徽宗皇帝のブログ

経済的な面から江戸幕府崩壊の原因を考えてみたい、と前から考えていたのだが、そのカギになる言葉が松本清張の「天保図録」にあったので、メモしておく。

「時代が下るにつれ武家階級と商人との貧富の格差はますます激しくなり、年一度の米収穫を唯一の収入源とした大名は流通経済の速度に追い付かず、かつは消費経済の膨張で商人からの借金は雪達磨のようにふくれ上った」（松本清張全集２８　下巻P７４）


つまり、米経済と流通経済の速度の差、あるいは回転数の差である。米の収穫は年に１回だが、商品は流通過程で何度も（運搬、仲買、問屋、小売などの）利益を上乗せされて価格が膨張する。とすれば、米の収穫を唯一の収入源としている農民の貧窮と武士階級の没落は必然だったわけだ。