リストラの募集人数は最悪期の5分の1になった。それでも安心感はない。どの企業にも余裕はない。最後は情報力の差が死活を分ける──。
ワースト1位はソニー。スマホ事業で人員削減
今回、与信管理会社・リスクモンスターの協力を得て、全上場企業の2013年度の赤字額と赤字率をまとめた。企業業績の将来予測は難しい。だが財務状況の苦しい企業では、将来的に人員整理に踏み切る恐れがある。
「赤字額ワースト100」では純損失のワースト100社を並べた。ワースト1位はソニーだ。14年3月期には1283億円の純損失となり、2年ぶりの赤字転落となった。課題を抱えるスマートフォン事業では昨年9月に従業員ら約1000人の削減を発表。同社は15年3月期も2300億円の赤字を見込むなど苦境が続く。
2位以下は電力会社4社が続き、ワースト6位となったのが半導体検査装置のアドバンテスト。前期は355億円の赤字だが、採用抑制を打ち出すだけで、5000人前後の従業員は維持する考えを示していた。今期は、中国などのスマホ需要の高まりなどから、一転して7期ぶりの黒字転換を見込む。
赤字額だけでなく、売上高に対する純利益の割合を示した「利益率(赤字率)」にも注意が必要だ。100社のうち売上高に対する損失の大きい20社を黄色で示した。また「赤字率ワースト35」では、特に赤字率の悪い企業を抽出した。
ワースト1位はバイオ医薬品の研究・開発・製造を手がけるUMNファーマ。13年12月期連結決算は9300万円の売上高に対し37億円の純損失となった。ただし、赤字率の悪い企業には同社をはじめハイリスク・ハイリターンの新薬開発に取り組む企業が少なくない。一転して収益が改善する可能性はある。
ほかに赤字額と赤字率がともに高い企業では、経営再建中で7割の店舗を閉鎖した雑貨屋ブルドッグ、電子書籍事業を手がけ赤字が続くSmartEbook.comがある。
リストラは過去最少それでも安心はできない
実は、14年のリストラは過去最少だった。東京商工リサーチの「14年主な上場企業の希望・早期退職者募集状況」調査によれば、募集実施を公表した上場企業は前年比4割減の31社。募集人数は7098人で、3年ぶりに1万人を下回った。00年以降で最悪だった02年の4万人弱に比べて5分の1以下の水準だ。それでも決して安心はできない。業績が好調な企業であっても、リストラに踏み切るケースは相次いでいる。
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