015年7月7日の有識者会議である。これは安倍首相の時代のことだ。さらには、2015年6月29日、下村文科相がザハ案に正式決定した。(前出 )このとき、安倍首相が裁断したはずで、これこそが真の決定だった。それを隠蔽して、民主党のせいにしているのだから、とんでもない嘘つきだ。見え見えの嘘。選定と決定とをあえて混同させるペテン。

 (2) 間に合わない

 「今から選定をやり直すと、時間的に間に合わない」と述べた。
  → 新国立、首相「変更だと間に合わない」
 しかし、これは嘘である。

 第1に、選考をあらためてやり直す必要はない。先の選考の次点または次々点から選べばいい。あるいは、2016年のオリンピックの招致のときのスタジアム案(安藤忠雄設計)にしてもいい。これだと、1000億円程度でできるようだ。

 第2に、選考をあらためてやり直しても、時間的には間に合う。なぜなら、前回の選考ですら、募集から締め切りまではたったの2カ月しかなかった。そこからまた2カ月で最終決定した。計4カ月で済む。このくらいの期間で決まるのだから、余裕はしゃくしゃくだ。

 第3に、ザハ案では巨大なアーチの工事がものすごく難工事だ。
  → 止められない巨大アーチ
 このアーチだけで、普通の工事に比べて、1~2年も余計にかかってしまう。(アーチの両端を結ぶ直線部[タイビーム]が必要で、これを地中に埋めるために、大工事が必要となる。)
 逆に言えば、このアーチがない普通のスタジアムならば、工期を1~2年も短縮できる。ゆえに、「間に合わない」ということはないのだ。
 なるほど、次に決まるのがザハ案ならば、工期が長いので、今から決めるのでは間に合わないかもしれない。しかし次に決まるのが普通の案であるならば、工期は短くて済むのだから、間に合うのだ。

 第4に、中止を決定するための時間は、たっぷりとあった。3000億円という数字が出たのが、2013年10月23日。その後、1699億円というような金額も出たが、これはもはやザハ案ではなく、まったく美しさのない偽物の案なのだから、検討するにも値しない。それより何より、多くの建築家が批判していたのだから、この時点ですでに「駄目出し」をするべきだった。中止を決定するための時間は、たっぷりあったのだ。
 にもかかわらず、7月7日までずるずると決定を引き延ばした。それまでずっと無為無策でいた。その張本人は、安倍首相自身なのだ。自分が何もやらないでいて、「時間がなくなりました」なんて、弁明にすらなっていない。
 だいたい、そんな理屈が通るのなら、納税者はみんな納税をサボるよ。「納税をしないでいたら、納税の時期が過ぎました。だから納税をしません」……こんな理屈が通るのか? 「おまえが勝手にサボっていただけだろ」と叱られて、課徴金を取られるのが関の山だろう。安倍首相はそんなこともわからないのか? 

 実を言うと、安倍首相は、馬鹿ではない。ただの嘘つきだ。以上のすべては、本人はわかっていて嘘をついているのだ。国民をだますために。

 動機


 ではなぜ、安倍首相はそれほどにも嘘をついて国民を騙してまで、新国立競技場(ザハ案)の建設に邁進するのか? 
 特に、最近では、圧倒的多数の国民が反対している、という世論調査もある。
  → 新国立競技場の建設計画を「見直すべきだ」と答えた人は81% (読売新聞)
  → 新国立競技場「建設計画を見直すべき」82.9% (日本テレビ)
 8割以上の国民が反対している方針を、あえてゴリ押しする。民主主義に反する極端な独裁専制主義。こんなことをやるのは、およそ常識を外れている。普通では決してあり得ない。まるでヒトラーか、金正恩か、中国共産党だ。
 ではなぜ、安倍首相はそれほどにもゴリ押しをするのか? その動機として推察が付くのは、一つしかない。それは、集団的自衛権だ。
 どういうことか? ここでゴリ押しをやめて、国民の意見に屈したら、集団的自衛権でも同様のことになりかねない。集団的自衛権では、国民の大半が反対しているのに、安倍首相は強行に突破しようとして、憲法違反までやろうとしている。これが彼の大本命だ。
 とすれば、それの阻害となるようなことは、一切、やりたくない。ここで(新国立競技場の案で)「国民の大多数の意見に屈して、自分の方針を捨てた」という前例を作れば、集団的自衛権でも同様のことになるだろう。「集団的自衛権は憲法違反だ」という圧倒的多数の声に従って、安倍首相は集団的自衛権の推進という方針を捨てざるを得なくなるだろう。
 だからこそ、それを避けるために、今この段階で、断固として、膝を屈するのを拒んでいるのだ。
 つまり、ここでは、「安倍首相 v.s. 国民」という対決の構図ができている。そして、安倍首相は、この対決において決して膝を屈するまいとしているのだ。
 それこそが、彼があれほどにも頑固になる理由なのだ。

 結論


 新国立競技場の問題の核心は、どこにあるか? 
 ザハ案を選定したことが問題なのではない。ザハ案のために巨額の金を出すと決めたことが問題なのだ。
 初期に 1300億円の案を選定したことが問題なのではない。最後に 3000億円程度となると判明しても、なおかつ中止せずにその金を出すと決めたことが問題なのだ。
 比喩的に言えば、ここでは、アクセルを踏んだことが問題なのではなく、ブレーキを踏まなかったことが問題なのだ。たとえば、高速道路で、前方に危険な障害物が急に現れたとする。それは予見し得ないものだった。それでもとにかく、それを認めた。ならば、ブレーキを踏むことが必要。そうすれば、障害物に衝突しないで済む。ところが、「もともとこの方針を取ると決めたのだから」という理屈で、ブレーキを踏むことをあえて拒む運転手がいる。「これまでずっとアクセルを踏んでいたのは、おれじゃなくて、前の運転手だ。前にアクセルを踏んだ運転手が悪いのであって、ブレーキをかけないおれが悪い隠者ない」……こういう理屈で、障害物に激突する。大惨事。
 しかし、人々は、真犯人が誰であるかを理解できない。「アクセルを踏んだのは誰か」ということばかりを調べるからだ。そのあげく、「安藤忠雄が犯人だ」「森元首相が犯人だ」というふうに主張する。理由は、「彼らがアクセルをずっと踏んでいたから」。
 そのあげく、悪の組織「スペクター」の親分に、助けを請う。「私たちを救ってください。何とかしてください」と。
 かくて悪はますます栄える。

 ──

 なお、最後に一言。
 人々は「正式決定したのは 7月7日の JSC 有識者会議だ」と思っているようだが、それは根源的な間違いだ。
 前にも で述べたように、6月29日には文科省でザハ案が 2520億円で正式決定されているのである。正式決定した日は、この日だ。そして、その決定をしたのが誰であるかは、明らかであろう。
 その後、 7月7日にあった JSC 有識者会議は、あくまでお飾りのセレモニーにすぎない。(本文中で何度も述べた通り。)
 ここを誤解している人が多いので、間違わないように注意しよう。

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