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徽宗皇帝のブログ

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脱プラスチック社会と植物素材
私は、森林国で水資源の豊富な日本はもっと「植物の有効利用」を研究すべきだと考えている。たとえば、植物をエネルギーとして利用するなどだ。また、建築素材としては長所も短所もあるだろうが、その長所を伸ばし、短所を補う工夫をするべきだろう。木材を圧縮し表面を塗装することで、通常の木材では得られない耐久性が可能になるのではないか。そして、寿命が来たら燃やして処理すればいいし、バイオマス原料にすればもっといい。コンクリート建築は木材建築より寿命が長いと思われているが、実はコンクリート建築の寿命は50年程度だろう。それ以上の寿命の木材建築はたくさんある。
下の記事のセロファン(セロハン)としての利用も、その欠点を改良していけば様々な利用が可能だろう。たとえば、ガラスの代わりに使えるかもしれない。まあ、プラスチックを私は否定する者ではないし、最近言われるSDGsも何かの裏がある運動なのではないかと懐疑的だが、社会的事象に常に何かの「代替案」を考えていくのは大事だと思う。

(以下引用)



「セロハン」復権、脱プラが促す古くて新しい素材革命



レンゴーが開発した、セロハンをベースにした包装材シリーズのサンプル
日経ビジネス電子版

1908年に欧州で発明され、20年代後半から国内で生産が始まった「セロハン」。セロハンテープや、工作で使う赤・黄・緑・青の色セロハンなど、人々にとってなじみの深い素材だが、需要は縮小傾向にあった。そんなセロハンが復権の兆しを見せている。


「価格よりも環境面を重視する動きが広がれば、増産に入りたい。社内のコンセンサスは取れている」。段ボール大手レンゴーの海老原洋専務執行役員は、セロハンを使った新商品についてこう意気込みを語る。


セロハンを国内で生産するメーカーは、ピーク時には13社に達した。ポリエチレンと組み合わせた「ポリセロ」が食品の包装材などに広く使われていたが、70年代から耐久性や耐水性に勝るプラスチックフィルムに需要を奪われ始める。生鮮品やパン、おにぎりなど、食品の個包装が進むにつれてセロハンは駆逐されていった。今も国内でセロハンの生産を続けるのは2社だけだ。


その1社であるレンゴーでセロハンを生産する武生工場(福井県越前市)には、かつては6台のセロハン生産設備があったが、今では2台まで減っている。チョコレートやあめ玉のひねり包装や、セロハンテープ、粉薬の袋など、「ねじって包んだ場合に勝手にほどけない」「静電気を帯びにくく引き裂きやすい」といった特性を生かせる分野で辛うじて生き残っているのがセロハンの現状だ。レンゴーの海老原氏は「使われているというよりは、ごく一部残っているというほうが正確」と自嘲気味に話す。


そんなセロハンに吹いたのが「脱プラスチック」の追い風だ。


プラスチックだと思われることも多いセロハンだが、実は紙と同様に、木材から取り出した繊維であるパルプを加工して製造する。いわば「透明な紙」だ。土壌や海洋で自然分解されることから、脱プラやカーボンニュートラルの意識の高まりであらためて注目されている。

包装材にセロハンを

原料の由来通り、セロハンの特性は紙と似ている。水を通し、熱を加えると溶けるのではなく焦げる。そのため、ポリセロのように石油由来のプラスチックと組み合わせて足りない性能を補ってきた。その代わりに、植物由来で自然分解されるという特性が犠牲になってきた。


脱プラの機運が高まってきたことを受けてレンゴーが2020年に開発したのが、セロハンをベースにした包装材シリーズ「REBIOS(レビオス)」だ。生分解性樹脂と組み合わせることで、耐水性や、熱で溶かして接合できる「ヒートシール」性を持たせた。


段ボールで築いた顧客網を生かし、食品や日用品のメーカーへの積極営業を仕掛けている。プラスチックフィルムに比べて割高なため、「食品メーカーは関心を示しつつも二の足を踏んでいるところが多い」(海老原氏)というが、「アパレルや化粧品のメーカーでは具体的な採用に向けた検討が進んでいる」(同)。


レンゴー社内では、セロハン事業からの撤退論も度々出てきたが、その都度、大坪清会長が「ペトロケミカルに対しウッドケミカルがあるが、今後はウッドケミカルが大事になる」として退けてきたという。その予言が現実になろうとしている。

レジ袋有料化が「セロテープ」に追い風

「セロテープ」の登録商標を持つニチバンも、脱プラを追い風にしようと動いている。


ニチバンは6月上旬に「『セロテープ』でSDGsに貢献」と題した特設サイトを開いた。「日本全国10万店の小売店が石油由来の延伸ポリプロピレン(OPP)テープから『セロテープ』に切り替えるとプラスチック量を年間約1670トン削減できる」といった試算のほか、セロテープの特徴やセロハンの自然分解の仕組み、セロテープの導入企業・自治体数などもサイト上で公表している。


「SDGs(持続可能な開発目標)が世間で注目されるずっと前から、天然素材が主原料だという打ち出し方をしていたが、残念ながらほとんどのユーザーには届いていなかった」。ニチバンの高津敏明社長はこう話す。


ニチバンの高津敏明社長

それがここに来てようやく、風向きが変わってきた。例えば、コンビニエンスストアなどで商品を買った際に貼られる「お買い上げありがとうございます」と書かれたテープ。レジ袋の有料化をきっかけに消費量が増えている。従来はOPPテープを採用する企業が多かったが、環境保護を意識してセロテープに切り替える動きが出てきたという。

日本勢2社で世界シェア8割

20年6月には特殊紙を手がけるリンテックが、セロハンでラミネート加工したラベル素材を発表している。食品や化粧品のアイキャッチになるラベルでの使用を想定したもので、プラスチックフィルムを貼り付けていた従来品からの代替を促す。「耐水性の面でも、生活感や透明感を与える意味でも、ラミネート加工は必要。でも、プラスチックは削減したい。そうしたニーズに応える製品だ」とリンテックは説明する。


国内でセロハン生産を続けたレンゴーとフタムラ化学(名古屋市)。その2社でセロハンの世界シェアの約8割を占めるとされる。日本に残った古い素材の弱点を克服しながら強みを生かす技術革新が、世界の脱プラスチックで重要な役目を果たすかもしれない。


(日経ビジネス 奥平力、生田弦己)


[日経ビジネス電子版2021年7月6日の記事を再構成]


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