マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-edaf.html
<転載開始>

Peter KORZUN
2017年3月4日
Strategic Culture Foundation


中東における状況は信じ難い速度で変化しつつある。昨日には到底信じられなかったことが、今日は現実になっている。個々の出来事は大きな全体像の一部となり、地域は奈落から次第に遠ざかり、より良い場所になりつつある。


3月1日、イラク軍が、西モスルから出る最後の主要道路を制し、「イスラム国」(IS)戦士が、モスルから逃げるのを阻止したと報じられている。この道は、40 km西方にあるもう一つのIS拠点タッル・アファルへとつながっている。以来、イラク軍は国際空港、軍事基地、発電所や多数の居住区から戦士を追い出した。IS戦士が脱出しはじめた。イラク軍による都市の完全支配は、数日、あるいは数時間の問題に見える。


イラクでほぼ打ち負かされたISは、パルミラがシリア政府軍に奪還されて、敗北を喫したばかりの国、シリア以外に行き場がない。シリア軍の攻勢において、ロシアの支援は決定的に重要だ。最後に残るIS拠点ラッカは、多くの有力な関係者が、彼らを地球から連中を消し去ることを望んでいる以上、過激派集団が破れる運命にある最終決戦の場となろう。


トルコは、クルド人が支配するシリア民主軍(SDF)が確保している町マンビジの支配を確保した後、ラッカ奪還のための攻勢を開始する意図を発表した。両者の戦いは、ISや他のテロ集団を利するものになっていた。NATO加盟国と、ISに対する戦いで、頼りにしている勢力であるクルド人との間の衝突をいかにして防ぐかで、アメリカは途方に暮れていた。そこで調停者としての独特な立場を活用して、モスクワが最悪を避けるべく割り込んだ。モスクワは誰も可能だとは思ってもいなかったことを成し遂げた。mマンビジの軍事委員会は、3月2日に、ロシアが調停する合意後、一触即発状況にある町の西部地域を、シリア政府部隊に引き渡すと発表した。



今や町はアラブの手中にあり、トルコにそこを攻撃する理由はない。シリアとトルコは戦争状態にはないのだ。


アメリカ合州国はトルコとクルド部隊には、マンビジからユーフラテス川東岸に撤退させると約束したが、決してそうならなかった。今、ロシアがアメリカがし損ねたことを成し遂げたのだ。


ロシアの効果的な調停の結果、トルコはラッカへの進撃を強化し、シリア政府は確実に立場を強化した。トルコのエルドアン大統領は、ロシアと共に、ISと戦う用意があると述べたばかりだ。彼は3月9日にモスクワを訪問する。トルコとシリアとの間の衝突は起きないということだ。


シリア政府にとって多くのことが変化しつつあり、それがここしばらく続いている。シリアが22カ国加盟の組織から追放されてから五年後、3月29日、アンマンでのアラブ・サミットに、シリアのアサド大統領招請を要求する声が大きくなっているのは偶然ではない。ロシア、ヨルダンとエジプトは、アラブ社会をシリア政府と和解させる努力をしている。先月、エジプトのアラブ問題に関する議会委員会が、シリアのアラブ連盟復帰を呼びかけた。これは少し前までは、到底考えも及ばなかった、シリア反政府派を支援しているサウジアラビアとの和解の前兆だろう。


2015年、当時のオバマ大統領は、ロシアはシリアの泥沼にはまりこむだろうと予言した。彼は間違っていたように見える。ロシアの関与のおかげで、泥沼を過去のものとするための明かりが、トンネルの先に見えてきた。


モスクワは、シリアに関しての合意に至る取り組みで、イランがアラブ諸国に加わる過程を促進し、イランとサウジアラビアの相互理解をもたらすことが可能だ。特別な意味がある最近のいくつかの出来事について、あまり報道されていない。2月15日にイラン大統領ハサン・ロウハーニーが、クウェートとオマーンを訪問した。サウジアラビア外務大臣アーディル・アル=ジュベイルが、イラクを2月25日に訪問し、イラク首相ハイダル・アル=アバーディが会談した。傾向ははっきりしている - シーア派とスンナ派が、再度口をきく間柄となり、非常に重要なことを議論しているのだ。すこし前なら、到底信じられないようなことだが、それが事実だ。


こうした出来事や現れつつある傾向全てが、継続中の国連が仲介した、シリアにおける平和的解決に関するジュネーブ交渉を背景に起きている。ここでも、事態は予想外の展開が起きている - シリア反政府派がロシア高官と会おうとしている!


退役アメリカ陸軍少将で、フォックス・ニューズの軍事専門家のポール・ヴァレリーによれば、大統領がサミットを開催してから二ヶ月後に、シリアに関するロシア-アメリカ協議会開始予定だ。どのシナリオでも、ロシアは重要な役割を演じると彼は言う。


ここ最近、文字通り中東が揺れている。ものごとを押し進める、実に多くの予想外の出来事が起き続けている。まさに我々の目の前で、不可能が可能に変わっている。


先に述べた通り、モスクワは、仲介者として動く独特な立場にあり、しかも、具体的な結果を実現すべく、その役割を適切に演じている。もし望まれる結果をもたらすだろう現在の傾向がそのまま続けば、軍事的な成功と、効果的な外交の組み合わせによるめざましい実績として、ロシアの取り組みは歴史に残るだろう。


記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2017/03/04/drastic-changes-middle-east-happen-unbelievably-fast.html
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