マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2024/02/post-621f5b.html
<転載開始>

2024年2月24日
Moon of Alabama


  ある元米軍大佐が『ザ・ヒル』で次のように述べている。


ウクライナはもはや勝てない - ザ・ヒル、2024年2月22日


 私もあなたと同意見だと言いたいが、二年ばかり遅い。特別軍事作戦が始まった2022年2月24日にウクライナは戦争に敗れていた。


 ウクライナに勝ち目はなかった。


 まず、大佐がしっかり書いた言説を要約し、それから私の観察を補足する。


 二年前、ウクライナ軍は即座に予想を裏切った。ロシアの大規模な諸兵科連合侵攻の数日前、米軍を代弁して、マーク・ミリー統合参謀本部議長が、キエフは72時間以内に陥落すると議会で予想した。


 多くの軍事専門家も同様に、優勢なロシア軍がウクライナ軍を即座に敗走させると予測していた。アメリカ指導者連中は、ロシア軍に彼が暗殺されないため国を離れるようウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に促した。


 ロシアがすぐに成功するというこれら予測は、2014年のロシアによるクリミア併合以来、能力と即応性の点でウクライナが成し遂げた進歩を読み違えていた。またロシア軍の即応性、制空権、司令部の結束を過大評価していたのだ。


 それら全て、ある程度真実だ。


 ロシア軍がすぐにキエフを制圧し、現政権を打倒するだろうという予想があった。しかし、ロシアは、そのために必要な人的資源を決して投入しなかった。現代、敵都市を平定し維持するには、通常、住民40人あたり1人の兵士が必要だ。戦争が始まった時、キエフには約300万人住民がいた。この都市を占領し維持するには約75,000人の軍隊が必要だった。しかし、ロシア軍はキエフ方面に40,000人以上の兵士を配備することはなかった。



 したがって軍事目的は都市占領ではなかった。政治目的を実現するため圧力をかけることだった。


 戦争が始まって間もなく、ウクライナ政府は和平交渉開催に合意した。その後数週間、まずベラルーシで、その後イスタンブールで開催された。3月下旬、ウクライナが交渉でNATOに加盟しないことに合意した後、ロシアは首都から軍隊を撤退させる親善の意思表示をした。ところが、4月初旬、アメリカとイギリスが介入し、交渉を破棄するようキエフに圧力をかけたのだ。


 欧米の政治・軍事指導部は、ロシアの狙いを読み違え、ロシア軍は弱いと考え、間違った結論に至ったのだ。


 これが次の段階でも起きたのだ。


 一年前、あらゆる兆候は有望だった。ウクライナ軍は血まみれだったが、予想に反し東部領土を守った。反攻が成功し、ウクライナは南部領土を取り戻せた。来年は「我々の無敵」の年だとウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は挑発的に宣言した。ウクライナに対するアメリカ援助は、ウクライナ安全保障支援構想を通じて、大砲や対戦車兵器や巨額資金を提供し、その流れは絶え間なく続くように見えた。


 遙かに大規模で高度な軍隊に対するウクライナの驚くべき成功に触発されて、欧米はゼレンスキーと彼の軍隊を支持した。悲劇的なことに、これら全ての指標が非現実的期待につながった。


 ロシアは平時編成で軍隊を編成して戦争を始めた。ウクライナ作戦を開始するために、徴集兵や動員された軍隊ではなく常備軍のみを使用した。当時のロシア軍の主な組織構造は大隊戦術群だった。


 余談:ソビエト時代の軍隊は、4〜5個旅団の師団、各旅団に4〜5個大隊、各個大隊に4個から5個中隊という古典的な戦時構造があった。このような構造には多くの人員が必要だ。


 費用を節約するため、ロシアは師団層を廃止した。自動車化歩兵旅団は、1個戦車大隊、2個自動車化歩兵大隊、2個砲兵大隊から構成され、大隊戦術群に縮小された。


 砲兵隊と戦車隊の約3分の1と、歩兵隊の半数が削減された。旅団編成に4,000人から4,500人の兵士がいるのではなく、大隊戦術グループはそれぞれ2,000人しかいなかった。もはや要員がおらず、必要機材は保管庫にしまわれた。


 大隊戦術群の平和時構造は人口集約型の旅団構造より遙かに安価だったが、それでも元の火力の約2/3を保有していた。戦争が起きた場合、大隊戦術群構造は動員された兵士で補充され装備を復元し再び正規規模の旅団になるという考えが常にあった。
余談終わり


 2022年8月になってようやく、別の交渉が失敗に終わった後、ロシア指導部は、戦争の映像を撮影すると決定した。動員が開始され、装備が倉庫から引き出され、平時の大隊戦術群編成が完全な旅団構造に復活した。師団司令部層が再確立された。これら全て時間と再訓練が必要だった。より長い戦いを支えるため軍需産業を発展させなければならなかった。


「ロシア人は鞍に乗るのは遅いが乗れば速い」ということわざがある。ここであてはまる。


 2022年から2023年初頭にかけて、ロシア軍の規模は小さく、武力の経済性を行使せざるを得なかった。価値の低い陣地は最小限の兵力で守られた(ハリコフ、ヘルソン)。これらの部隊が圧力を受けると、陣地はあっさり放棄された。防衛線は、より貴重な土地を守るために構築された。


 2023年春から夏にかけて、ロシア軍は完全な戦争力に(再)成長した。ウクライナ軍の組織的破壊がいよいよ始まるかもしれない。


 復活したロシア軍の陣形にウクライナ軍が挑戦しようとしたとたん、最も有名な「反攻」失敗で、ウクライナ軍は大敗を喫した。ウクライナ政治指導部は、更なる前進を生み出すよう迫られ、あらゆる場所を攻撃し、決して後退しないよう軍に要求した。


 これは、ウクライナ非武装化というロシアの政治的狙いに合致する。ロシア軍は、しっかり掘られた陣地で防御し、砲兵隊と空軍力の優位性を高め、攻撃するウクライナ軍を壊滅させた。


 昨年末ウクライナ軍は戦術を変更し始めた。兵力と物資の不足のため、防衛モードに入らざるを得なかったのだ。ロシア軍は装備を整え、戦闘準備を整え、攻撃を開始した。


 今日、状況は厳しい。戦闘は、ロシアに有利に働く残酷なスローガンにまで減速している。ウクライナは兵力と弾薬が不足しているが、ロシアは両方を豊富に維持している。2023年春のウクライナ反攻は、ロシアに奪われた領土を取り戻すことができず、長期にわたって計画され、リスクが高く、数カ月にわたって失敗に終わった。ウクライナと西側諸国におけるゼレンスキーへの支持は、ついに失墜した。アメリカの援助は議会で行き詰まり、この戦争への資金提供にアメリカはうんざりしているようだ。


 過去二年の大半、ロシアの即時勝利の予測に続いて、ロシア軍は張り子の虎だという新たな判断ミスで専門家や政策立案者は反対の方向に進んできた。将軍たちはプーチンに背を向けるだろう。ウクライナはドンバスでロシアに血を流させるだろう。


 二年経過した今、少なくともロシア軍を2021年の支配線まで押し戻すという意味では、ウクライナ勝利の道はないのが現実だ。ウクライナ軍がアウディーイウカを放棄した後、この戦争で最も激しい戦闘(9カ月間で両陣営とも最も大きな損失または利益を得た)後、ほとんど全ての優位がロシアにもたらされた。


 ロシア人から見た戦争は、政治、文民、軍事のあらゆる要素が同期する必要がある、ゆっくりとした過程だ。その観点からは、あれこれの戦いに勝つのはさほど重要ではない。違いを生むのは長期的姿勢だ。時間の経過とともに勝利をもたらす定常状態を達成するには時間がかかりる。その状態が達成されて初めて敵の真の破壊が始まるのだ。


 ロシア軍は現在、四方八方から攻撃を仕掛けている。ウクライナ軍は兵員も弾薬も不足している。ウクライナが諦め、どんな不利な状況下でも平和を模索しなければならなくなるのは時間の問題だ。


 この道を変える方法は、これまでも、そして今も存在しない。


 議会に提出された600億ドルの援助パッケージは、未来を大きく変えるものではない。この戦いは長期戦で、さらなる支援が必要になる。どこかの時点で、蛇口はおそらくすぐ閉められ、援助を止め、ウクライナの運命を封印するだろう。


 ウクライナの終盤戦は急速に近づいている。それは今日多くの人が認めようとしているよりずっと早く来るかも知れない。


記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/02/ukraine-can-no-longer-win-it-in-fact-neve-had-a-chance-in-the-first-place.html


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 Alex Christoforou


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