雪国で太陽光発電というのは困難ではないかと最初から私などは思ってしまうが、プロや起業家というのはそういう困難を乗り越えるような意志力と精神の方向性を持っているのかもしれない。そして、そういう「困難を克服した話」というのは、「プロジェクトX」のように、世間を感動させ、高い評価を受ける。しかし、「無理なことをやると結局無理がたたることになる」という、私のような軟弱者精神のほうが安全性は高いのではないか。何も無理に進歩しなくても、平穏無事な社会であれば十分だろう。
(以下引用)
雪国仕様でも耐えきれず…
2021年1月から2月にかけ、北陸や東北、北海道を中心に広い範囲が豪雪に見舞われ、ビニーハウスや家屋が倒壊したり、自動車や列車が立ち往生したりするなど社会生活に大きな影響が及んだほか、除雪中の事故などで多数の死者も出た。
この「令和3年豪雪」では、短時間で大量の雪が降り積もったことが特徴的だった。新潟県では24時間で1mを超える激しい降雪に見舞われた地域もある。上越市では、1月8~10日までの3日間で集中的に雪が降り、最深積雪が250cm近くに達した。最深積雪では北海道岩見沢市で12月に142cmで観測史上1位となったほか、富山県や新潟県、秋田県などで、記録的な積雪量となった。
これらの地域にある太陽光発電所の中には、太陽光パネルが外れて損傷したり、基礎や架台が変形したサイトもある。こうした被害は、雪に埋もれている状況では把握しにくい。春になり雪解けとともに散乱したパネルが現れるなど、被害の全容が明らかになってきた。
元々、こうした雪国の太陽光発電所は、設計段階からある程度、積雪に対応している。アレイ(太陽光パネルの設置単位)の設置角を30~40度程度まで傾けて雪が滑り落ちやすくしているほか、パネルから落ちた雪が山になってもアレイと繋がらないように、地面からアレイ最低部との設置高を1m程度など大きく確保しているサイトが多い。
しかし、今回のように短時間で激しい降雪があると、太陽光パネルから滑り落ちる間もなくアレイに大量の雪が積もってしまい、架台に大きな荷重がかかる。この荷重にアレイ後方を支える支柱が耐えられずに北側に押しつぶされてしまうと架台全体が崩壊してしまう。
こうした状況になったのが新潟県上越市の海岸近くに2013年から稼働していた高圧連系するメガソーラー(大規模太陽光発電所)だ。ソーラーフロンティア製CIS化合物型の薄膜太陽光パネルを4段に組み、設置角30度、設置高1m程度で設置していたが、後方の支柱が後ろ側に「く」の字形に大きく折れ曲がり、倒れ込んでいる。パネル1段ごとに支柱で支え、堅牢に見える鋼製架台が屈曲している様子は衝撃的だ。(図1)(図2)。
この高圧太陽光発電所は、大きく2つの区画に分かれており、全体の3分の1程度が北側の海に近いエリアに設置されている。架台が大きく損壊したのは海側のエリアで、もう1つの南側エリアには大きな損壊は見られない。海側のエリアのなかでも、南側のアレイでは、損壊は部分的になっている(図3)(図4)。
こうした被害状況を見ると、メガソーラー規模になると1つのサイトでも、地形や森林など周辺環境の微妙な違いによって場所ごとに雪の積もり方などが異なることが分かる。このサイトでは、北に森林が迫っており、北側エリアが雪の吹き溜まりになった可能性もある。
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