しかし、この記事に書かれた「事実」そのものは、記事中の「意見」とキチンと区別して読めば、読者の貴重な判断素材になる。
何はともあれ、ウクライナ戦争は、米国とNATOがこれほど無力化していたのか、と世界に知らしめた、ある意味では世界史の転換点となる戦争だった。問題は、DSの次なる一手、最終兵器である「グレートリセット」である。「東側世界」までがそれに従うなら、「人間としての」世界は終わりだろう。あとは5億頭の羊と数千頭の牧羊犬と数百人の飼い主(悪魔)だけである。
下のような記事が「表マスコミ」に出てくるようになってきたこと自体、「はい、ウクライナは終わり終わり、次に行くぞ」というDSのマスコミ指令のためかもしれない。
日本の「自民党壊滅」も、同じ現象なのではないか。つまり、「今の政治は腐っているから、新しく『まともな』政権と政府を作る」と称して、より悪質な政府を作るわけだ。
(以下引用)コピーを邪魔するため(容量オーバーにさせるため)かと思われる無意味な画像が多いので大半を削除した。記事タイトルもコピーできず、それが何だったかも忘れた。広告の一部は削除不可能だった。
自信をみなぎらせる大統領
12月14日、国民との対話と内外記者会見の統合イベントにのぞむロシアのプーチン大統領には自信がみなぎっていた。ウクライナによる反転攻勢は、大きな成果を上げることなく袋小路に入っている。米国や欧州では、ウクライナ支援に明らかなスローダウンが兆している。
国連では、同月13日に開かれた中東をめぐる緊急特別総会で、人道のための即時停戦を求める決議案が世界153ヵ国の賛成で採択されて、ガザ地区への攻撃を止めないイスラエルと、それを擁護する米国への批判が際立った。
その米国で、プーチン寄りを隠さないトランプ前大統領が、2024年大統領選挙の共和党候補として有力であることは言うまでもない。
時間がロシアに味方する
プーチン大統領には時間が味方している、と信じるだけの理由がある。
消耗戦の様相を呈する東部ウクライナの戦場で、ロシア軍が敗れつつある兆候は見られない。侵攻当初こそ、ロシア経済は西側の強力な制裁によって痛打されたが、現状は崩壊からほど遠い。
新年と、それにつづく東方正教会のクリスマスを前にして、夜のモスクワは七色のイルミネーションで照らされる。去年と同じように、人々は地域集中暖房システムの効いた暖かな室内で、Tシャツ一枚の快適な冬を過ごしているはずだ。エネルギー資源と食糧を持てる国の経済は強い、と言わざるを得ない。
ロシア経済は好調
逆説的だが、6月末に起きた「プリゴジンの乱」を経て、プーチン氏の権力基盤はいっそう強化された。結局、最後に勝ったのはプーチン氏で、彼は自らが味わった辱めを「冷ました料理」(「復讐は、ほとぼりが冷めた頃におこなうもの」というロシアの諺)で仕返しした。いまでは多くの国民が、これまで以上に大統領に忠実であらねばならないと感じている。
強い君主に隷従する大衆は、モノに不自由がなく、ふつうに生活できるかぎり我慢するだろう。2022年9月に部分動員令から逃れていっとき国外へ脱出した人々の多くも、近ごろでは、住み慣れて居心地のよいロシアの都市へ戻っている。プーチン氏に対するエリート層の支持も崩れていない。
ロシア経済のパフォーマンスを示す実質国内総生産(GDP)は、2022年2月の開戦直後こそ、ー10%以上の後退が避けられないとみられたものの、結果的にはー2.1%に止まるまで回復した。
ミシュスチン首相が率いる政府と、ナビウリナ総裁のもとで働くロシア中銀のテクノクラート(実務官僚)たちは、有能で機略に富むことを証明した。財政と金融手段の両面で、制裁によるショックを最大限和らげつつ、これまでのところハイパーインフレを起こさずに、戦時シフトの経済をときに強力に、かつ巧みにハンドリングすることに成功している。
すべての軍需工場は、「戦争特需」に対応して投資を増やし、生産力を増強している。戦車や砲弾の生産量は西側諸国のそれを凌ぐだろう。国際通貨基金(IMF)は10月、2023年のGDP成長率を+2.2%と見直して、予想以上に景気がよい現実を追認した。実績値は+2.5%ぐらいになるだろう。
プーチン大統領はまた、「グローバル・サウス」のさまざまな国や地域で受け入れられてもいる。欧米のダブル・スタンダードや、西側先進国中心のルールに不満を抱く国々にとって、ドンバスにおける戦争はさほど重要ではない。
石油輸出国機構(OPEC)プラスの枠組みにおけるサウジアラビアとの連携もあって、原油の輸出は相変わらずロシアの国庫を潤しつづけている。
一年前の12月、G7と欧州連合(EU)は、ロシアの資金源を絞るためにウラル産原油の取引に1バレル60ドルの上限キャップを設けたが、それも7月以降ほとんど機能していない。
なにしろ米当局はすべてを追跡、調査、制裁するだけの能力を持たないし、それに米国には、あまり厳しく対処すると、逆に需給がタイトになるあまり、価格が高騰して自分たちも困る、という複雑な事情もあるだろう。
いまや中東の都ドバイは、ロシア産原油やダイヤモンドの、制裁とは無縁の取引市場と化している。ウラル原油の採算分岐点は1バレル30‐40ドルほどと推定されるが、9月におけるバルト海に面するロシアの港からの平均積出し価格は1バレル81.8ドルだったと、国際エネルギー機関(IEA)は推定している。
そしてこの一年で、ロシア企業による並行輸入や、第三国を経由する迂回ビジネスも定着した。モスクワやサンクトペテルブルクのショッピングモールには、有ってはならないはずの西側ブランドの商品がふつうに並んでいる。
「結局、経済がどうなるか。つまり、石油・ガスと財政がいつまで持つかだが、結論を言えば、ロシア経済の侵蝕は進んでいるが、体制には依然として十分な余力がある」
9月におこなったオンライン会見(前稿「ロシア経済、短期的には戦争特需、長期的にはイラン化」参照)で、元カーネギー・モスクワの論客コレスニコフ氏はそう述べた。
送金なしには持たない国家運営
過去一年半以上にわたり、ウクライナは西側からの兵器供与と資金援助を頼りにしてきた。武器・弾薬に止まらない。政府機能の維持、教育、医療、年金などを維持するのに必要な歳費の一部までもが西側からの送金で賄われた。
ロシアによる侵攻が始まった2022年、ウクライナの実質GDP成長率は-29.1%と壊滅的に落ち込んだ。IMF は2023年のそれを+4.5%成長と見込んでいる。回復の兆しは見えるものの、破綻状態からのわずかな浮上にすぎない。
この戦争が始まって、ウクライナは穀物大国として日本人の間でも知られるようになりはしたが、もともとは国土の東部と南部で生産される鉄鋼や石炭の輸出と、ドニプル川流域の重化学工業で支えられてきた経済だ。その東部と南部の一帯は、半ば廃墟と化している。
議会は11月、総額3兆3500億フリブナ(約916億ドル)からなる2024年予算案を採択した。歳入として見込まれるのは半分をいくらか超える1兆7700億フリブナ(約484億ドル)ほどで、不足額は1兆5800億フリブナ(約432億ドル)にのぼる。
「事実上、税収はすべて軍のために使われる」
会見で、シュミハリ首相は、そう強調した。同時に、戦時下の物価高騰に対応すべく、最低賃金と年金の引き上げも表明した。
2023年、西側は国際機関の融資プログラムを動員し、あるいは二国間の金融支援をおこなって410億ドルを送金して、この国の歳入不足を補填した。ウクライナ政府は、2024年もほぼ同額の送金がつづくことを当て込んで予算を組んでいる。送金がなければ、国家運営すらもままならない。
ロシアに勝たせてはならないが…
パンも銃も西側頼みの戦争には、そもそも限界がある。
ロシアに勝たせてはならない、という西側の正義を否定するつもりはさらさらないが、半面、勝てる見込みのない戦争を、いつまでも続けさせてよいわけがない。ウクライナの地で暮らし、ドンバスで戦うのは、米国人でも、英国人でも、欧州連合(EU)の人々でもない。ウクライナの男たちと女たちなのだから。
そのウクライナの経済は崩壊し、国土の20%は廃墟と化している。そしてこの先、西側による支援はこれまで通りには続かないだろうし、その兆候はすでに現れている。
先日、キーウで暮らす友人は、メールでこう伝えてきた。
「私たちは戦争を続けたいわけではありません。ロシアの影響から逃れたいだけなのです」
ゼレンスキー大統領は、戦時のリーダーとしていっとき英雄視されはした。けれども、二度目の冬を迎えたいま、国民のこの願いにどう応えることができるのか。領土を取り返すための戦いだけが、政治のすべてではないはずだ。
ドンバスからの砲声は止まない。
プーチン氏は攻撃の手を緩めずに、ウクライナの「自壊」をじっと待つ。
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