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徽宗皇帝のブログ

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誰のための経済発展か
「阿修羅」経済欄から転載。世界経済は欧米資本の搾取の頸木の下にあり、アフリカ・アジア・南アメリカが発展できないのはそのせいだが、実は中国のように一見経済発展をしていても、その中身は欧米に吸い上げられているということである。日本が高度経済成長時代に蓄積した富を米国債の形で米国に上納したのと似たような話だが、下記の文章のように、今や欧米は自国の自然を汚す「物作り」は下層民族・下層国家に押し付けて、製造業の利益はすべて自分たちが吸い上げるシステムを構築したようである。


(以下引用)


中国網日本語版(チャイナネット)によれば、「欧米の搾取が中国人を苦しめている」と題した香港中文大学の郎咸平教授の文章を掲載した。文章の内容は以下の通り。

  2010年、金融危機の余波はいまだ収まらず、中国人の「懐具合」が依然として注目を集めるなか、2つの興味深い現象が出現している。1つは中国が世界第2位の奢侈品消費大国になったこと、もう1つは金融危機にもかかわらず労働者不足が再び発生したことである。しかし奢侈品消費大国といっても、09年の消費はGDPの29%を占めるに過ぎず、この数値に基づけば、中国は実際には消費力が大きく不足している国である。

  その原因は中国人が貧しいことにある。国民1人当たりの平均給与をみてみよう。時間給がもっとも高いのはドイツで約30ドル。中国はタイよりも低く、タイは2ドル弱であるが、中国はわずか0.8ドルで世界ワーストワン。中国の給与水準が世界最低レベルである一方、中国人の労働時間は世界一長く、年間の労働時間は2200時間に達する。米国は1610時間、もっとも短いオランダはわずか1389時間だ。中国の労働者は、給与は世界でもっとも安く、労働時間は世界でもっとも長いのである。

  金融危機の後、珠江デルタ地域では労働力不足が再び発生した。これは単純に注文が増えたからではなく、労働者が給与に不満を持ったからである。この10年、広東省東莞では給与水準がほとんど変わっていないのにもかかわらず、物価は大幅に上昇している。そのため農民工たちは一段と貧しくなっているのだ。一般庶民の生活が苦しくなっていることは確かだ。では、企業経営者はどうだろうか。彼らも同様に苦しい。不足している労働者の代わりに働き、毎日深夜12時まで仕事してようやく眠る。したがって、経営者も労働者もみな苦しいのである。なぜこんなにも苦しいのに世界最低の給与しか手にできないのだろうか。これには2つ原因があると考える。

  一つ目の原因は、欧米が私たちから搾取していること。一部の学者は、中国の従来の労働集約型産業はコアテクノロジーの不足によって利益率が低く、この現状を打開するためにはハイテク企業への転換が必要だと主張するが、これは正しくない。私もハイテク企業への転換には反対したことはないが、中国の労働集約型産業の利益率が低いのはどうしてだろうか。それは本当に労働集約型産業のせいであり、コアテクノロジーが不足しているからなのだろうか。そうではないと思う。

  中国の玩具製造業の利益率はゼロに近いが、米玩具メーカー・マテル社の07年の利益率は40%を超えた。マテル社は製造は行わないが、製品の設計、原料調達、倉庫保管・輸送、注文処理、卸売、小売など製造以外のすべての部分を掌握しているため、販売価格の決定権を持っている。中国の製造業者には玩具1つにつき1毛(約1.2円)の利益を与え、自分たちは3.6ドルの儲けになるというわけだ。

  工場の生産コストについてもう一度考えてみよう。ここでも玩具工場を例に挙げる。工場は原材料の調達においても他人に価格決定権を支配されている。つまり、中国の製造業者は、原材料の調達価格はウォール街にコントロールされ、製造した製品の価格はマテル社のようなメーカーにコントロールされると、両側から挟まれている格好なのである。ここで私はマテル社を「産業資本」と名付け、ウォール街を「金融資本」と名付けたい。中国の製造業は「前門の虎、後門の狼」の状況だといえる。金融資本が虎で産業資本が狼である。具体的にいうと、原材料の調達の際は金融資本がその価格をコントロールし、製品の販売の際は産業資本がその価格をコントロールする。両者は挟み込んだ中国の製造業者から一滴残らず搾り取るのだ。

  話しは戻るが、欧米諸国はなぜ製造業を中国に置くのだろうか。それは、製造業が環境を破壊し、資源を浪費するからであり、彼らはそのようなものを手元に置いておきたくないのである。そこで、製造業を除いた部分はすべて手中に収める。このように、欧米各国は金融資本と産業資本を通して原材料と販売の価格決定権を支配したうえで、製造業を中国に置く。つまり、中国が製造すればするほど、欧米が豊かになるというわけである。

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