「東海アマ」ブログ所載の「現代ビジネス」記事だが、庶民生活を直撃する世界経済情勢を見事に分析・予測した好記事で、この記事を載せた東海アマ氏に感謝する。しかし、東海アマ氏の生理的中国嫌悪・憎悪の部分には賛同できないのでその部分はカットする。日本人が中国を嫌悪したり憎悪したりする論理的根拠はゼロに近い。中国の国内問題は中国の問題であって他国の人間が外野であれこれ言うのは無駄で無意味、あるいは隣国との望ましい親善を阻害する有害なことである。
下の記事については、読んだ人がそれぞれ考えればいい。要は、いかにして自己防衛・生活防衛をするかであり、主に、「カネより現物(住居や食料)が大事」ということになるだろう。まあ、一種の「戦争状態(銃後の生活)」が来ると思えばいい。問題は、それが永続的になる可能性が大であることだ。
(以下引用)
モス、串カツ田中、丸亀が「一斉値上げ」…ウラにある「世界の物資争奪戦」のヤバい実態 2021年4月14日(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82211
日本ではデフレが続いていると喧伝されており、物価は下がっているとイメージしていた人も多い。だが生活必需品は一貫して値上げが続いており、事業者側はそれを悟られないよう価格を据え置いて内容量を減らす、いわゆるステルス値上げを行ってきた。
だが、こうした小手先の対応も今年あたりで限界となる可能性が高い。世界経済はコロナ危機と米中デカップリングが重なり、サプライチェーンが混乱あるいは縮小しており、物資の争奪戦となっている。資材価格や食料価格が急騰しており、いずれ最終製品に転嫁される可能性が高まっている。
始まった物資の争奪戦
今年の4月から小売店や外食などで商品やサービスの値上げが相次いでいる。ファストフードのモスバーガーが主力商品を20~30円値上したほか、居酒屋の串カツ田中も全商品の9割について平均10円程度の値上げを実施。丸亀製麺も「かけうどん(並)」や「ぶっかけうどん(並)を300円から320円に改定するなど一部商品の値上げを行った。
4月は消費税の総額表示義務化のタイミングと重なっており、これが価格改定のきっかけとなっているのは間違いない。だが、値上げの根本的な原因は表示の問題ではなく、全世界的な原材料価格の高騰である。
小売店で売られる食品も価格が上がっている。食用油などを製造する昭和産業は、消費者向けのサラダ油ハンディやキャノーラ油を3月に値上げしたが、6月にも値上げキロあたり30円の値上げを行う。日清オイリオグループ、J-オイルミルズも4月に続いて6月の再値上げを決めている。
今のところ最終商品の価格には反映されていないが、砂糖は卸価格が上昇中であり、小麦粉については政府の売り渡し価格が4月から5.5%引き上げられた。小麦は国内生産者保護のため基本的に政府が買い付けているが、2007年以降、政府の売り渡し価格は市場価格に連動する仕組みになっているので、このまま上昇が続くとパンなどにも影響が出てくるだろう。
コロナ危機で不景気が続いているので、食品価格の上昇について疑問を持つ読者の方もいると思うが、実はコロナ危機こそが食品価格上昇の元凶となっている。
新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、全世界的に物流網に混乱が生じており、コンテナ船の運賃は下がるどころか逆に跳ね上がった。航空機も便数が減った分、搭載できる貨物の量が減っており、必要な量の物資を運べないという状況が続いている。このため航空貨物の運賃も上がる一方である。
一方で、日本を除く先進各国ではワクチン接種が順調に進んでいることから、各企業はすでにコロナ後の景気回復を見込んで、商材の確保に躍起となっている。物流が混乱しているところに、コロナ後を見据えた物資の争奪戦が加わっているので、食料を中心に世界のコモディティ価格が跳ね上がっているのだ。
国連食糧農業機関(FAO)が産出する世界食料価格指数は、2月時点で116を突破しており、コロナ前をはるかに上回っている。食料だけでなく、半導体や金属類など物資の争奪戦が始まっており、あらゆる資材の価格が急上昇している。
トランプ政権がもたらした「中国の台頭」
しかも、困ったことにこの動きは一時的なものではない可能性が高まっている。その理由は、トランプ政権が始めた米中分離(デカップリング)政策である。
トランプ政権は中国からの輸入に高関税をかけて、中国からの輸入を制限した。その結果、中国は東南アジアとの貿易を拡大させ、米中の経済的関係が急速に希薄化した。これまで、米国が中国からの輸入を制限することは、中国にとって最大の脅威だったが、実際に米国が関税をかけても、思った程、中国の経済は悪化しなかった。このため、中国は米国の通商政策を恐れる必要がなくなり、米国に対して強気に出るようになってしまった。
3月にアラスカで行われた米中会談では、冒頭から激しい議論の応酬となったが、ここまで中国側が強気のスタンスを見せたことはなかった。米国側はトランプ政権が関税カードを使い切ってしまったため、十分な交渉カードを持っていない。
バイデン政権は人権問題を前面に出して争う構えだが、中国側から譲歩を引き出すのは容易ではないだろう。実際、ウイグル問題で東南アジア各国は、制裁を強く主張する米国には同調しない方針を明確にしつつある(困った事に米国に同調しない国の中には日本も含まれている)。
このまま米中分離(および東南アジアと中国の一体化)が進んだ場合、世界経済は米中欧という3つの大国を核にブロック化が進むことになる。ブロック経済下においては、近隣諸国との貿易比率が高まるのは確実なので、従来のような全世界的なサプライチェーンは縮小する。
サプライチェーンが縮小すると、遠距離の輸送コストは上昇し、仮に遠隔地から買う方が価格安い場合でも、輸送コストの関係から採算が合わないケースが出てくる。結局は多少、コストが高くても、近くの経済圏から調達する割合が高くなるので、これは価格上昇要因となる。
脱炭素で逆に原油価格が上昇する
コスト上昇要因はそれだけではない。このところ電気料金やガス料金など光熱費も値上げが続いているのだが、これもコロナ後の景気回復期待から原油価格が上昇した影響が大きい。だが景気回復期待が一服すれば、原油価格は下がるのかというと、そうはいかないというのが市場関係者の一般的な見方だ。
その理由は、今後、脱炭素シフトが進むことで石油の需要減少が見込まれることから、産油国が収益を維持するため、価格を引き上げる可能性が高いからである。
現時点においても、産油国が増産を決断すれば原油価格は下がる可能性が高いが、産油国は減産維持で一致している。脱炭素で原油の消費量が減っていくのは確実なので、産油国は需要の低下に合わせて価格を高めに誘導していくだろう。
再生可能エネルギーの発電コストは、すでに火力の半分以下となっており、脱炭素シフトが順調に進めば、長期的にはエネルギー価格は低下が予想される。だが、これは10年~20年というスパンの話であり、近いタームでは、産業界は値上がりした原油価格に大きな影響を受けてしまう。
つまり、資材価格、食料品価格、エネルギー価格のいずれも上昇が続いており、世界経済の構造転換によってそれが恒常化する可能性が高まっているのだ。
実は海外では日本ほど露骨にステルス値上げが行われるケースは少なく、原材料コストが上昇した場合には、そのまま製品価格に転嫁されることが多い。日本でステルス値上げが横行しているのは、日本経済の貧困化によって消費者の購買力が著しく低下しており、価格を上げると販売数量が激減してしまうからである。
だが、事業者がステルス値上げで対処するにしても物事には限度というものがある。ここまで各種コストが上昇してしまうと、製品価格に転嫁できなければ、企業は利益を維持出来なくなる。筆者は、これまで継続してきたステルス値上げは今年あたりで終了になると予想している。今後、仕入れコストの上昇に直面した事業者は、いよいよ最終製品に価格を転嫁していくことになるだろう。
どういうわけか、ネット上では「日本はデフレだ」と声高に主張する意見が多い。だが、消費者物価指数はほぼ毎年のように上昇しているし(繰り返すが、上昇率が鈍いだけで、絶対値は確実に上がっている)、何より日常的な買い物をしていれば、値上げが続いていることは一目瞭然である。
筆者は「この人たちはスーパーに買い物に行かないのだろうか」といつも不思議に思っているのだが、いくらデフレだと叫んだところで、名目価格が露骨に上昇すれば、さすがに物価が上がっていることに気付くはずだ。公務員など特別な環境にいる人を除いて、多くの労働者の賃金は大幅に下がっているので、ほとんどの人にとって、生活はますます苦しくなる。
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引用以上
上で語られていることを要約すると
① 昨春から始まった食料品値上げブームは、これまで価格を上げずに内容量を減らすステルス値上げで行われてきたが、すでに限界に達していて、これからは実質的値上げに転嫁される。
② 現在、食用油・砂糖・小麦粉の値上げが予定されているので、食パン値上げが避けられない。
③ コロナ危機が物流停滞、輸送費上昇を招いている。
④ ワクチン普及後の経済回復を視野に入れて、物資争奪戦が始まっている。
⑤ トランプ政権の中国孤立化政策のため、逆に中国の台頭を許している。
⑥ このままでは、米中対立は、世界ブロック閉鎖経済を生み出す。
⑦ 全世界的サプライチェーンは縮小し、グローバルスタンダードは後退する。
⑧ 「脱炭素」政策で、石油需要が減少することで、投機筋は市場縮小を前提に、石油価格を上げてくるので、これも食料価格を押し上げる。
⑨ 日本はデフレではない。すべての価格が上がるスタッグフレーションに移行する。
下の記事については、読んだ人がそれぞれ考えればいい。要は、いかにして自己防衛・生活防衛をするかであり、主に、「カネより現物(住居や食料)が大事」ということになるだろう。まあ、一種の「戦争状態(銃後の生活)」が来ると思えばいい。問題は、それが永続的になる可能性が大であることだ。
(以下引用)
モス、串カツ田中、丸亀が「一斉値上げ」…ウラにある「世界の物資争奪戦」のヤバい実態 2021年4月14日(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82211
日本ではデフレが続いていると喧伝されており、物価は下がっているとイメージしていた人も多い。だが生活必需品は一貫して値上げが続いており、事業者側はそれを悟られないよう価格を据え置いて内容量を減らす、いわゆるステルス値上げを行ってきた。
だが、こうした小手先の対応も今年あたりで限界となる可能性が高い。世界経済はコロナ危機と米中デカップリングが重なり、サプライチェーンが混乱あるいは縮小しており、物資の争奪戦となっている。資材価格や食料価格が急騰しており、いずれ最終製品に転嫁される可能性が高まっている。
始まった物資の争奪戦
今年の4月から小売店や外食などで商品やサービスの値上げが相次いでいる。ファストフードのモスバーガーが主力商品を20~30円値上したほか、居酒屋の串カツ田中も全商品の9割について平均10円程度の値上げを実施。丸亀製麺も「かけうどん(並)」や「ぶっかけうどん(並)を300円から320円に改定するなど一部商品の値上げを行った。
4月は消費税の総額表示義務化のタイミングと重なっており、これが価格改定のきっかけとなっているのは間違いない。だが、値上げの根本的な原因は表示の問題ではなく、全世界的な原材料価格の高騰である。
小売店で売られる食品も価格が上がっている。食用油などを製造する昭和産業は、消費者向けのサラダ油ハンディやキャノーラ油を3月に値上げしたが、6月にも値上げキロあたり30円の値上げを行う。日清オイリオグループ、J-オイルミルズも4月に続いて6月の再値上げを決めている。
今のところ最終商品の価格には反映されていないが、砂糖は卸価格が上昇中であり、小麦粉については政府の売り渡し価格が4月から5.5%引き上げられた。小麦は国内生産者保護のため基本的に政府が買い付けているが、2007年以降、政府の売り渡し価格は市場価格に連動する仕組みになっているので、このまま上昇が続くとパンなどにも影響が出てくるだろう。
コロナ危機で不景気が続いているので、食品価格の上昇について疑問を持つ読者の方もいると思うが、実はコロナ危機こそが食品価格上昇の元凶となっている。
新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、全世界的に物流網に混乱が生じており、コンテナ船の運賃は下がるどころか逆に跳ね上がった。航空機も便数が減った分、搭載できる貨物の量が減っており、必要な量の物資を運べないという状況が続いている。このため航空貨物の運賃も上がる一方である。
一方で、日本を除く先進各国ではワクチン接種が順調に進んでいることから、各企業はすでにコロナ後の景気回復を見込んで、商材の確保に躍起となっている。物流が混乱しているところに、コロナ後を見据えた物資の争奪戦が加わっているので、食料を中心に世界のコモディティ価格が跳ね上がっているのだ。
国連食糧農業機関(FAO)が産出する世界食料価格指数は、2月時点で116を突破しており、コロナ前をはるかに上回っている。食料だけでなく、半導体や金属類など物資の争奪戦が始まっており、あらゆる資材の価格が急上昇している。
トランプ政権がもたらした「中国の台頭」
しかも、困ったことにこの動きは一時的なものではない可能性が高まっている。その理由は、トランプ政権が始めた米中分離(デカップリング)政策である。
トランプ政権は中国からの輸入に高関税をかけて、中国からの輸入を制限した。その結果、中国は東南アジアとの貿易を拡大させ、米中の経済的関係が急速に希薄化した。これまで、米国が中国からの輸入を制限することは、中国にとって最大の脅威だったが、実際に米国が関税をかけても、思った程、中国の経済は悪化しなかった。このため、中国は米国の通商政策を恐れる必要がなくなり、米国に対して強気に出るようになってしまった。
3月にアラスカで行われた米中会談では、冒頭から激しい議論の応酬となったが、ここまで中国側が強気のスタンスを見せたことはなかった。米国側はトランプ政権が関税カードを使い切ってしまったため、十分な交渉カードを持っていない。
バイデン政権は人権問題を前面に出して争う構えだが、中国側から譲歩を引き出すのは容易ではないだろう。実際、ウイグル問題で東南アジア各国は、制裁を強く主張する米国には同調しない方針を明確にしつつある(困った事に米国に同調しない国の中には日本も含まれている)。
このまま米中分離(および東南アジアと中国の一体化)が進んだ場合、世界経済は米中欧という3つの大国を核にブロック化が進むことになる。ブロック経済下においては、近隣諸国との貿易比率が高まるのは確実なので、従来のような全世界的なサプライチェーンは縮小する。
サプライチェーンが縮小すると、遠距離の輸送コストは上昇し、仮に遠隔地から買う方が価格安い場合でも、輸送コストの関係から採算が合わないケースが出てくる。結局は多少、コストが高くても、近くの経済圏から調達する割合が高くなるので、これは価格上昇要因となる。
脱炭素で逆に原油価格が上昇する
コスト上昇要因はそれだけではない。このところ電気料金やガス料金など光熱費も値上げが続いているのだが、これもコロナ後の景気回復期待から原油価格が上昇した影響が大きい。だが景気回復期待が一服すれば、原油価格は下がるのかというと、そうはいかないというのが市場関係者の一般的な見方だ。
その理由は、今後、脱炭素シフトが進むことで石油の需要減少が見込まれることから、産油国が収益を維持するため、価格を引き上げる可能性が高いからである。
現時点においても、産油国が増産を決断すれば原油価格は下がる可能性が高いが、産油国は減産維持で一致している。脱炭素で原油の消費量が減っていくのは確実なので、産油国は需要の低下に合わせて価格を高めに誘導していくだろう。
再生可能エネルギーの発電コストは、すでに火力の半分以下となっており、脱炭素シフトが順調に進めば、長期的にはエネルギー価格は低下が予想される。だが、これは10年~20年というスパンの話であり、近いタームでは、産業界は値上がりした原油価格に大きな影響を受けてしまう。
つまり、資材価格、食料品価格、エネルギー価格のいずれも上昇が続いており、世界経済の構造転換によってそれが恒常化する可能性が高まっているのだ。
実は海外では日本ほど露骨にステルス値上げが行われるケースは少なく、原材料コストが上昇した場合には、そのまま製品価格に転嫁されることが多い。日本でステルス値上げが横行しているのは、日本経済の貧困化によって消費者の購買力が著しく低下しており、価格を上げると販売数量が激減してしまうからである。
だが、事業者がステルス値上げで対処するにしても物事には限度というものがある。ここまで各種コストが上昇してしまうと、製品価格に転嫁できなければ、企業は利益を維持出来なくなる。筆者は、これまで継続してきたステルス値上げは今年あたりで終了になると予想している。今後、仕入れコストの上昇に直面した事業者は、いよいよ最終製品に価格を転嫁していくことになるだろう。
どういうわけか、ネット上では「日本はデフレだ」と声高に主張する意見が多い。だが、消費者物価指数はほぼ毎年のように上昇しているし(繰り返すが、上昇率が鈍いだけで、絶対値は確実に上がっている)、何より日常的な買い物をしていれば、値上げが続いていることは一目瞭然である。
筆者は「この人たちはスーパーに買い物に行かないのだろうか」といつも不思議に思っているのだが、いくらデフレだと叫んだところで、名目価格が露骨に上昇すれば、さすがに物価が上がっていることに気付くはずだ。公務員など特別な環境にいる人を除いて、多くの労働者の賃金は大幅に下がっているので、ほとんどの人にとって、生活はますます苦しくなる。
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引用以上
上で語られていることを要約すると
① 昨春から始まった食料品値上げブームは、これまで価格を上げずに内容量を減らすステルス値上げで行われてきたが、すでに限界に達していて、これからは実質的値上げに転嫁される。
② 現在、食用油・砂糖・小麦粉の値上げが予定されているので、食パン値上げが避けられない。
③ コロナ危機が物流停滞、輸送費上昇を招いている。
④ ワクチン普及後の経済回復を視野に入れて、物資争奪戦が始まっている。
⑤ トランプ政権の中国孤立化政策のため、逆に中国の台頭を許している。
⑥ このままでは、米中対立は、世界ブロック閉鎖経済を生み出す。
⑦ 全世界的サプライチェーンは縮小し、グローバルスタンダードは後退する。
⑧ 「脱炭素」政策で、石油需要が減少することで、投機筋は市場縮小を前提に、石油価格を上げてくるので、これも食料価格を押し上げる。
⑨ 日本はデフレではない。すべての価格が上がるスタッグフレーションに移行する。
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