「よみうりオンライン」から転載。
みなさん、なんでそんなに保育を難しいことにしたがるのか。たかが赤ん坊の世話でしょう。どこの家庭でも未経験の母親がやってきたことじゃないか。まあ、「教育」までやるとなれば話は別だが、要するに、赤ん坊を8時間から10時間預かるだけのことだ。
まあ、現代は責任問題がうるさすぎるから、うっかり預かった赤ん坊を死なせたら大変だ、ということになるのだろう。
そのあたりをもう少し、何とかできないか。預かるのが(事故などの際の責任問題で)怖いから預かれない。その結果、他人に預けることがどんどん難しくなる。
昔なら、子供の一人や二人、成長途上で死んで当たり前、ではなかったか。
病気も事故も、そりゃあ無いに越したことはないが、それなら戦争でいっぺんに大量に死ぬほうがよほど問題だろう。そちらは「戦争法案(安保法案)賛成(あるいは終わった話)」で、赤ん坊が一人事故で死ぬと大騒ぎ、ですか。
そもそも、自分の子供を他人に預けてでも仕事に出たい、という人が、それほど子供が大事なようには私には思えないのだが、これは暴言ですか。
まあ、子供を失う悲しみは、誰でも理解はできるから、これは子供の世話をいい加減にしていい、という話ではもちろん無い。大事なものなら、本気で大事にしろ、という話なのである。何もかも自分の都合がいいようにしたい、では通らない、とまるで曽野綾子でも言いそうな言説になってしまったが、批判覚悟でそのまま掲載する。
前にも書いたが、子供は可愛いものだ。子供が可愛いならば、育児が幸福でないはずはない。これはいわば個人の問題だが、経済問題で育児が難しいなら、それは政府と政治の問題だ。家庭の問題ではない。
(以下引用)
保育業務、無資格者でも可能に…鳥取県が検討
政府が待機児童解消に向けた緊急対策を発表したことを受け、鳥取県は、保育士の配置基準を緩和する条例改正案の検討を始めた。
保育士の資格がない人を、保育士の代わりとして一部認めることが柱。人材を確保しやすくなる一方、「保育の質を落とすのでは」との指摘もあり、県民の意見を公募して検討し、5月定例議会に提案する。
県内の保育所などでは近年、当初は待機児童ゼロでも、年度途中に出生や転入などで数十人の入所待ちが発生。過去3年の10月1日時点の調査では、2013年が74人、14年は89人、15年は56人が入所できていなかった。背景には保育士不足があり、県は配置基準の緩和で、人材確保や雇用環境の改善を図ることにした。
現在の条例は、認可保育所や認定こども園は常時最低2人の保育士を置くよう規定。改正案では、子どもが少ない朝夕は2人のうち1人について、子育て支援員研修終了者や業務経験が豊富な人で代替可能とする。
また、基準上必要な保育士の3分の1以内であれば、幼稚園や小学校の教諭、養護教諭も認めるなどとしている。基準の緩和は、年度途中の待機児童が解消されるまでの特例措置。
平井知事は7日の定例記者会見で、「保育の質を低下させてでも量を増やせということではなく、現場で問題ないと思われる部分を規制緩和する」と説明。県内の保育所に意見を聞いたところ、7割程度が肯定的な見解を示したという。
利用者らの意見も取り入れるため、26日まで意見公募を実施。応募用紙は県や市町村の窓口にあり、県のホームページからもダウンロードできる。問い合わせは県子育て応援課(0857・26・7150)。(高山智仁)
2016年04月11日 10時03分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
(徽宗追記)こういうニュースもある。従来的な保育園の形態では、今後、設立そのものが難しいのではないか。つまり、私が主張する、「個人保育所」の形で、素人の老人女性などがせいぜい数名までを預かる形しか、「他人に預ける保育」は成り立たなくなっていくような気がする。まあ、従来の保育園が「ホテル」ならば、「民宿」的保育のようなものである。これに、資格が必要とか何とか政府が言い出したら、その形態さえ無理になり、結局、中下流家庭では子供を持つことも、子供のある女性が働きに出ることも不可能となり、「女性Shine!」は「女性死ね」になり、「保育園落ちた 日本死ね」「政府死ね」となるだろう。
<私立保育園>「子供の声うるさい」開園断念 千葉・市川
毎日新聞 4月11日(月)20時52分配信
千葉県市川市で4月に開園予定だった私立保育園が「子供の声でうるさくなる」などの近隣住民の反対を受け、開園を断念していたことが分かった。同市の待機児童は373人で全国市区町村で9番目に多い(昨年4月時点)。説明会に同席するなどして地域の理解を求めてきた市の担当者は「(住民の反対で)開園が延期したケースは東京都内などであるそうだが、断念は聞いたことがない。残念だ」と言う。
市によると、同県松戸市の社会福祉法人が3月に木造2階建ての園舎を完成させた上で、4月1日に定員108人(0~5歳児)で開園する計画だった。予定地は市中心部に近い住宅街で、昨年8月に開園を伝える看板を立てたところ、反対運動が始まったという。
住民側は市や社会福祉法人に対し、計画撤回の要望書を提出。社会福祉法人による説明会も複数回開催されたが、「子供の声が騒音になる」「保育園が面する道路は狭いので危険だ」などの意見が強く、建設に着手できなかった。市によると、これまでも市内で他の保育園開園への反対はあったが、最終的に合意を得られていたという。
社会福祉法人は3月下旬の理事会で断念を決定。理事長は「保育園は地域の皆さんから見守ってもらえなければ成り立たない。無理だと判断した」と話している。【小林多美子】
◇全住民の理解難しい
住民参加のまちづくりに詳しい千葉大大学院の木下勇教授(都市計画学)の話 子どもの声を騒音とするのは正しい社会のあり方ではないが、待機児童解消の目的だけで全ての住民の理解を得るのは難しい。行政は地域の未来やまちづくりに、保育園がどう必要なのかなどを住民と話し合い、今後を描いていく必要がある。
(さらに追記)これはもう、ビジネスモデルとして完全に破綻しているのではないか。で、それに対して政治はどう対処するつもりか。これまで見過ごしにしてきた責任はどうとるのか。
「破水しても早退できなかった」元保育士たちが「辞めた理由」を激白<調査結果・下>
保育士資格を持っているが、現在は退職するなどして保育所で働いていない「潜在保育士」の63.4%が、「給与への不満」を理由に退職したことが、弁護士ドットコムニュースが保育士の転職サービスを行う「ウェルクス」と共同で実施したアンケートでわかった。退職時のエピソードとして、「破水しても保育士の人数がギリギリだったためすぐに早退できず、結果流産」「時給850円で責任者までやったが給料は無資格の人と変わらず」などがあった。
アンケートは、4月1日から5日にかけて、ウェルクスが運営するウェブサイト「ほいくみー」上で実施。全国の潜在保育士213人から回答が集まった。
●手取り給与「15万円以下」が半数保育士を辞めた理由(複数回答)として最も多かったのは「給与への不満」で63.4%、次いで「業務量・残業の多さへの不満」が60.1%、「上司・同僚との人間関係の悩み」が44.6%だった。
現役時代の給与はどのくらいだったのだろうか。保育士として働いていた最後の月の手取り給与額を聞いたところ、「15万円未満」が54.5%、「15~20万円」が37.1%で、手取り給与20万円以下が9割を占めた。
●「時間外労働手当は100%支払われません」保育士を辞めようと思った際のエピソードを自由回答で尋ねたところ、給料の低さや、その額に見合わない膨大な業務量、職場の人間関係の悪さに対する苦痛の声が多数寄せられた。象徴的なものは以下のとおりだ。
「時間外労働手当は100%支払われません。疲労が蓄積して事故につながってはいけないという思いと、現場の保育士不足による事務量の多さからこれ以上続けられないと思い、辞めようと決めました」
「妊娠中、体調を崩しても早退・欠勤は許されず、勤務中破水しても保育士の人数がギリギリだったためすぐに早退できず、結果流産しました。退院後復帰しましたが、まともに休憩も取れない毎日…やはり体調は優れず、家事との両立も難しかったこと、また妊娠したときの不安を抱えながら働き続けることが出来ず、退職を決めました」
「時給850円で責任者までやったが給料は無資格の人と変わらず、尚且つ仕事量は増える。持ち帰り仕事も多く自分の子どもの育児もままならなくなり辞めました」
「はたらけど、はたらけど、我が暮らし、楽にならず」
「疲れて帰ってきて育児して主婦して仕事も更にして。書き仕事に壁面の製作。ピアノの練習、行事が来れば衣装作り。せんぱいや園長にダメ出しされる度に睡眠時間がなくなってた。そしてつぎの日は7時出勤とか(笑)。休みもないし給料も少ない子どもが熱を出しても人手が足りないから嫌みばっかり言われたな」
なお、現場復帰問題についての調査結果は、『「給料あげろ!そしたら戻る!」元保育士の8割「復帰したくない」<調査結果・上>(https://www.bengo4.com/internet/n_4526/)』にまとめている。
※回答者属性※
<性別>女性(95.3%)、男性(3.3%)、不明(1.4%)
<年齢>18~19歳(0.5%)、20~24歳(8.5%)、25~29歳(27.7%)、30~34歳(23.5%)、35~39歳(15.0%)、40~44歳(13.1%)、45歳以上(11.7%)
<最後に働いていた保育園の雇用>正規(62.4%)、非正規(37.6%)
<最後に働いていた保育園の形態>公立(19.2%)、私立(78.9%)、不明(1.9%)
アンケートの結果は、「ほいくみー」(https://hoiku-me.com/other/nurture-news/28446/)でも見ることができる。
(弁護士ドットコムニュース)
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