TesfaNews (TN) というエリトリアのニュース・サイトについては、昨年11月15日付けの記事『老人の心配事』で取り上げました。長い間ニュース記事の更新がなかったので心配していましたが、また新しい記事が続々と出始めました。どこかで、Tesfa はエリトリアの言葉で“Hope”を意味すると書いてあるのを見た記憶があります。つまり、“希望”が戻ってきたことを意味します。この1月8日にリオープンしてから既に7つほどの新しい記事が出ましたが、いずれも勇気づけられる内容のものばかりです。この“希望”復活の最初の記事は1月8日の『中国とエリトリア、戦略的パートナー関係樹立』です:
https://www.tesfanews.net/china-eritrea-established-strategic-partnership/
エリトリアの独裁者イサイアス・アフェウェルキ大統領はもともと中国と深い縁を持つ人物です。このブログでも何度か言及して来ましたが、参考にため、ここでは、ウィキベディアから少し引用させてもらいます:
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アフリカにおいては東アフリカと北アフリカ諸国の一つに位置づけられる。西にスーダン、南にエチオピア、南東部にジブチと国境を接する。北は紅海に面し、1350km以上にも及ぶ長い海岸線を持ち、領海内にはダフラク諸島など約350の小島が点在する。対岸側にはサウジアラビアとイエメンがある。
元々はエチオピア帝国の領土だった海岸部をイタリア王国が植民地政策によって1890年に分離させた[3]地域であり、エリトリア独立戦争を経て1991年5月29日に独立を宣言。1993年4月に実施された国際連合監視下の住民投票に基づき、同年5月24日に独立を達成した。1998年5月から両国はエチオピア・エリトリア国境紛争を戦ったが[3]、2018年7月8日に関係正常化の合意文書に調印した[4]。2020年~2021年には、エチオピア北部ティグレ州で起きたティグレ人民解放戦線(TPLF)の反政府蜂起に際して、エチオピア政府側で派兵した[5]。
内政面では独立以降、中華人民共和国に留学して毛沢東思想や軍事知識を学んだイサイアス・アフェウェルキ大統領が実質的に率いる民主正義人民戦線の一党独裁制が続いている。「アフリカのシンガポール」というスローガンを掲げて、同国を手本にした国作りを進めている[6]が、「アフリカの北朝鮮」と批判・揶揄されることが多い[7]。周辺諸国との紛争や兵役、抑圧的な政治体制により大量の国民が国外に脱出して国際的な難民問題になっている[8][9]。
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近頃は中国の国際的行動を快く思っていない日本人が多数いるようです。私の立場は違います。中国が1800年台中期の阿片戦争の屈辱から苦節百数十年を経て、今や米英を圧倒する大国となり、米国に代わって、世界を支配する勢いです。しかし、それだけのことならば、私は大反対です。もう一つの強大大国の世界支配など、まっぴら御免です。人類には別の世界が必要です。今までとは違う世の中にならなければなりません。「じゃなか娑婆」を実現しなければなりません。
人間、死期が迫ると色々のことを考えます。「あとは野となれ山となれ」と考える高齢者は案外少ないのではありますまいか。私は未だ中国の将来に、また、日本の将来に夢を抱いています。巨視的に見て、現在の中国も、現在の日本も、結構立派な国家です。中国は世界の覇権などと言う有害愚劣な野望を捨て、一方、日本は米国による植民地的支配から脱出して、堂々と中国、ロシア、ヨーロッパと渡り合うようにならなければなりません。そして、その遥か先には、国家の消滅も視野に入れたコミュナリズム、人間全体のための世界、今とは違う世界を目指すのです。「そんな馬鹿な夢を描いて何になる」と笑う人が多いでしょう。しかし、今のままで進めば、完全な管理社会と飽くなき消費文明と地球の荒廃と核戦争が待っているだけです。「あとは野となれ山となれ」で気が済むのですか?
さてエリトリアに話を戻しましょう。エリトリア事情に精通しているとされる専門家の誰が何と言おうと、「エリトリアの独裁者イサイアス・アフェウェルキ大統領」を「アフリカのフィデル・カストロ」だとする私の信念を変えるつもりはありません。その確信はこれまで約十年間のエリトリア・ウォッチ、アフェウェルキ・ウォッチに基づいています。過去にこのブログで何度も取り上げましたが、ここでは一つだけを引いておきます:
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/75ed37ac9bd52f33a12779311ea49803
私はこの記事を次のように結びました:「独裁的にエリトリアを統治するイサイアス・アフェウェルキ(1946年生まれ)という男、これは注目に値する人物です。もし暗殺による死や、NATO/米国の空爆による死を免れ、目指す政治的目的(エリトリアという紅海南岸の小国の独立を守り通す)を何とか果たすことが出来れば、アフリカの歴史、いや、世界の歴史に名を残すことになること必定です。」
今回のテスファニューズ(TN)の復活の最重要のアイテムは長時間にわたるイサイアス・アフェウェルキ大統領のインタビューです:
https://www.tesfanews.net/president-isaias-afwerki-2022-interview-excerpts-part-1/
https://www.tesfanews.net/president-isaias-afwerki-2022-interview-excerpts-part-2/
この大統領会見はエリトリアの言語で行われ、国の内外に対する宣伝活動(TR)の意味合いのものでしょう。質問者の方は手にノートを持っているのに、大統領の方は、テーブルには原稿らしきものが見えますが、それに頼らずに滔々と語っています。私がこの人のインタビューで感心させられたのは今回が初めてではありません。数年前、米国系のジャーナリスト達が独裁者イサイアス・アフェウェルキ大統領を酷く吊し上げにしていた時代に、毒々しい悪意に満ちた女性インタビューアーの礼を失した質問に対して、冷静に、しかも、立派な英語で答える場面に接して、この男にすっかり惚れ込んだ覚えがあります。幸に、今回の大統領の発言内容には英語の詳しい要約がついています。これを読めば、現在進行中の エリトリア/ティグレ/エチオピア問題の歴史と現状に対するかなり正確な知識が得られると思います。
参考までに、関連記事を三つほど挙げておきます:
https://www.blackagendareport.com/ethiopians-rally-against-cnn-tplf-and-us-aggression
https://www.blackagendareport.com/eritrea-and-tripartite-alliance-horn-africa
https://libya360.wordpress.com/2021/09/02/how-eritrea-elevates-the-horn/
私の“偏よった”見方が正しいか、マスメディアの“偏よった”見方が正しいか、それがはっきりするのに、大して時間はかかりますまい。
藤永茂(2022年2月5日)
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