イスラム国拘束の後藤さん母「記者会見」に記者も視聴者も困惑!?
過激派組織「イスラム国」にシリアで拉致され、身代金を要求されているジャーナリスト後藤健二氏と民間軍事会社CEOの湯川遥菜氏の身代金支払いの猶予時間が差し迫る中、後藤健二氏の母親・石堂順子さんの記者会見が23日の午前から都内で行われ、息子の解放を訴えた。
日本時間20日にイスラム国のメンバー男性が2億ドルの身代金支払いを映像で要求し、支払いなき場合は人質を殺害すると述べたが、72時間の期限を迎えるのが23日の午後ということになっている。期限当日、母親がついに決心して記者会見をすることを決めたという。
冒頭で「私は石堂順子と申します。ジャーナリスト・後藤健二の実の母親でございます」という自己紹介から始まった今回の会見では、その場に居合わせた記者や、会見を目にした視聴者の気持ちを想像以上に混乱させる内容となった。
「昨日、健二の妻と初めて電話で交信いたしました」切り出した石堂氏。「2週間前に赤ちゃんが生まれたそうです。私はびっくりいたしました」と話した上で、息子が知人(湯川遥菜氏)を助けるために危険を冒してシリア入りしたことを知った石堂氏はこう続けた。
イスラム教徒とイスラム国の混同に記者も困惑
「この地球は大切にしなければいけない。(中略)原子力を使い、環境を汚し、何をしたいのかわかりません。会見をやめろ、という電話もいっぱい入ってきましたが、それは間違いです。皆さんが人類のため、拙い息子のため、時間を作ってくださったのだから感謝を申し上げるのが当たり前だと思った」
と、感謝の気持ちと謎めいたメッセージを発した。その後もシリア記者とのやりとりで「先程から“イスラムの方々”と話されていますが、健二さんを捕えているイスラム国というのは、イスラムの中でも、イスラム教信者はやらないような傭兵をし、社会の敗者が集まっている組織だと知っていますか? イスラムを代表するものではないと」と指摘されると、石堂氏は「それは知りませんでした。もし、イスラムの方から、日本で勉強したいという方がいれば、私が守ります。私の家でお勉強していただけることを約束します」と噛み合わない回答が続く。
最後には「日本は唯一の被爆国です。米国による原爆投下で数十万人がなくなりました。残された時間はわずかです。日本政府も反省すべきは反省し、国民と一体となって、イスラム諸国と一緒に学ぶ点があるなら、そういったほうにもっていきたいと思います」とイスラム国とイスラム諸国を混同したかのような回答に終始した。
最愛の息子が異国で拉致され、命の危険に晒されている最中、気丈にも冷静に会見で語った母親に対し、ネット上でも反響が高かった。
「錯乱状態なのか...?言いたいことがよくわからんw」
「会見見たけど、これ通訳さんが一番大変なんじゃ…」
「今さら人質になってる後藤さんの母親の記者会見見たけど明らかに異様な光景…これはさすがに後藤さんに同情してしまう」
「地球がうんぬん…論点が少しずれてたように感じた」
「この方の発言を各国がどう翻訳して報道するか、非常に気になる。あまり誤解を生まなきゃいいけど」
と、石堂氏の迷走した発言に戸惑いを隠せないようだ。一方で、
「内容はともかく変に会見慣れしてる感じがした」
と、何かしらの違和感を彼女に感じる人も多いようだ。
石堂氏は現在「一般社団法人 ピースビーンズジャパン」の会長を努めており、ネット上では「広告塔として、今回の記者会見を行ったのではないか」と邪推する声もある。
身代金支払い期限を告げられてからは「私はこの3日間、ただただ、何が起こっているのかわからず悲しく、迷っておりました」と母として苦悩し続けている石堂氏。会見中だけでも何度も発せられた「実母」という言葉。後藤氏の妻が沈黙を守る中、一気に渦中の人となってしまった背景が気になるところでもある。
しかしここは何よりも、人質になっている後藤氏、湯川氏両名の無事を祈るばかりである。期限は刻一刻と迫っている。
(取材・文/一樹守)
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