国政選挙の前後くらいしか注目されない連合の定例会見が話題だ。なぜか? 「共産党アレルギー」で知られる芳野友子会長が反共を掲げる旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関わりを問いただされ、タジタジになったからだ。昨年10月に初の女性会長に就任してからというもの、野党共闘を強烈な言葉遣いで邪魔し、立憲民主党を揺さぶる女傑ぶりはどこへやら。やっぱり火のないところに煙は立たないのか。
先月25日の会見で問われたのは、連合加盟の労組が研修などで利用する富士社会教育センターと教団との関係、そして自身と教団との関わりだ。
芳野氏が所属する労組JAMで副書記長を務めた労働運動アナリストの早川行雄氏が、「芳野友子新体制で危機に立つ連合」と題したリポートで〈芳野の反共思想は富士政治大学で指導されたもののようである〉と書いているほか、センターの影響が指摘されている。
というのも、元民社党委員長が設立したセンターの理事長には、旧統一教会関連の世界平和教授アカデミー初代会長や世界日報の論説委員を歴任した松下正寿元参院議員(民社党)が就いていたからだ。大学校は組合員向け研修機関で、センターの教育部門である。
教団とセンターの関係について芳野氏は「知りませんでした。調べないです。調べるつもりはないです」と取りつく島もなく、かえって怪しい。
ミシンメーカー「JUKI」に18歳で入社した芳野氏は翌年には専従職員となり、22歳で初の女性中央執行委員に就くなど労組一筋。その過程で大学校で研修を受け、反共思想を会得したとみられるのだが、「センターで学んだと書かれているが、私はそこで学んでいません。センターがどういう教育をしているのかは分からない」と会見で否定。「女性役員が外の会議に出ることがほとんどない中、女性組織で学習会をやろうということでセンターに所属する方を講師に招いた。ただ、労働運動について学ぶというよりは、話し方とか文章の書き方とか基本的な学習会だった」と釈明した。
しかし、毎日新聞の電子版(2021年12月25日公開)にはこんな記事が掲載されている。
〈共産党に対する拒否感について、芳野さんに尋ねたことがある〉
〈概要は次の通りだ。就職したJUKIには共産党の影響を受けた組合があった。これに反発した組合員が同盟系の労組を作った。自分の入社時には、同盟系が多数派になっていたが、組合役員になると共産党系の組合と闘った過去を学んだり、相手から議論を仕掛けられたらどう切り返すかというシミュレーションをしたりした──〉
その内容たるや、大学校の教育そのものなのだ。頭隠して尻隠さず、か。
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