自民党の岸田文雄総裁は1日、財務相に麻生派の鈴木俊一元総務会長(68)を起用する意向を固めた。旧竹下派の茂木敏充外相(65)は再任し、麻生派中堅の山際大志郎元経済産業副大臣(53)を初入閣させる。党の新執行部は総務会などを経て同日発足。岸田氏は公明党の山口那津男代表と会談し、新たな連立政権合意に署名した。
岸田内閣は4日、臨時国会冒頭に行われる首相指名選挙などを経てスタートする。
岸田氏は党役員と閣僚の出身派閥に偏りがあるとの批判に対し、党本部で記者団に「あくまで適材適所の観点で選んだ」と反論。「全体の中で党の一体感、ともに衆院選に臨もうという強い思いを感じてもらえる人事にしたい」と語った。
政府の人事ではこの他、官房副長官にともに岸田派の木原誠二衆院議員(51)と磯崎仁彦参院議員(64)、政務担当の首相秘書官に嶋田隆・元経産事務次官(61)の起用が固まった。次官経験者の秘書官就任は異例だ。
いずれも細田派の萩生田光一文部科学相(58)と岸信夫防衛相(62)は横滑りや再任の方向で調整している。党人事では幹事長代理に麻生派の田中和徳前復興相(72)が就く。
鈴木氏は故鈴木善幸元首相の長男で、麻生太郎副総理兼財務相(81)の義弟。山際氏は衆院当選5回で甘利明幹事長(72)に近い。
新執行部の4役は甘利氏に加え、福田達夫総務会長(54)、高市早苗政調会長(60)、遠藤利明選対委員長(71)。4氏は党本部で記者会見し、甘利氏は「岸田氏が掲げる活力ある開かれた党運営の理念を支え、党を率いていきたい」と語った。
4役以外では小渕優子組織運動本部長(47)と河野太郎広報本部長(58)も1日付で就任した。副総裁に麻生氏、幹事長代行に梶山弘志氏(65)、国対委員長に高木毅氏(65)が内定。14日の臨時国会閉幕などを待って就任する。
内閣の要となる官房長官には細田派の松野博一元文部科学相(59)を充てる。
◇自公合意に歳費返納明記
連立政権合意では「国民の声を聞き、謙虚な姿勢で真摯(しんし)な政権運営に努める」と表明。新型コロナウイルス対策に加え、当選無効となった議員の歳費返納法案の早期成立も明記した。
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