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徽宗皇帝のブログ

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米山隆一の「農業株式会社」論
東海アマ氏が批判している米山隆一のブログ記事を読んでみて、TPPに賛成している部分以外は、私の「農業改革論」と非常に近い内容であり、合理的そのものだと判断したので転載する。東海アマ氏の不合理的・感情的・無責任な農業論(自分ではまともな農業をしていない)と比べてみるといい。

ただし、私は農業の株式会社化そのものより、「農業工場」という発想を重要視している。
毎度言うが、今の農業では、農地は、それを平面的にしか使っておらず、その表土しかほとんど利用されていないわけだ。それを立体的に使えば、労働が機械化でき、労働軽減が可能になり、工場化、つまり透明屋根や透明壁(空気は外界の空気をフィルターに通し、衛生的にする)の中の「屋内農業」とすることで悪天候の被害や病虫害もなくなり、収穫量も定常的に計算可能になる、というものである。土地の表層部の塩害は、表土そのものを定期的に交換するわけだ。つまり、表土を、細かく区分されたパレットに載せ、それを毎年交換していくのである。工場化によって、水やりも施肥も容易になる。
というように、いい事づくめだが、初期投資にカネがかかるので、これは株式会社か政府(あるいは地方自治体)にしかできないだろう。つまり、農民は一種のサラリーマンか公務員になる。それは悪いことか? はたして今の農民は報われる生活か?

まあ、22世紀までには、そういう農業が「当たり前」になっていると私は見ている。

(以下引用)

農地の集約化



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 TPPの議論で、私がなぜ農地の集約化にこだわるのか質問がありましたので、稿を改めて回答します。


 私が農地の集約化を主張するのは、これが日本農業(稲作)の生き残りの為に必須だからです。
 最近よく指摘されていますが、日本の農業従事者人口は、現在200万人に過ぎず、その54%が65歳以上です。この人口は、2030年には、高齢化により72万人にまで減少すると予想されています。極めて単純な計算(農業従事者の高齢化はより進みますが、そこは無視して)で、これからの20年間で農地を3倍に集約化しない限り、TPPに参加しようがしまいが、日本の農業生産は1/3になります。「先祖伝来の田畑は手元に置きたい」という気持ちは理解できますが、このままでは、間違いなく日本の農業は、TPPとは全く無関係に、高齢化による農業従事者人口の減少によって、消滅します。


 では、日本の農業人口の減少をもたらしているものはなんでしょうか?それは端的に「収入の低さ」です。日本の農家の平均農業収入は100万円にすぎません(無論農外収入で生活費が賄われています)。これで、後を継げというのは、無理です。
 これに対してEUの農家はおよそ10倍、アメリカの農家はおよそ100倍の耕作地をもっています。単純計算で恐縮ですが、日本も農地をEU並みに10倍に集約化すれば収入は1000万円になり、十分若者がやりたい職業になります。
 因みに現在、15ha程度を耕作している大規模農家の収入は1000万円程度であり、大規模化-集約化さえすれば農業が決して割りの悪い産業でないことは現実に立証されています(無論それは現在の米価が維持されることが前提ですが、そこはTPPでも聖域として守るべきところだと思います)。


 では、なぜそれが出来ないのでしょうか?最大の理由は農地の買いにくさでしょう。現在農地を買うには知事若しくは農業委員会の許可を得る必要があり、株式会社はこれを保有できません。そこを株式会社の農業経営を認め、かつ農地の取得に税制上の優遇装置を設ければ(現在いくつもの優遇措置はありますが、極めて限定的で、かつ当然株式会社への適用はありません)、それこそ安倍ノミクスで過剰流動性を手にした企業にとって、農地は非常に良い、適切な投資対象になります(まとまった土地さえあれば、まじめに耕作すれば十分な収益が上がりますので、これは「投機」では全くなく、まっとうな「投資」です)。そうなれば、私は割とすぐに「農地価高騰」が生じると思います。そして、現在の農村の疲弊状況を考えれば、高値が付き、かつ相続税を含めた優遇措置が付いた土地を、高齢化した農家は売るでしょう。


 それを「農村の破壊」「古き良き日本の伝統の破壊」というのは、容易です。しかし、その「古き良き日本の伝統の保存」が、「小規模農家にも先祖伝来の土地を守らせる」という政策が、実際に農村に何をもたらしているのか、私たちは直視すべきです。確かに、小さな田んぼを寄せ合う山村の棚田は美しいでしょう。しかし、その山村の人口は減少を続けています。今のまま行けば、30年後、ほぼ間違いなく、あの棚田は、耕す者のいない荒れ地になります。


 選挙のたびに「故郷を守る」「日本の伝統を守る」というセンチメンタリズムを掲げ、「株式会社」「TPP」といった新しいことに感情的な「No」を言い、結果何の対策も打たずに、限界集落を老いるに任せ、朽ちさせていくことが、本当に、日本の農業を、日本の農村を、私の(私は魚沼市出身です)、私たちの故郷を守ることでしょうか?


 私は、そうではないと思います。政治を志す者は、つらくても有権者に真実を告げ、それに対する現実的対策を考え、たとえそれが今までの方法と違っても、自ら有権者を説得し、勇気づけてそれを実行すべきです。「有権者の声を国に伝える」という言葉のもとで、有権者とともに涙を流すことは、重要です。しかしそれが、有権者の気持ちに迎合し、国に向かってほとんど何の効果もない「No」を訴えながら、結局何一つ有効な対策を打たないことになってしまっては、一時の救いにはなっても、本当のところ誰一人、何一つ救えません。


 私は、ほかでもない私の故郷を守るために、農地の集約化を進め、若者が、産業として、誇れる豊かな職業として、取り組める農業を、ほかでもないこの新潟に、作りたいと思います。そしてそのためには、農地の集約化は不可欠だと、考えます。


 勿論、私の考えが間違っていれば、何時でもそれは改めます。是非ご議論を提起していただければと思います。


AUTHOR: MIP: DATE: 03/22/2013 19:10:57興味深く拝見致しました。TPPへの参加・不参加を問わず、農地の集約化は今後の課題であると考えています。そこで集落の中における農地の距離が離れている場合、どのように集約化を進めるかということが1つ大きな問題であると思います。これは高低差のある棚田においても同じことです。この山口県山陽小野田市の例(農林水産省:http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1207/spe1_03.html)のように、農地が近接していれば良いのですが、そうでない場合(キロ単位で農地が分散している場合)は、どのような対策が可能でしょうか。

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