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徽宗皇帝のブログ

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経済問題議論には「代案」は必須である
「反戦な家づくり」から転載。
反安倍陣営がダメなのは、アベノミクスはダメだ、と非難しながら、それに代わる有効性のある経済政策を提唱できないからだろう。その点、トランプは、「保護貿易」という荒業を提唱し、それがアメリカの「実体経済の不振」に苦しむ低所得層を大きく動かしたわけだ。トランプの「保護貿易」政策が本当に有効かどうかは別として、明確な代案を示したことが、有権者たちを動かしたわけである。
私は、反安倍陣営から、「どうすればこの国の経済が良くなるか」、というアイデアを聞いた記憶が無いし、もちろん自分自身で書いたことも無い。経済悪化の原因である、消費の低迷の、そのまた原因である被雇用者の所得低減の、そのまた原因である企業の「人件費カット方針」を批判したところで、それを禁止することができるはずもない。つまり、それはライオンに肉食をやめ、草食動物になれ、と言うようなものなのだから。
となれば、まったく効果の期待できないアベノミクスの「成長戦略」でも、言わないよりは「何かやっている」ようには見えるのだから、安倍政権のほうが野党よりはマシに見えてくるわけだ。
つまりは、野党陣営やその支持層の中に、まともな経済頭脳を持った人間がいないのが、実は安倍政権を強固にさせている、と言えるだろう。野党が自公政権のアシストをしているようなものだ。

下に書かれた事柄は、その「経済頭脳」の産物であり、非常に示唆的なものがある。
私も、産業の「波及効果」についてはほとんど考えてこなかった。だから、トヨタがトランプに脅されて困っていても、「あんな下請けいじめで有名な企業が苦しむのは自業自得だ。ザマアミロ」としか思わなかったのである。
しかし、自動車産業の波及効果の大きさを考えれば、若者の自動車離れも、アメリカの保護貿易も、自動車業界だけの問題としているわけにはいかなくなるだろう。まあ、もちろん、自動車業界の問題に限らず、今の日本の経済不振は、少子化問題、派遣労働者問題など多くの要因があるわけで、そのそれぞれについての対策が考えられる必要がある。
とりあえず、野党の中心の人々は、本気で、アベノミクスに代わる経済成長戦略(まあ、「成長」自体が不可能だ、という認識もあるだろうから、「より良い経済のための戦略」でもいい)を考え、提示する必要があるのは確かである。
これは、石原慎太郎が全学連の学生たちと討論した時(だったと思う。あるいは野坂昭如との討論だったか。)、「共産革命には革命後の社会についての明確なプランが無い」と批判したのと同じ構図であり、リベラルの弱点は、「現状への不満」だけで、「現状をどう変えるのか」については、実は明確なイメージもプランも無い、ということが多いのである。


(以下引用)



2017-01-11(Wed)

効果の小さい成長戦略(世界3位の経済大国がなぜ貧乏になるのか 5)

1万円の大根と、1万円の牛肉。どっちが経済効果が大きいか?

なんとなく想像できると思うけど、牛肉のほうが大きい。
牛肉よりも、鉄鋼はもっと大きい。

なぜかというと、こういう仕組みらしい

20170111-2.jpg
(日経4946.comより)

同じ一万円のものを作るにも、その原材料を何段階も生産するものは「1次波及効果」が大きく、そのために給料がたくさん支払われて消費が増えると、こちらは「2次波及効果」ということになる。

もろもろの価値観はちょっと脇においといて(捨てはしないけど)、景気を良くすることだけを考えると、経済波及効果の大きい産業が成長した方が、それだけたくさんの仕事が増えて、給料もアップするように思える。

では、どういう産業が波及効果が大きいのか、政府の統計から拾ってみた

20170111-4.jpg

詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ
http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/011index.htm

これは1次波及効果だけを産業別に計算したものなので、2次効果は入っていない。
サービス業の場合は2次波及効果の比率が大きいのだが、そこまで調べられなかったので、とりあえずこのデータで見てみる。

表の順番は、1次波及効果の率に相当する影響力係数の大きい順である。
そして、一番右の欄は、波及を誘発した絶対額とその順位。
産業分類の名称に黄色くなっているのは、最近、高成長している分野。
業界別 伸び率(過去5年)ランキング 1-50位 (平成25-26年版)より)
一番左は、安倍内閣の新成長戦略で「成長分野」に指定されているもの。

一見してわかるのは、波及効果の率がいいものは、額が小さくてしかも高成長分野は少ないということ。
新成長戦略の指定分野にいたっては、ほとんど無い。
要するに、モノを作らないので、1次波及効果が非常に低くなっている。

そうなると、給料をしっかり払ってもらって、2次波及効果に期待するしかないのだが、前にも書いたように、生産は増えて求人倍率は上がっているのに給料は下がり続けている。
→ 人手不足なのに給料が上がらない不思議

給料を下げることでサービス業の売り上げを上げているから、2次波及効果は思ったほどは期待できない。
社員は同時に消費者でもある、ということを、最近気が付き始めているようだが、でももうこのスパイラルからは抜け出せなくなっているのが、日本の企業体質だ。

結局、1次波及効果の率も額も大きな自動車産業に、頼りっきりの実体が浮かび上がるのだが、トランプ政権がもうすぐ成立すると、ここが直撃されるわけで、国内で循環できる他の成長分野を作らなければ、タダでさえよろしくない日本の経済はガタガタになる。

ではどこをどうするのか
野党の政策に決定的に欠けているのは、そうしたところだろう。
だから、いくら偽物でも、新成長戦略とか言っている安倍晋三のほうがマトモに見えてしまうのだ。

このあたりは、私ももう少し詰めて勉強してみようと思う。



こんなすごいサイトがあったので紹介

 経済波及効果が大きい産業はどれか?(地域経済ラボラトリ-)

こちらはちゃんと2次効果まで計算されている。
ランキング順になっていないのでちょっと見にくいけど、貴重な資料である。



これまでのシリーズ

なぜ世界3位の経済大国がどんどん貧乏になっているのか(その1)

人手不足なのに給料が上がらない不思議(なぜ世界3位の経済大国が貧乏になるのか 2)

「大企業は税金を払っていない」は本当か検証してみた(なぜ世界3位の経済大国が貧乏になるのか 3)
金が天下を回らない件(なぜ世界3位の経済大国が貧乏になるのか 4)





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